「ルノワール」「国宝」がTAMA映画賞の最優秀作品賞、李相日は吉沢亮らの献身に感謝

5

87

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 22 63
  • 2 シェア

第17回TAMA映画賞の授賞式が本日11月15日に東京・パルテノン多摩で行われ、最優秀作品賞を受賞した「ルノワール」の監督・早川千絵と主演の鈴木唯、「国宝」の監督・李相日とキャストの吉沢亮黒川想矢らが登壇した。

第17回TAMA映画賞授賞式の様子

第17回TAMA映画賞授賞式の様子

大きなサイズで見る(全20件)

最優秀作品賞は「ルノワール」「国宝」

1980年代後半を舞台とした「ルノワール」は、大人の世界をのぞき、人々の心の痛みに触れていく少女・フキのひと夏をつづった物語。オーディションによって選ばれた鈴木が11歳のフキを演じた。

左から「ルノワール」主演の鈴木唯、監督の早川千絵

左から「ルノワール」主演の鈴木唯、監督の早川千絵 [拡大]

早川は「映画は1人では作れないもの、あらゆる形で関わってくださった皆様に心から感謝します。そして何より、観客の皆様ありがとうございます」と述べ、「唯ちゃんと出会えたからこそ、この映画が作れたと思っています。奇跡的な出会いでした」と鈴木に笑顔を向ける。鈴木は「とてもうれしいです。スタッフ、キャストの皆様のおかげです。これから俳優をがんばっていきたいと思っています。映画を観てくれた方、ありがとうございました」と感謝した。

吉田修一の同名小説を李相日が映画化した「国宝」は、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる立花喜久雄の一代記を描いた物語。吉沢と黒川が1人2役で喜久雄を演じた。

「国宝」の監督・李相日

「国宝」の監督・李相日 [拡大]

李は「歌舞伎は400年続いてきた伝統芸能。それを汚さぬよう、魅力を伝えられるよう、映画人の知恵を絞って挑みました。歌舞伎役者としての人生を描く際、すべてにおいてリアリティを求められる。吉沢くんや、黒川くんの献身がなければこのような結果はなかったと思います」とコメント。吉沢は黒川を意識していたそうで「彼の女方のお芝居を見て、とてつもなくすごくて、これはまずいと。いい意味でプレッシャーを与えていただきました」と振り返る。黒川は「正直意識することはなくて」と素直に話して吉沢を笑わせてから、「吉沢さんは国宝級のイケメンなので、僕らは似てないんですが、監督に『目指す喜久雄像が近ければ近いほど同じ人に思ってもらえるんじゃないか』と言っていただきました」と回想。これに李は「精神が重なればいいと思っていました」と言及した。

「国宝」で立花喜久雄を演じた黒川想矢(左)と吉沢亮(右)

「国宝」で立花喜久雄を演じた黒川想矢(左)と吉沢亮(右) [拡大]

最優秀新進監督賞は山元環と平一紘

最優秀新進監督賞には「この夏の星を見る」の山元環と「木の上の軍隊」「STEP OUT にーにーのニライカナイ」の平一紘が選出された。

山元は「初商業作品ですごく悩みながら映画を作りました。キャスト、スタッフ、関係者の皆様のおかげでここに立てています」と話し、「キャストたちは素晴らしかったです。みずみずしくもあり、楽しくもあり。あるときは不安定な出力の日もあって、またあるときは頼もしい。それが映画の中で生きているキャラそのままでした」と賛辞を送った。

「この夏の星を見る」の監督・山元環

「この夏の星を見る」の監督・山元環 [拡大]

平は「『木の上の軍隊』は実話をもとにした映画です。沖縄戦から80年の節目に撮れたこと、僕にとってはかけがのない時間でした。この賞をスタッフ、キャストに捧げたいです」と伝え、主演の堤真一、山田裕貴の話題になると「木の上だけで撮るということで、これ以上アングルは探れないというぐらいいろんな角度から撮りました。ただお二人なので、どう撮ろうと観れるものになってしまう。素敵だなと思うときが何度もありました」と思い返した。

