中国ドラマ「ハイロイン」原作の日本語版発売、柴鶏蛋が手がけた“伝説のBL小説”

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中国ドラマ「ハイロイン~上瘾~」の原作として知られる中国BL小説「你丫上瘾了?」の日本語翻訳版全3巻が発売。1月1日から31日まで書籍版の受注が実施される。本日12月29日22時より、翻訳を担当した右脳左脳と翻訳協力を担ったライター小酒真由子がゲスト出演する「ハイロインについて語ろう1」がXのスペースで開催される予定だ。

中国ドラマ「ハイロイン~上瘾~」の原作として知られる中国BL小説「ハイロイン~你丫上瘾了?~」1巻書影

中国ドラマ「ハイロイン~上瘾~」の原作として知られる中国BL小説「ハイロイン~你丫上瘾了?~」1巻書影 [高画質で見る]

「ハイロインについて語ろう1」詳細はこちら

本書は「逆愛~Revenged Love~」や「盛勢 Advance Bravely」と映像化が続く1989年生まれの作家・柴鶏蛋(チャイジーダン)の代表作であり、伝説の中国BL小説と称される作品。ともに高校2年生の顧海(グー・ハイ)と白洛因(バイ・ロイン)は、親同士の再婚で義兄弟になるが、そのことを知らずにクラスメートになる。軍幹部の父親を持つ“暴走お坊ちゃまの顧海”と北京の下町でつつましく成長した優等生の白洛因は育ちも価値観も違ったが、顧海は白洛因に惹かれ、やがてその思いは友情を超えて猛烈な勢いで白洛因へと向かうことに。そして喧嘩と仲直りを繰り返し、白洛因は徐々に顧海の思いを受け止めていく。

「你丫上瘾了?」は、ティミー・シュー(許魏洲)とホアン・ジンユー(黄景瑜)の共演で2016年にドラマ化され日本でも熱烈なファンを獲得。その後も「ハイロイン ~Stay With Me~」「Addicted Heroin -ハイロイン-」と映像化された。これまで日本語翻訳版を出版したいという有志の活動が続けられてきたが、多くの障害があり、企画は何度も頓挫。しかし2023年にBL作家ユニット・右脳左脳が翻訳を担当することになり、北京に住む柴鶏蛋のもとで、翻訳出版の許諾を得ることに。その後、直接契約を交わし自費出版という形で日本のファンに届ける運びとなった。現在、全体の約3分の1をWebで無料連載しており、電子版の発売も予定している。書籍版の価格は3冊セットで8161円。受注予約や送料などの詳細は公式サイトで確認してほしい。

右脳左脳は、柴鶏蛋と初対面した際のことを振り返り「見た瞬間『ああ、なるほど』と思った。目の光が違う。そして存在感がすごい。美人だし可愛らしいが、あの数々の物語を生み出し、映像作品を完成させる強さを持った方だと確信した」と語る。その後、柴鶏蛋から翻訳出版の許可を得たものの、出版社探しに難航したそう。2025年夏に直接契約を交わすことになった経緯を振り返りつつ「『好きにやってって言ったじゃない。いいわよ、自費出版でも。あなたと直接契約するから』先生は今回も言い切った。『とにかく作品が動くうちに動かさないと。鉄は熱いうちに打たないとダメなのよ。どんどんやって! プレッシャーに思わないで!』こうして思いがけず先生と直接契約を交わすことになった」と明かし、「書籍は受注生産で、ギリギリの予算。たくさん受注が入れば、少しだけ装丁にもお金がかけられる。そしてこれを快諾してくださった先生に還元することができる。赤字覚悟の自費出版。どうか応援してください!」と呼びかけた。コメント全文は後掲している。

ハイロイン | 原作小説(上瘾)日本語訳公式サイト
ハイロインofficial|pixiv
ハイロインofficial (@gubai8161) | X

右脳左脳 コメント

人生はまさに「ご縁」だ。
2016年に配信されたドラマ「ハイロイン~上瘾~」の原作小説日本語訳を計画し、2019年から先生サイドと連絡を取っていたものの、コロナもあって頓挫しているという熱いファンの方のお話を聞いたのは2023年初夏のことだった。
当時私は軽い気持ちで「知り合いの出版社に聞いてみようか」と答えた。
翻訳者も決まっていないというので、話が進めばやってもいいよとそのときはまだどこか他人事で面白がっていた。
お付き合いのある出版社の編集長も興味をもってくれ、翻訳も実現しそうなら私に任せるということになった。その頃私は上海に住んでいたので、北京の先生のオフィスにお土産を持って行き、まずは軽くご挨拶でもできたらいいなと考えていた。しかしなんと先生側がカフェを予約してくださり、お会いすることになった。

