第38回東京国際映画祭で映画「
同作は苗字が“佐藤”同士であり、正反対の性格のサチとタモツが、交際・結婚・出産を経て歩む15年間を描くマリッジストーリー。芯が強く明るいサチを岸井、真面目でインドアなタモツを宮沢が演じた。
本作で初共演した岸井と宮沢。岸井は「本読みで初めてお会いしたとき『どこかでお会いしましたか?』と思うくらい、すぐに自然にお互いのことを話せる関係性が作れたので、お芝居に没入しやすかったです。ご覧の通り(宮沢は)本当に優しく穏やかなので、このチームだったらピリつくような現場にはならないだろうと安心感がありました」と称賛する。この言葉を受け宮沢は「ゆきのちゃんの出演作はたくさん観てきましたし魅力的な女優さんだと思っていました。実際にお会いしたら僕の想像よりもはるかに優しい方で、太陽のような存在でした」とほほえんだ。
岸井は「約2時間分の脚本で(サチとタモツの)15年を詰め込めるってすごいことだと思う。決して大雑把ではなく、ささいなことを大切に描いていたので『この世界に入りたい』と感じました。また、実生活では経験したことのない夫婦生活というものを垣間見ることができるかもしれないとも思いました」と回想。宮沢は「撮影前に1週間ほどリハーサル期間が設けられていて、脚本を読んだり(天野・岸井と)3人で食事に行ったりしました。タイ料理を食べたりして、事前に仲良くなる時間があったので初日からすっと役に入れました」と明かした。
天野は岸井について「本当に芝居の密度が濃くて。ごまかしのない芝居を力強くやってくださるんです。サチはデリカシーがなかったり突っ走っちゃうところがあるのですが、ゆきのちゃん自身がチャーミングなので、サチを“許せてしまう”キャラクターにしてくれました」とたたえる。続けて宮沢について「タモツはちょっと情けないところがあって。氷魚くんに演じてもらったら面白かったし、クールなビジュアルだからこそ彼の情けなさが愛おしく見えたんです。脚本にはなかったタモツ像が見えてきました。2人に頼んだからこそ、キャラクターが膨らみました」と語った。
本作を観た感想を尋ねられた岸井は「サチが家にいないとき、タモツはこんな顔をしてたんだ……と知って『タモツ、ごめん』という気持ちになりました。なぜか反省するという(笑)。見えていない部分を想像することが思いやりというのかな、とも考えました」と言葉を紡ぐ。宮沢は「“苦しさ”がすごく丁寧に描かれていて。自分の幸せだったり大事にしたいものを手放さないためにも、もっと(人生に)向き合いながら生きていこうと感じました」と回答した。
第38回東京国際映画祭のウィメンズ・エンパワーメント部門に選出された本作。天野は「女性を応援するということは大切なムーブメントだと思いますし、光栄です。とはいえ複雑な気持ちもあって。あえてこの部門を作って女性を応援しなければいけないのが現状なんだとも感じるんです。『メンズ・エンパワーメント部門』はないですからね。このような状況が早く変わっていってほしいという思いもあります」と思いを伝えた。
「佐藤さんと佐藤さん」は11月28日より全国でロードショー。第38回東京国際映画祭は11月5日まで東京の日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアで開催される。
映画ナタリー @eiga_natalie
【イベントレポート】岸井ゆきの&宮沢氷魚がお互いの優しさを熱弁「佐藤さんと佐藤さん」で夫婦役(写真11枚)
▼監督の天野千尋も登壇、記事はこちらから
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