「新世紀ロマンティクス」主人公はなぜ言葉を発さない?ジャ・ジャンクーがその理由語る

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映画「新世紀ロマンティクス」より、監督を務めたジャ・ジャンクー(賈樟柯)のインタビューコメントが到着した。

ジャ・ジャンクー(賈樟柯)

ジャ・ジャンクー(賈樟柯)

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「新世紀ロマンティクス」ポスタービジュアル

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中国激動の22年間とともに2001年、2006年、2022年という3つの時代にわたる主人公チャオの旅路を描いた本作。ジャ・ジャンクーの妻であり、彼のミューズでもあるチャオ・タオ(趙濤)がチャオを演じた。

「新世紀ロマンティクス」メイキング写真

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青の稲妻」「長江哀歌(ちょうこうエレジー)」といった過去作の本編映像やドキュメンタリー映像を使い、22年という歳月をかけて本作を完成させたジャ・ジャンクー。彼は「『過去作を再利用して映画を作った』というよりも、『ずっと撮り溜めていた映像がこの作品の素材になった』という感じです」と述べ、「2001年は新世紀を迎えて、誰もが未来に可能性を感じていました。インターネットや携帯電話が普及し始め、人が流動し、都市化が進み……大きなエネルギーを感じました。中国がWTOに加入し、オリンピックの開催国に決定するなど社会的・経済的な成長も後押ししたと思います。その時代の艶やかさに惹かれたのがこの作品を作ったきっかけです。2001年に撮影を始めたときは2、3年くらいの企画になるだろうと思っていたのですが、なかなか終わりが見えませんでした」と振り返る。

左からチャオ・タオ(趙濤)、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)

左からチャオ・タオ(趙濤)、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)[拡大]

続けて「コロナ禍になったとき、1つの時代が終わると感じました。中国政府はステイホームを推奨し、フライトもなくなり、国境は封鎖され、他国と行き来ができなくなってしまった。あれだけエネルギーにあふれていた社会が停滞しました。そのとき、ずっと撮影していたこの企画のことを思い出したのです。そこで、昔を懐古するのではなく、新世紀を迎えてから現在に至るまでの自分や社会の在り方を考え直しました。そして、コロナ禍で滞りなく撮影を進めるために、初めて脚本を書き始めました」と明かした。

「新世紀ロマンティクス」場面写真

「新世紀ロマンティクス」場面写真[拡大]

「新世紀ロマンティクス」場面写真

「新世紀ロマンティクス」場面写真[拡大]

全編通して主人公のチャオは言葉を発さないが、撮影時点ではセリフがあったそう。ジャ・ジャンクーは「編集を始めて20分くらいしたところで『なんだか面白くないな』と感じました。男女の話を語るのに20年も必要だろうか、と疑問を感じました」と述懐。「チャオはその時代の人たちがどんなことをして、どんな感情でいたのか、どんなできごとがあったのか、観客とともに目撃する人物です」「『語ることによって、素材に対する自分の思いを狭めているのではないか、ヒロインがしゃべらないほうが耳を澄ませて、目で観るものを敏感に感じ取れるのではないか』と思いました。言葉にすることによって、複雑な感情を単純にしてしまっているような気がしたのです」と思い返し、「セリフをなくしたことで、『一言では語れない』という気持ちが作品に詰まったと思います。これは映画にしかできない表現です。映画そのものが言葉なのです」と伝えた。

「新世紀ロマンティクス」は、全国で公開中。

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