2016年版のドラマは見ていたし、「ハイロイン」原作(你丫上瘾了?)も読んで面白さがわかっていたが、お会いするからには他の作品も読むべきだろうと、タオバオで「鋒芒」を買った。これがまたべらぼうに面白く、大陸版だからオイシイところはカットされているんだろうなと思いながら(そして話は途中で終わっていた)寝る間も惜しんで読みふけった。
そして南鑼鼓巷のカフェでそわそわしながら待っていると、若い女性が現れた。もちろん初対面だが、見た瞬間「ああ、なるほど」と思った。
目の光が違う。そして存在感がすごい。美人だし可愛らしいが、あの数々の物語を生み出し、映像作品を完成させる強さを持った方だと確信した。

最初は日本とネット越しに数名で話すはずだったのが、ネット環境が悪くWi-Fiもうまくつながらず、結局私は先生とサシで話すことになった。
腹を据え、私は自分が読んだ先生の作品の面白さを精一杯語った。外国人が話す中国語なので拙い部分もたくさんあったはずだが、先生は真剣に聞いて下さった。

話が盛り上がったところで、日本にも先生のお話のファンがたくさんいることを伝え、
「そんなわけで、ハイロインを日本語に翻訳したいのですが……」とおそるおそる申し出ると、先生は即答した。
「いいわよ。どんどんやって。ちょうどこの夏にリメイク版が配信されるから、鉄は熱いうちに打たないと」
2023年の夏に先生自ら再びドラマ化に関わった「ハイロイン~stay with me~」が配信されるということで、タイミングが良かったのかもしれない。
「日本語にするならこれを訳してちょうだい」
データをいただき、あっさり話はまとまった。
喜びと同時に大きなプレッシャーがのしかかる。
外に出ると、先生はとても自然に腕を組んできた。こういうときの距離感は日本とは違う。
「ひゃっ」
緊張とトキメキで変な声を出したおばちゃんに、先生は軽く笑った。ああ、夏の思い出。

それから下訳の長い道のりが始まった。いくらやっても一向に終わらない夏休みの宿題だ。
出版社と先生側の条件には隔たりがあったが、とりあえず進めましょうということで私は黙々とただひたすら訳を作った。だが出版計画は遅々として進まず、「取次と営業」という壁に阻まれた。ページ数が多いのが問題なのだという。でも削るわけにはいかない。
先生には季節のご挨拶と進捗状況を定期的に伝えていたが、なかなか進まない状況に呆れているご様子だった。
二年かけてついに下訳が完成したが、出版は完全に頓挫した。
その間出版社とは何度も話し合いをしたが、やはり壁は越えられなかった。
先生にもその旨をお伝えし、他の出版社を探すことにした。
知り合いのつてを辿って何社か掛け合い、または中華BLを出している出版社の表玄関からも問い合わせをしたが、うまくいかなかった。
いよいよ行き詰まった。

そのときにもちょうど北京へ行く用事があった。
私は先生にご相談したいことがあると伝え、北京へ飛んだ。
2025年の夏は先生が再び自作を映像化したBLドラマ「逆愛」が中国大陸以外のアジア各地で空前の大ヒットとなり、先生は多忙で寝不足のご様子だった。ラブシーンが満載だという「逆愛」のお話を伺いつつ我々の現況を説明すると、またも即答だった。
「好きにやってって言ったじゃない。いいわよ、自費出版でも。あなたと直接契約するから」
先生は今回も言い切った。
「とにかく作品が動くうちに動かさないと。鉄は熱いうちに打たないとダメなのよ。どんどんやって!プレッシャーに思わないで!」
こうして思いがけず先生と直接契約を交わすことになった。

書籍は受注生産で、ギリギリの予算。たくさん注文が入れば、少しだけ装丁にもお金がかけられる。そしてこれを快諾してくださった先生に還元することができる。赤字覚悟の自費出版。どうか応援してください!

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ハイロインofficial @gubai8161

映画ナタリーさんが記事にしてくださいました。
今日のスペース「ハイロインについて語ろう1」についても載せてくださってます。ありがとうございます!✨ https://t.co/MGquFY58kj

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