「ゴールド」の公開を控える知多良の新作短編映画「森へ」が、7月26日に東京・武蔵野公会堂で無料上映されるとわかった。“映像のオリンピック”を目指す映像プロジェクトである「2025 ムービンピック『第4回 短編映画制作競技』」の1本として制作されている。
同作は、“見えないもの”が信じられず、数値やエビデンスだけを拠り所に生きる衣良を主人公に据えた物語。衣良を「ゴールド」の
映画は「ムービンピック」が始動した東京・武蔵野市を舞台として、地元の人々の協力のもと完成した。知多は「武蔵野が歩んできた“喪失”と“再生”の歴史を現代に置き換え、主人公・衣良とその母との関係を通して描こうとした作品です」と同作を紹介し、「歴史とは、いなくなった人々の営みを、今に感じることだと私は思っています。武蔵野市が積み重ねてきた歴史、そしてその“足元”を見つめ直すことが、今を生きる私たちへのささやかな力となれば幸いです」と語っている。
なお鑑賞予約は「ムービンピック」の公式サイトで受付中。当日は“三鷹市枠”の挑戦者・片岸佑太の監督作と併映されたのち、観客による決選投票が行われる。
短編映画「森へ」特報
知多良 コメント
ある大きな社会的出来事や、大切な人との別れをきっかけに、価値観が大きく変わってしまう──。そんな経験を、私は21世紀に入ってから何度もしてきました。
本作の主人公・衣良も、ある喪失をきっかけに「見えないもの」を信じられなくなり、数値やエビデンスといった「目に見えるもの」だけを拠り所にするようになります。そして、占いやご先祖様などの「見えないもの」を信じる母親と対立していきます。
そんな喪失やご先祖という見えなくなってしまったものたちをテーマにしたのも、武蔵野という土地自体が“喪失”と“再生”を繰り返してきた場所だからです。
「吉祥寺」という地名は、かつて文京区付近にあった寺院「吉祥寺」に由来します。1657年に大火で被災した住民たちが現在の武蔵野市東部に移り住み、新たな地を「吉祥寺村」と名付けたとされています。その後も、関東大震災の際に多くの被災者がこの地に移住しました。
では、なぜこれほど多くの人々がこの地に集まることができたのでしょうか。それは、この場所に広大な自然が手つかずのまま残されていたからです。
その広い土地に、やがて軍事施設が建設され、戦後には団地が立ち並ぶようになりました。本作の主人公・衣良も、そうした武蔵野市の団地で暮らしています。
また、衣良が暮らすこの地は、100年以上前に国木田独歩が執筆した「武蔵野」の舞台でもあります。人の営みと自然が交差する風景が描かれたこの作品は、一見のどかな印象を与えますが、実は独歩が別れた女性との思い出の場所をもとに書いたとも言われています。
本作「森へ」もまた、「武蔵野」の舞台とされる「境山野緑地・独歩の森」で、いなくなってしまった人への思いを描いています。
「森へ」は、武蔵野が歩んできた“喪失”と“再生”の歴史を現代に置き換え、主人公・衣良とその母との関係を通して描こうとした作品です。歴史とは、いなくなった人々の営みを、今に感じることだと私は思っています。
武蔵野市が積み重ねてきた歴史、そしてその“足元”を見つめ直すことが、今を生きる私たちへのささやかな力となれば幸いです。
加茂井彩音の映画作品
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知多良 @chitaRyoo
監督しました短編映画『森へ』
キャスト、特報解禁しました!
7月26日に吉祥寺の武蔵野公会堂で公開なので、
ぜひお越しくださいませ!
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【上映日時】2025 年 7 月 26 日(土)14:00~16:30 https://t.co/QfGrx114ye