ジャズトランペッター、ロイ・ハーグローヴ最期の夏に密着した映画が公開

49歳で死去したジャズトランペッター、ロイ・ハーグローヴのドキュメンタリー映画「Hargrove」が、邦題「ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅」で11月17日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開される。

10代でプロデビューし、ジャズの伝統を受け継ぐ正統派かつエネルギッシュなプレイで、瞬く間にシーンの寵児となったハーグローヴ。若くしてソニー・ロリンズ、オスカー・ピーターソン、ハービー・ハンコックらに起用される一方、自身のバンド「ロイ・ハーグローヴ・クインテット」を率いて活躍した。

また、エリカ・バドゥ、クエストラブ、モス・デフ（ヤシーン・ベイ）らと交流し、“ネオソウル”と呼ばれた新しいブラックミュージックの潮流の創出に貢献。プロジェクト「RHファクター」ではジャズとR&B / ヒップホップを本格的につなぐ先駆者となり、ロバート・グラスパーに連なる現代ジャズシーンの礎を築いた。だがその生涯は病と隣り合わせで、晩年は腎障害のため透析治療を受けながら活動。2018年夏のヨーロッパツアーに密着した本作では、体調が万全でない中、ハーグローヴが命を燃やすように演奏する姿を捉えている。さらにハーグローヴだけでなく、音楽仲間の貴重な証言も収められた。

本作の監督エリアン・アンリは「この作品は、一人の男性の人生を描いているだけでなく、アメリカの歴史を通してジャズ音楽と文化が果たした複雑な役割を明らかにしています」とコメントしている。

エリアン・アンリ コメント

私がロイ・ハーグローヴに初めて会ったのは1990年のことです。
叔母に連れられて、ハリウッドのカタリナ・バー＆グリルで行われた彼のライヴを観に行きました。
それまでにも、叔母と一緒に多くのジャズの巨匠を観に行ったことはありましたが、同世代のミュージシャンがジャズを演奏するのを観るのは初めてでした。
ロイのトランペットの音を初めて聴いたとき、私は彼の偉大さを認識しました。
以来、ロイと私は、何年にもわたって非常に強い絆と友情を育んできました。
大学卒業後、私は音楽業界でキャリアを積み、最終的にはPRやイベントの仕事をするようになり、多くのパーティーでロイに演奏を依頼するようになりました。

2016年7月、私はロイに、彼の人生についてのドキュメンタリーを制作させてもらえないかと持ち掛けました。
彼は「イエス」と答え、私たち2人は2018年1月に撮影を開始する前に、1年半の間コンセプトを熟考しました。
それから2018年を通して、私はロイと一緒にヨーロッパで最も美しい6つの都市を含む8都市と3カ国で撮影しました。
私たちは、このドキュメンタリーがロイの人生の最後の1年についての映画になるとは思っていませんでした。
彼が亡くなったとき、私たちが友人になって28年の月日が経っていました。

この映画は、トランペットの伝説的存在であるロイ・ハーグローヴの最後の1年間を描いたものです。
彼は最後の夏のヨーロッパ・ツアーで、自分の人生を振り返り、若いミュージシャンに伝えたい知恵を語っています。

ロイは、彼の最後の日々の貴重な映像や、音楽業界のアイコンたちによるロイとの貴重な思い出を通して祝福されています。
この作品は、一人の男性の人生を描いているだけでなく、アメリカの歴史を通してジャズ音楽と文化が果たした複雑な役割を明らかにしています。