「木の上の軍隊」「STEP OUT にーにーのニライカナイ」の監督・平一紘

「木の上の軍隊」「STEP OUT にーにーのニライカナイ」の監督・平一紘 [拡大]

特別賞

映画ファンを魅了した事象が対象となる特別賞は「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」の大九明子およびスタッフ・キャスト一同、「ふつうの子ども」の呉美保およびスタッフ・キャスト一同に贈られた。

大九は「こんな素敵なトロフィーをいただけて、みんなとても喜んでいると思います」と笑みをこぼす。萩原利久、河合優実、伊東蒼の長ゼリフに圧倒されたという意見が飛ぶと、「お三方は若い脳をお持ち。シナリオを書きながら、私は知らない!ってどんどん書いちゃったんですが、3人はなんの気負いもなく素晴らしく演じてくださいました。さすがだと思いました!」と語った。

「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」の監督・大九明子

「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」の監督・大九明子 [拡大]

続く呉は「市民の皆様の映画愛で運営されている賞。私にとって帰って来れる、ありがたい場所です」と感謝する。授賞式にはキャストである嶋田鉄太瑠璃味元耀大も登壇。嶋田は「謝りたいことがあります! 舞台挨拶で『国宝』を超えるとか言っちゃってたんですけど、僕の力が及ばなかったです。でもどちらもよい作品です。受賞できてうれしいです!」、瑠璃は「素敵な賞をいただけてうれしいです!」、味元は「関わった人に与えられた賞。うれしいです」と喜んだ。呉は「とにかく子供のために作った映画。ワークショップで選ばせていただいた子供たちと戯れながら撮影しました。濃厚な夏でした」と振り返った。

左から「ふつうの子ども」キャストの味元耀大、瑠璃、嶋田鉄太、監督の呉美保

左から「ふつうの子ども」キャストの味元耀大、瑠璃、嶋田鉄太、監督の呉美保 [拡大]

なお映画ナタリーでは最優秀男優賞、最優秀女優賞、最優秀新進男優・女優賞の受賞者たちのレポートも掲載している。受賞結果は後述の通り。

イベントレポート
イベントレポート
イベントレポート
イベントレポート

第17回TAMA映画賞 受賞結果

最優秀作品賞

「国宝」(李相日およびスタッフ・キャスト一同)
「ルノワール」(早川千絵およびスタッフ・キャスト一同)

特別賞

呉美保およびスタッフ・キャスト一同「ふつうの子ども」
大九明子およびスタッフ・キャスト一同「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」

最優秀男優賞

長塚京三「敵」
吉沢亮「国宝」「ババンババンバンバンパイア」

最優秀女優賞

瀧内公美「レイブンズ」「敵」「奇麗な、悪」「ゆきてかへらぬ」「国宝」「ふつうの子ども」「宝島」
広瀬すず「遠い山なみの光」「アット・ザ・ベンチ」「ゆきてかへらぬ」「片思い世界」「宝島」

最優秀新進監督賞

平一紘「木の上の軍隊」「STEP OUT にーにーのニライカナイ」
山元環「この夏の星を見る」

最優秀新進男優賞

萩原利久「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」「世界征服やめた」
黒川想矢「国宝」「この夏の星を見る」

最優秀新進女優賞

桜田ひより「この夏の星を見る」「大きな玉ねぎの下で」
中野有紗「この夏の星を見る」

この記事の画像(全20件)

読者の反応

  • 5

𝐐𝒎𝒂𝒙 ✰ @itzQmax

@eiga_natalie 素晴らしい受賞ですね✨俳優陣の献身も本当に尊敬します🎬👏

コメントを読む(5件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 国宝 / ルノワール / 木の上の軍隊 / STEP OUT にーにーのニライカナイ / この夏の星を見る / ふつうの子ども / 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は / 李相日 / 吉沢亮 / 早川千絵 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。