映画「
本作は1980年代後半を舞台に、大人の世界をのぞき、人々の心の痛みに触れていく少女・フキのひと夏を描いた物語。オーディションによって選ばれた鈴木が11歳のフキを演じたほか、仕事に追われるフキの母・詩子に石田、闘病中の父・圭司にリリー、同じマンションに住む北久里子に河合が扮している。
鈴木は公開を迎え「こうして全国の皆さんに、たくさんの人たちに観てもらえるのはとてもうれしいです」と喜ぶ。印象的な撮影を聞かれ、「やっぱり雨のシーンはすごく大変でした」と回想。夏の早朝5時頃に豪雨の中で撮影した場面があり、「映画の中ではぜんぜん震えていないんですけども、たぶん人生で1番寒かった」と振り返る。
早川いわく、脚本上は雨のシーンではなかったが、スケジュールの都合で撮影をずらせず、雨の中で敢行したそう。リリーは「大雨のシーンが撮れたから、そのあとフキの足を拭くシーンにつながる。だからいい映画ってお天気にも恵まれるのよ。普通の“雨降らし”だとあんなスケールじゃ撮れない。神様が応援してくれたんじゃないですか。是枝(裕和)さんもフキの頭をタオルでごしごしするところが好きだった、と言ってました」と明かした。
フキの年齢にちなみ、大人のキャスト陣が「11歳の頃に感じていた不思議」を語る一幕も。河合は「家の2階に上がるのがすごく怖くて。2階には何かがいるんじゃないか?みたいな、名付けがたい感情が子供の頃はいっぱいあったと思います」と回答。石田は「家の匂い」を挙げ、「よそのお家に行くと、もう匂いからして違いますよね。それぞれのお家の匂いがあるってことに、すごくゾクゾクしたのを覚えてます。子供のときはより鮮明に感じていた」と語った。
これに続いて、リリーは「この映画のフキがいる時期を、なんて言うのが正確なのか」と考えたことを述懐。「言葉にするのもちょっと違う。子供から大人になる、その間の思春期。それよりも、ちょっと前のような気がする。何かが一番生煮えな感じというか、なりかけの感じというか。そこがみずみずしく描かれている」と、本作の魅力につなげて話した。
舞台挨拶の後半には、鈴木が監督や共演者にサプライズで手紙を朗読。劇中ある作文の発表にちなみ、原稿用紙3枚に及ぶ手紙を読み上げた。「とっても暑かった去年の夏に、映画『ルノワール』は撮影されました」と切り出し、スタッフと過ごした楽しい現場を回想。早川、石田、リリー、河合それぞれとの思い出に触れ、リリーについては「初めてお名前を聞いたときは海外の方かと思いました。会ったら優しい日本のおじさまでした」と語り、笑いを誘う。
作文の発表のように淡々と読みながら、最後は「『ルノワール』という映画は私の人生を変えようとしています。映画に関わったすべての方に感謝しています。最後に映画の中のフキのセリフを真似して一言。『本当に夢でなくてよかったなと思った』。終わり」と締めくくる。続いて早川から鈴木に黄色の花束を贈呈。ビタミンカラーの服を着るフキに黄色のイメージを持っていたという鈴木は、この“逆サプライズ”に驚きながら「花束を見て、フキちゃんを思い出しました」と感謝した。
最後に、早川は「印象派の絵画のように、いろんな色だったり、いろんな感情が混ざり合うからこそ見えてくるものがあるような気がしています。この映画を観て、ずっと忘れていた記憶とか、子供の頃の感覚とか、以前は言葉にできなかった感情がよみがえってきたり。たった1つでも心に触れる瞬間を見つけてくださったらうれしいなと思っています」と呼びかけ、舞台挨拶を終えた。
「ルノワール」は新宿ピカデリーほか全国で公開中。
映画「ルノワール」予告編
鈴木唯の映画作品
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映画ナタリー @eiga_natalie
「ルノワール」主演の鈴木唯が作文風の手紙で感謝つづる「本当に夢でなくてよかった」(写真13枚)
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