「ひろしまアニメーションシーズン2024(HAS)」に併設されたシンポジウム「配給成功事例研究 シュヴァンクマイエルから『
映画祭と連動してシンポジウムなどを行う、ネットワーキング型アカデミープログラム「ひろしまアニメーションアカデミー&ミーティング(HAM)」。同シンポジウムでは、1990年代から日本で根強い人気を誇る
2001年からシュヴァンクマイエルと交流を続けるホリーは、シュヴァンクマイエルからの「最近目をけがしたけど元気です。広島に行けなくて残念です」というメッセージを紹介しつつ、彼の生い立ちやフィルモグラフィを紹介する。ホリーは「日本では1990年代から『シュヴァンクマイエルの世界』など彼のいろんな本が刊行されていて、それが現在も続いている」と述べ、「シュヴァンクマイエル本人は、(世界的に見ても)異常な日本での人気について『日本人は間違っています。私のことを本当に理解しているのでしょうか?』と冗談交じりに言っていました」と話して参加者の笑いを誘った。
続いて、2019年の新千歳空港国際アニメーション映画祭で日本初上映され、2023年に日本で劇場公開された「オオカミの家」の話題へ。山下泰司は「2020年にアメリカのサイトで『オオカミの家』の予告編を観て『なんじゃこれは』とびっくりしたんです。その後全編観て『ヤバい、どうにか日本でやりたい』と思ったんですが、社内ではなかなか相手にしてもらえなくて。そんなとき、ザジフィルムズさんからやりたい作品はないかと聞かれ、『こんな面白い作品がある』と伝えると、代表の方が『やろうよ』といってくれました」と経緯を説明する。笹川は「アニメーションの新作を手がけるのは近年なかったのですが、うちの代表は(『オオカミの家』の)映像を観る前に『やったら面白いんじゃない?』と反応していました」と当時を回想。一方で「なぜヒットしたのか、今もわからない」と吐露しつつ、2023年の初めから動き出したという宣伝の方針などを語っていく。
「オオカミの家」は、元ナチス党員が1960年代初頭にチリに設立した悪名高い宗教コミューン「コロニア・ディグニダ」にインスパイアされた“ホラー・フェアリーテイル”。笹川は宣伝方針を考えるにあたって「JUNK HEAD」(2021年公開)、「マッドゴッド」(2022年公開)といったストップモーション作品や海外アニメーションのヒット作を洗い出したという。「『
宣伝ポイントは「誰も観たことのないスタイルのストップモーションアニメーション」「史上もっとも暗いアニメーション映画(怖すぎる)」「注目の2人組アーティスト・監督(レオン&コシーニャ)」の3つ。さらに「
わずか3館で始まった同作の上映において、メイン館となったシアター・イメージフォーラムの山下宏洋は「面白かったのは、クエイ兄弟(双子の
今後の海外アニメーション作品の配給について話題が及ぶと、山下泰司は「2000年代のアート系というと短編が多かった。近年は流れが変わってきていて、『めくらやなぎと眠る女』や『リンダはチキンがたべたい!』など年に何本も長編の良作がシネコンにもかかっている状況。今ひとつ当て損ねていることに悔しい思いをしているけど、丁寧に宣伝して1本1本大事に経験を重ねていくしかないのでは」と見解を示す。続けて「この手の映画はあまりたくさんの場所で公開しないほうがいいと思う。『オオカミの家』の上映館を3館から80館に拡大していったように、お客さんを散らばらせずに『すごく人が来ている』という状況を作るのも大事」と語った。
なお「オオカミの家」は、公開1周年を記念して8月17日から30日までシアター・イメージフォーラムにてアンコール上映を開催。8月19日と20日の上映後には、コシーニャが舞台挨拶に登壇する予定だ。
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男は全員メガネにヒゲ笑。
【イベントレポート】「オオカミの家」が日本で成功したのはなぜか、配給・宣伝・興行担当が分析 https://t.co/lhmW0RdD92