「独断と偏見」は、40代になった二宮があえて文字だけの表現に挑戦し、これまで考えてきたこと、今考えていることをさまざまなテーマで縦横無尽に語るもの。ビジネス論、人付き合いの流儀、会話術、死生観など、計100の問いと向き合った。
著者になった実感は?
温かい拍手を浴びながら会場に現れた二宮は、「著者の二宮さん」と司会者に紹介され、はにかみつつ「少しでも本の内容をわかりやすく、誤解のないように伝えられたらと思います」と挨拶する。書籍制作のきっかけになったのは、独立してオフィスにのを立ち上げた頃、問い合わせフォームに野呂氏から届いたメール。二宮は「『病気になって先が見え始めた中で、あなたの言葉をよく思い出すし、励みになってがんばってこれた場面がたくさんあった。それをお守りとして一冊の本にしたい』と言われました。それまで自分の言葉に力が宿っているとか、誰かを動かすとは考えていなかった」と懐かしんだ。「“著者”という肩書きが増えた実感は?」と尋ねられると、「そんな大それたことは考えていませんでした。1人の人間として“らしい”言葉を出せるように、という思いしかなかった」と素直に答える。
今の自分を四字熟語で表すと
各章には、テーマとして「心機一転」「適材適所」「魑魅魍魎」などの四字熟語が掲げられている。それを踏まえて「2025年の今、自分を四字熟語で表すと?」との質問が寄せられると、「我田引水(物事を、自分に都合のいいように言ったり行ったりすること)でしょうね」と即答。「基本的に、人のふんどしで相撲を取るのが大好き。僕自身は自分にそんなに興味がないんです。興味を持ってくれている人のアドバイスを聞くことで物事が進んでいくので、まさにこの表現が合っている気がします」とその意図を説明する。
タイトルを変えた理由
本書は、雑誌MOREでの連載をまとめた書籍「二宮和也のIt[一途]」と同時制作された。当初付けられたタイトルは「百問一途」だったが、二宮本人の要望によって「独断と偏見」に変わったそう。「内容があまりにも“独断と偏見”すぎて、タイトルと合致していない気がしたんです」と回想し、「パーソナルなことや、僕自身がどう思っているのかについて話しているし、偏見に聞こえるかもしれないことも直さずに自分の言葉として載せたので、こういうタイトルになりました。『百問一途』で出すには性格が悪すぎないか?とも思って」と笑った。
こんなことをしゃべっていたんだ
二宮は「『こんなことをしゃべっていたんだ』と自分でもびっくりしたのが第一印象」と、最初にテキストを読んだときの心境を振り返る。そして「でも、言っていることは昔から変わっていないのかなとも感じています。いろんな場で何度も言ったことがあるフレーズもありますし、今回初めて言ったなと感じることもあった」「その2つがかけ離れているわけではなくて、一本のラインみたいなものは捉えているんだなと思えました」と続けた。
「二宮和也はこう思っているよね」
さらに「これも偏見なんですけど」と前置きをして、「自叙伝の形でまとめると『だから成功してきたんだ、今の俺がいるんだ』と答えづけをすることなってしまいますが、自分にはそういう感覚がなかった」と明かす。新書をセレクトした理由に関しては「『二宮和也はこう思っているよね』という立場になれると感じたから。責任を持つことが多くなってきた自分の振る舞い方について、客観的に整理できたんじゃないかなと思います」とコメントし、「読んだ人が『これは持っておきたいな』と感じられる言葉があればいいな」と願う。
嵐の活動再開にびっくり
本書には、二宮が所属するグループ・
アイドルはかゆいところに手が届く存在
“アイドル”としての信念に話が及ぶと、「かゆいところに手が届く存在でありたいと思っていました。自分たちを支持してくれるコミュニティの人たちに喜んでもらえるのが第一。そこが満たされていけば、お茶の間と呼ばれるところで応援してくださる方たちのもとにようやくたどり着ける」と自身の考えを示す。続いて嵐を例に挙げて「応援してくださる方々のお父様・お母様が『嵐のコンサートだったら行っていいよ』と言うような存在であれたらと常に思っています。挑戦も冒険もしつつですが、安心と安全につながるものも必要」と真摯に話した。
ジャニー喜多川への思い
「一番会ってみたい人は」のトピックでは、旧ジャニーズ事務所の創業者である故・
「触れないといった選択肢もあった中、なぜあえて名前を出して、問題に言及しようと思ったのか?」との質問には「この本を作るきっかけではないけれど、“大元”にいた人なので。あの人が人様に迷惑をかけずに生活してくれていたら、僕はずっと所属していた事務所もなくならなかったし、こういう道(独立)もたどることもなかっただろうし。『でもあいつは何も言わないんだよな、なんだろうなあ』とずっと考えていました。だから『会って謝ってもらおう』と話したんだと思います」と正直に回答する。また「これは僕の完全な偏見ですけど、そうしてもらいたいタレントはいっぱいいたんじゃないかな。言えない人も、言いたくない人もいるでしょうし。世間様で言われている問題に対しても謝っていただきたい。ただ、僕は役職や位を全部外した状態で“一対一の人間”としてそういう話ができたらな、と感じてはいました」とも語った。
エゴサーチで幅が広がった
「独断と偏見」にはSNSでのエゴサーチに関する話題も扱われる。まだ一般的でなかった時代はファンレターから世間の温度感を探っていた二宮は「エゴサーチができるようになって幅が広がりました。連続ドラマとか、続くものに関しては徹底的に意見をすくい上げています。考えを変えるためにやるわけではないけれど、これはよくなるかもと感じる点は洗い出していくんです。映画に関しては『いや、もうできあがっちゃってるので……』としか言えませんが」とにっこり。日曜劇場「
本作りは新しい体験
「どんな人、誰に読んでほしい?」との問いには「同世代はもちろん、働き方の価値観が違う世代の人たちに自分の考えがどう受け入れられるのか、どういった感想が出てくるのかは気になる」と返答する。本作りにあたって、まず編集から「黒ペンで書かないで」との希望があり、色ペンを買いに行くことから“本作り”を始めたとのこと。「新しい体験でした。僕は連載までしている人間でありながら、本のできあがり方がわかっていなかったんです」「せっかく『一緒に作ってみませんか』と言ってもらえたのだから、とことん作り方を見てみようとも思えましたし、自分らしさの純度が高めなものが作れたんじゃないかなと思っています」と充実感たっぷりの表情を見せた。
なお二宮の主演映画「
「独断と偏見」著者の二宮和也 30秒メッセージ
「独断と偏見」著者の二宮和也インタビュー(5つのQ&A)
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二宮和也の新書「独断と偏見」は“らしさ”純度高め 嵐、アイドル、エゴサーチへの思いも語る https://t.co/o8pW8mefX1
二宮和也が、42歳の誕生日を迎える6月17日に初めての新書『独断と偏見』を集英社新書より刊行する。