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瀬尾まいこの同名小説を映画化した本作は、パニック障害とPMS(月経前症候群)を抱えた者同士が、少しずつ互いの殻を溶かし合っていく物語。松村がパニック障害を患う自分の現状に不満を抱く山添孝俊、上白石が山添の同僚で月に1度PMSによるイライラが抑えられなくなる藤沢美紗、光石が山添と藤沢が働く栗田科学の社長・栗田和夫を演じている。
松村は「生きるのが少し楽になる。そんな作品になっています。この映画が広く皆さんのもとに届けばいいなと思っています」と紹介。上白石は、生きづらさを抱える2人を描いた同作について「今日お越しの皆さんも何かしら抱えているものがおありだと思います。常に完璧で幸せでハッピーな人はなかなかいない。この映画はたまたま山添くんと藤沢さんが主人公になっていますが、そういう意味で、みんなの、すべての人のための映画だと思います」と語った。
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では夫婦を演じていた松村と上白石。共演を重ねて感じた互いの魅力を聞かれると、松村は「その場になじむ力」と切り出し「この作品は街が主役のような映画。僕らにとって、その街にいて、どれだけ違和感がないかがすごく大事。上白石さんは初日の最初から、そのへんから現場に15分ぐらいかけて歩いて来たのかな?と思うような佇まいとしゃべり方をされていて。その感覚がものすごく鋭い。それは朝ドラのときもそうでしたが、もう本当に追随を許さないです(笑)」とたたえた。
この言葉に、上白石は「“ここにいさえすればいい”という現場を監督やスタッフの皆さんが作ってくださったので、そこに行けば藤沢さんがわかる状態になってました。それはキャストの皆さん、“松村先生”のおかげでもあります」と返答。続いて松村の俳優としての魅力を「役に溶け込むのが本当に早い。その人としてワンシーン目からいらっしゃるし、その人として話すのをすごく自然にされる役者さん。本当に他の追随を許さない」と松村の言葉を借りながら答え、笑いを誘った。
前作の「ケイコ 目を澄ませて」が国内外で高く評価された三宅。三宅組初参加となった光石は「評判はほかの映画人からたくさん聞いていて、お声をかけていただいて本当にうれしかった。会う前は『おっかない監督かな』と思ってたんですけど」と吐露すると、松村も「強面だから」、上白石も「思いましたね……」と同意する。続けて光石は「でも、そんなことはなくて。スタッフを引っ張って、僕らにも寄り添ってくれる。すごくバランスがいい、現場を統率するリーダーシップのある監督」と称賛した。
上白石は忘れられないエピソードとして初日の最初のシーンを撮り終わった瞬間に、三宅が「撮り終わっちゃった。寂しい!」と漏らしたことを述懐。「それにびっくりして。『もう寂しいんですか?』って聞いたら『だって、映画を撮るの楽しくね?』と(笑)。そういう楽しさで連れて行ってくれて、嫌な緊張感がまったくなかった」と明かす。松村は三宅が俳優やスタッフの意見を柔軟に聞く点に触れ「とにかく、みんなでフラットに一丸となって作った。自分ははじっこにいる人間じゃないと全員に思わせてくれるような。映画を作りながら人間関係を作っているような、本当に素敵な方でした」と振り返る。
これらの称賛を受け、三宅は謙遜しながら「(原作が)そういう小説なんです。そういう映画であり、そういう会社(栗田科学)なんです。そう作りたいとプロデューサーともしゃべっていました。口で言ったからどうにかなるものではないですが、それぞれみんな小説が好きで、打ち合わせを重ねながら、ゆっくりそういう空気が生まれていったと思います。三宅の話ではなく、みんなの話。本当に小説が引っ張ってくれたと思います」と伝えた。
「夜明けのすべて」は2月9日より全国でロードショー。
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矢口晶一 @tamagawajyousui
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