絶望なんかしていない、ハンセン病の回復者・宮崎かづゑを追った映画「かづゑ的」本予告

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ハンセン病の回復者・宮崎かづゑを追ったドキュメンタリー映画「かづゑ的」の本予告が、YouTubeで解禁された。

「かづゑ的」メインビジュアル

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「かづゑ的」場面写真

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「作兵衛さんと日本を掘る」の熊谷博子が監督を務めた同作。熊谷は、岡山県瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・長島愛生園で80年以上暮らしてきた宮崎に8年にわたって伴走して映画を作り上げた。

「かづゑ的」場面写真

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本予告の冒頭で、宮崎は「“患者は絶望なんかしていない”というところを残したい」とドキュメンタリーの撮影依頼を受けた理由を明かす。続いて彼女が暮らす土地の風景や、日々の暮らしぶりが映し出されていく。

あわせて、同作を鑑賞した著名人からコメントが到着した。ドキュメンタリー監督の大島新は「同じ作り手の一人として、熊谷博子監督が放った豪速球が、ずしんと胸に響いた」と、映画監督の原一男は「ヒロインのかづゑさん、この人の発する言葉のセンスの抜群の良さに心底、驚嘆した」と思いをつづる。女優の渡辺美佐子は「常人には想像もできない辛さも酷さも、呑み込んでしまう子どものようなかづゑさんの率直さと明るさに勇気をいただきました」と感想を寄せた。

「かづゑ的」は、3月2日から東京・ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開。

※宮崎かづゑの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

映画「かづゑ的」本予告

大島新(ドキュメンタリー監督) コメント

何度も笑って、泣いた。そして「すげぇ…」と唸った。かづゑさんの壮絶な人生と夫婦の愛の物語は、とてつもない人間賛歌である。何より、記録としての価値の高さが半端じゃない。
同じ作り手の一人として、熊谷博子監督が放った豪速球が、ずしんと胸に響いた。

鎌田慧(ルポライター)コメント

どんな逆境でも、輝いて生きている人びとがいる。この映画の主人公、元ハンセン病患者の宮崎かづゑさんが切り拓いた人生は見事だ。見終わると「自分も元気に行こう」と足取りに力が入っている。

斎藤美奈子(文芸評論家)コメント

かつてハンセン病者が激しい差別を受けていたことも、1996年にようやく「らい予防法」が廃止されたことも、瀬戸内の島に療養所があることも知っていた。だけど、そこで暮らす人たちの生活は?
宮崎かづゑさんは知的でおしゃれな、しゃんとした人である。島の美しい自然とそこでの人生。「ちゃんと生きたと思う。どうでしょうか」と語るかづゑさんの言葉に、あなたは大きな励ましを得るだろう。

坂手洋二(劇作家)コメント

映画を観たその衝撃がなかなか消えない。かつて「お召し列車」という劇で、ハンセン病罹患者のための唯一の定時制高校、新良田(にいらだ)教室にまつわる物語を描いた。「かづゑ的」には、かづゑさんたちが住んだ新良田浜の鮮やかな海の風景が、ふんだんに出てくる。瀬戸内は、外洋に比べると海の透明度は低いが、この穏やかさ、包容力は内海ならではで、かづゑさんの魅力、その温かさ、厳しい現実に立ち向かう決意と誇り高さも、この海で育まれた。ラストシーンのかづゑさんの台詞は、劇作家には、書けない。

沢知恵(歌手)コメント

かづゑさんは生活を大事に生きてきたひとりの女性であり、強烈な芸術家である。
ことば、絵、存在そのものに、私はとりこになってしまった。
岡山に引っ越して10年。長島愛生園でかづゑさんと出会えたことは、神さまからの贈り物。
なーんていうと、「私を持ち上げないで!」というにきまっている。
油断ならない。愛らしく、おそろしい人である。
そんなかづゑさんに、映画で出会ってほしい。

田島征三(絵本作家・美術家)コメント

深く酷しい差別という溝を、時(トキ)もゆっくり流れていくのでしょう。
熊谷監督のやさしい目は、この映画を観る人の心のやさしさになって、
ゆっくりとかづゑさんの悲しみと寄り添ってゆきます。

寺尾紗穂(音楽家・文筆家)コメント

「らい」を生き抜くとは?
すべてを見てほしいと、カメラが許可された入浴シーン
かづゑさんのたくましい太ももが全てを語っていた。
記録者と被写体の、間違いなく幸せな出会いだ。

中江有里(俳優・作家・歌手)コメント

「長い道」「私は一本の木」かづゑさんの本は、わたしの書棚に並んでいる。苦しみも涙も、生きる力に変えてきたかづゑさん。
その原動力は愛。本作を観たあと、かづゑさんへの愛はさらに深まった。

永田浩三(武蔵大学教授・ジャーナリスト)コメント

風が吹き、葉がそよぎ、波が打ち寄せる島で、かづゑさんと熊谷監督の覚悟が共鳴しあい、宝物のような作品が生まれました。それを夫の孝行さんが支えました。人生、幸せ、天国、地獄……、かづゑさんがその言葉を口にする時、確かにそれはこの世に存在するように思えてきます。かづゑ的、チャーミングで誇り高き人生に涙します。

原一男(映画監督)コメント

「かづゑ的」ヒロインのかづゑさん、この人の発する言葉のセンスの抜群の良さに心底、驚嘆した。「らい病」という過酷な人生が言葉のセンスを磨いたのだろうか!
言葉を自在に操ることで、かづゑさんは自由を獲得して生きてきたんだなあ、と、その清々しさに胸が熱くなる。

三宅民夫(フリーアナウンサー)コメント

涙と笑い。天国と地獄。
ハンセン病回復者の心情がリアルに伝わり、胸を打たれる。
艱難辛苦の極限を生きたかづゑさんと家族。8年間の撮影を通じ、心の奥底に秘めた思いが吐露される。これまでほとんど伝えられなかった思いだが、かづゑさんの言葉に私たちも励まされる。深みと迫力ある力作!

宮崎信恵(映画監督)コメント

見ごたえのある、いろいろな面で考えさせられる映画だと思いました。
孤高のかづゑさんの生き方は元ハンセン病患者ということを超えて、凄いと思いましたし、生きにくい世の中で信念を通して生きることの美しさを感じました。

森達也(映画監督・作家)コメント

誰もが知っている曲である「ふるさと」は彼女にとってつらい曲。言われて思う。それはそうだ。全身で喜びと悲しみを表すかづゑさんに熊谷監督は出会った。個を撮りながら普遍を示す。その結晶を僕たちは目撃する。

山川建夫(フリーアナウンサー)コメント

「かづゑ的」を観てから、かづゑさんの表情、声に取りつかれたままです。あらゆるくびきから解き放たれた人間の存在感にひたすら打たれました。それは、かづゑさんが「らい病」になって以来、獲得してきた自由ではありますが、そうした経験をたどらなくても、人間は自由になれるという可能性を示されたような気がします。

渡辺美佐子(女優)コメント

常人には想像もできない辛さも酷さも、呑み込んでしまう子どものようなかづゑさんの率直さと明るさに勇気をいただきました。すべてを語るかづゑさんの指を失った手が忘れられません。

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