「白い巨塔」で知られる小説家・山崎豊子の生誕100年を記念した本作。吉本興業の創業者・吉本せいをモデルに、ショービジネスに人生を捧げた興行師・河島多加(かわしまたか)の生涯が描かれる。21歳で大阪・船場の呉服店に嫁いだ彼女は、破天荒な夫・吉三郎によって経営悪化の岐路に立たされたことを機に「いっそ、道楽を本業に」と場末の寄席小屋を買い、夫婦で寄席商売を始める。しかし吉三郎は愛人を作った末にあっけなく他界。多加は夫が残した借金を返済するため、持ち前の根性と商才で小屋を拡大し、大阪の街に笑いを届けていく。
伊藤英明が演じたのは、北川扮する多加の夫・吉三郎。三度の飯より寄席通いが好きで、先代亡きあと、派手な振る舞いに拍車がかかり店は火の車に。多加の発案で興行師にくら替えするが、やがて愛人宅で突然死してしまう。山崎作品には「白い巨塔」「女系家族」に続き、3作目の出演となる。伊藤英明は今回の発表に際し、「山崎先生の作品は深い人間ドラマと社会的なテーマが描かれており、今なお多くの人々に愛されています。そんな名作の一部を担うことができるのは、俳優として大変名誉なことです」と述べた。
また上川は、夫亡きあと、多加がひそかに恋心を抱く紳士・伊藤友衛(いとうともえ)役で出演。市会議員で多加が席主を務める花菱亭をひいきにしており、彼女の店がある窮地に陥ったときに救いの手を差し伸べる。北川とは今回が初共演となった上川は「こちらが見習いたくなるほどの立ち振る舞いで、私自身も襟元を正される思いでした」と述懐。北川は「伊藤英明さんは現場を盛り上げてくださいますし、お芝居も引っ張ってくださるので、伊藤さんが吉三郎役だと聞いたときはとても安心しました」「インバネスを羽織って現場に現れた上川さんの姿が、想像していたとおりの友衛さんで……とにかく素敵でした!」とコメントしている。
「花のれん」は2025年に放送。脚本は「Dr.コトー診療所」の吉田紀子が執筆し、監督は「ゆりあ先生の赤い糸」の竹園元が務めた。
伊藤英明 コメント
オファーを受けたときの気持ち
生誕100周年という記念すべき節目に、山崎豊子作品に出演できて非常に光栄です。山崎先生の作品は深い人間ドラマと社会的なテーマが描かれており、今なお多くの人々に愛されています。そんな名作の一部を担うことができるのは、俳優として大変名誉なことです。
自身の役をどのように捉えているか
吉三郎というキャラクターは女性好き、お酒好きという一面を持ちつつも、その背後には非常に人間味あふれる人物像があると感じています。演じるにあたっては、表面的な部分だけでなく、彼の内側にあるやさしさや思いやり、そして彼が抱える葛藤や悩みもしっかりと表現したいと考えています。彼の人生の喜びや悲しみ、成功や失敗を通じて、吉三郎という人物の魅力を最大限に引き出すべく、全力で演じています。視聴者のみなさんにも吉三郎の人間性に深く触れていただけることを願っています。
北川景子の印象
北川景子さんは、現場での集中力がものすごいです。一緒にシーンを作るのはとても刺激的で、お芝居への真剣な姿勢には毎回感心させられます。普段はとても気さくで、一緒に仕事をしていて楽しい方ですね。
本作は東映京都撮影所で撮影が行われているが、京都で楽しみにしていること
京都撮影所は多くの名作が生まれた場所で、その歴史の一部になれた気がして、いつ来ても感動します。ここでの撮影は、やっぱり特別ですね。撮影の合間に、京都の景色を楽しむのもリフレッシュになります。
視聴者へのメッセージ
「花のれん」は、明治から昭和の大阪を舞台にした人間ドラマで、ヒロインの多加をはじめとする登場人物たちが強い意志でさまざまな困難を乗り越えていく姿を描いています。このドラマを通じて、多くのみなさんに感動や元気を届けられることを願っています。ぜひ、楽しみにしていてください。
上川隆也 コメント
オファーを受けたときの気持ち
何より感じたのは、“ご縁”です。私が初めて携わらせていただいた山崎先生の作品は「大地の子」で、その放送はちょうど30年前。「白い巨塔」や「沈まぬ太陽」など、これまで折々に山崎作品に出演させていただきましたが、30年という節目にまたしても先生の作品に関わることができるとは、まさに“合縁奇縁”。不思議なご縁を感じます。
自身の役をどのように捉えているか
北川さん演じる主人公・多加が歩む人生は、乱高下といいましょうか、女性がひとりで切り拓くにはあまりにも険しい道のりです。そんな激動の日々の中、私は彼女がくつろぎを覚える相手として、その佇まいを大切に演じたいと思っています。
多加さんと友衛は最初の出会いこそ少々ささくれだったものではありましたが、だからこそ彼の印象は彼女の胸にも強く残ったのでしょうし、その後のほんの数瞬ともいうような逢瀬が、彼女の心のやすらぎにつながっていきます。彼がもたらすやすらぎを北川さんにも感じ取っていただきたいですし、ご覧になるみなさまにもそんな一幕となるような時間をお届けしたいと思っています。
北川景子の印象
北川さんとは初めてご一緒させていただきましたが、大変、役柄に真摯に向き合っていらっしゃいます。こちらが見習いたくなるほどの立ち振る舞いで、私自身も襟元を正される思いでした。短いながらもご一緒できることをうれしく思っています。
本作は東映京都撮影所で撮影が行われているが、京都で楽しみにしていること
私自身はあまり街に繰り出すことはしない性質なので、京都に来たからといって何かを味わったり、どこかに赴いたりということはありません。そんな私にとって京都での撮影での楽しみは、撮影所のみなさんにお会いすること。京都撮影所の持つ“人の温もり”に触れることが、最大の喜びなんです。そんな環境が得られたことをとてもうれしく思っています。
視聴者へのメッセージ
ドラマに関わらせていただいている立場から見ても、世界観の再現が著しく難しいのが近代だと思います。特に、明治から昭和初期にかけての世界を映像として構築するのは技術も手間もかかります。だからこそ、まずは作品の空気感を味わっていただき、山崎先生の描かれた女傑の一代記を楽しんでいただきたいと思います。
今とはまた違う意味で世知辛い世の中だった時代、辣腕を振るい、一喜一憂しながら駆け抜けた多加さんの人生には共感していただけるものが多々あるはずです。今を生きる私たちの心にしっかりと響く作品だと思います。
norikichishio @norikichishio
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