映画「
南博の回想録をもとにした本作。彼をモデルにした主人公を「南」と「博」という人物に分け、昭和63年の東京・銀座のキャバレーを舞台に、2人のピアニストの運命が交錯する一晩が描かれる。才能にあふれているが夢を見失っている南と、ジャズマンになる夢に向かって邁進するロマンチストの博を池松壮亮が1人2役で演じた。
「緊張してあんまり前(客席)を見れない」と笑った冨永は「舞台は昭和63年となっていますが、時代のことよりも、1人のピアニストが何を考え、ぶつかって、自分の道を見つけたのかを観てほしいですね。南さんの若い頃のいろんな経験に感銘を受け、(映画化まで)10年以上かかりましたが、一緒に登壇してくださっている素晴らしい俳優さん・スタッフの皆さんとこういう日を迎えられてうれしいです」と挨拶。さらに「僕は23歳から35歳まで(東京・四谷にある)いーぐるというジャズ喫茶でバイトをしていて、並行してジャズライブの撮影をしていました。その頃に南さんの原作が刊行されて、担当編集の方とも知り合いでした。いろんな人から『この本は映像化したほうがいい』と声が上がっていて、内心は僕がやればいいんじゃないかと思っていました」と回想した。
撮影を振り返った池松は「本当に楽しかったですね。できあがりにすごく満足していますし、冨永作品にどっぷり浸れたような気がしています。独創的な冨永マジックや映画技法を存分に感じられました」と語る。MCから「『ゴッドファーザー 愛のテーマ』は半年レッスンして、池松さんご自身が弾いたんですよね?」と振られると、池松は「弾くなんて言わなきゃよかったですよね(笑)。伸び悩みました。素晴らしいピアニストの魚返(明未)さんが音楽監修で入ってくれて、『愛のテーマ』をジャズアレンジしてくれたんです。とてもかっこよくて、だけど、あまりに難しくて」と苦労した様子。池松の実家では常にジャズが流れていたそうで「父もジャズ好きで、僕の根底に流れているリズムはジャズなんです」とも話す。
森田は自身が演じた謎の男“あいつ”について「彼には空白の時間があって、取り残されたような人。時代に合っていない、過去に縛られている感じがします。なんかかわいそう、でも優しい男かなと思います」と説明し、「冨永さんがその場でいろんな演出をするので怖かったですね。何を言い出すかわからなくてドキドキしていました」と当時の心境を明かす。一方冨永は「森田さんが作ってきた役柄がものすごくかわいそうで、悲しみにあふれていた。本当は和田という名前も付けていたんですが、森田さんの作った役があまりにもという感じだったので、普通の名前は違うなと思って“あいつ”にしました」と経緯を述べた。
お調子者のバンドマスター・三木に扮した高橋は「ああいう人って本当に1980年代の夜の街にいたんですよね。調子のいい、この人このままで大丈夫かな?という人。今はそういう人がいなくなっちゃったというか、そういう人が生きられない時代になっちゃったのかな。あの時代はまだああいうふうに生きられたんですよね」としみじみ。「今回はジャズギターで、僕のいつものスタイルと違うので、講師の方に教えていただきました。それで現場に行ったら池松くんが本当にピアノを弾いているから、なんだこれ本物じゃんと思って(笑)。クリスタル・ケイさんも松丸契さんも、本物のミュージシャンが俳優として出ているわけで、これはただごとじゃないよなと。いい音楽映画ができた」とその豪華さに感動したことを振り返った。
終盤には、作品にちなんで「まだあきらめきれない夢は?」という質問も。池松は「僕は地方の出身で東京に出てきて15年ほど経ちましたが、毎年東京の花火大会に行ってみたいと思っています」、森田は「なかなかあきらめてきたからな……(笑)。でも、おっきい家に住みたいですね。部屋はあるだけあったほうがいいし、好きな木を植えたい」と答える。高橋は「夢とかもうないんです。生きているだけで精一杯」と冗談を飛ばしつつ「人生であきらめられないことは酒とたばこ。あなた(このままじゃ)死ぬよって言われても、あきらめきれない」と満面の笑顔に。MCからは「この作品にぴったりの締めです(笑)」と返されていた。
「白鍵と黒鍵の間に」は10月6日に東京・テアトル新宿ほか全国で公開。
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