「岡田麿里様を尊敬」中島みゆきが「アリスとテレスのまぼろし工場」試写会にメッセージ

12

261

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 68 117
  • 76 シェア

劇場アニメ「アリスとテレスのまぼろし工場」のプレミア試写会が本日9月4日に東京・新宿ピカデリーで行われ、声優の上田麗奈久野美咲、監督を務めた岡田麿里が舞台挨拶に登壇。主題歌「心音(しんおん)」を書き下ろした中島みゆきが音声で期待のコメントを寄せた。

劇場アニメ「アリスとテレスのまぼろし工場」プレミア試写会の様子。左から上田麗奈、久野美咲、岡田麿里。

劇場アニメ「アリスとテレスのまぼろし工場」プレミア試写会の様子。左から上田麗奈、久野美咲、岡田麿里。

大きなサイズで見る(全14件)

「アリスとテレスのまぼろし工場」ポスタービジュアル

「アリスとテレスのまぼろし工場」ポスタービジュアル[拡大]

本作は突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町を舞台とした物語。主人公の正宗は気になる存在の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこには言葉を話せない、野生の狼のような少女がいた。上田が睦実、久野が謎の少女・五実に声を当てている。なお正宗役の榎木淳弥は、新型コロナウイルス感染のためイベントを急遽欠席した。

岡田麿里

岡田麿里[拡大]

物語の舞台となるのは、いつか元の世界に戻るために、“変化は悪”とされる不思議な街・見伏町。この設定を思いついたきっかけを問われた岡田は「世代もあるのかもしれないですけど、変わっていくことがいいこと、変わらないことはダメなことと言われて育ってきた。正直、変わることに対して焦りとか、マイナスに思ってしまう気持ちもある。時代的にもなんとなく閉塞感を感じる中で、変化ができないってこういうことなのかな?と考えたり、変化って勝手にしちゃうものと思ったりしたんですね。そのへんを書いていけたらと思いました」と明かす。

上田麗奈

上田麗奈[拡大]

上田麗奈が声を当てる睦実。

上田麗奈が声を当てる睦実。[拡大]

そんな街に「もし自分が飛び込んだら?」と聞かれた上田は「ポジティブに受け取るのか、ネガティブに受け取るのか……」と話し出し、「私は、どちらかと言うとポジティブに受け取ってしまうかも。それはうちに猫ちゃんがいるから。ずっと変わらずに、ずっと一緒にいられるなら、それは幸せだなと思っちゃう」と笑みをこぼす。一方の久野は最初に脚本を読んだときに感じた“息苦しさ”に触れつつ「ネガティブなわけではなく、私たちの日常でも本来臨んでいる状況じゃないけど、安定して毎日暮らせるっていう感覚って、誰しも感じながら生きていたりする。だから、すっと入れて、日常生活と重ねられる部分もあるなと思いましたね」と話した。

榎木淳弥が声を当てる正宗。

榎木淳弥が声を当てる正宗。[拡大]

映画のキャッチコピーは「恋する衝動が世界を壊す」。本作において正宗と五実の出会いは、“変化を悪”とする世界の均衡を崩すきっかけになる。MCから「恋愛の作品を作りたかった?」と問われ、岡田は「うん。作りたかったですね」と告白。「恋より愛が偉いみたいな感じがある。でも比べられるものじゃなくてまったく違うもの。恋って本当に“落っこちる”。誰でもできるものじゃないと思うんですよね。その人のことをいいなと思って、じんわり好きになっていくのは愛に近い。否応なく好きになっちゃう。そのよくわからないパワー。恋のトリガー。その衝撃が世界を壊すことになるのかなと考えて。今までは愛情につながる恋愛を書いてきた。恋とはご無沙汰となった日々の中で、その激しさを書いてみたかったんです」と制作の原動力を語った。

久野美咲

久野美咲[拡大]

久野美咲が声を当てる五実。

久野美咲が声を当てる五実。[拡大]

本作の“恋する衝動”を受け取った感想を問われ、上田は「えええ」と困り顔。「全部を知っているから、どこを受け取った話をしたらいいのか、すごく悩んでおります」と吐露しつつ「うーん。でも、恋っていいなって、やっぱり思いました。もどかしい、苦しい。そういうのも観ていて、すごく感じました。でも、それがあるから、世界が変わる。終わったあとは、ほっとする気持ちもある。なぜほっとするかは、観て『これかな?』と思ってもらうのがいいと思います」とネタバレを慎重に避けながら話す。また久野は「五実を演じたからこそ、自分の人生と重ね合わせられた瞬間もあったりして。でも演じた私だけじゃなくて、ご覧になる皆さんも、そういう瞬間を味わえるのが、この作品なんじゃないかと思います」と投げかけた。

「アリスとテレスのまぼろし工場」場面カット

「アリスとテレスのまぼろし工場」場面カット[拡大]

とあるキスシーンのアフレコは、榎木、上田、久野の提案から3人が向かい合う形でアフレコを行ったそう。上田は、その真意を「3人の肉体というか存在をリアルに感じながらお芝居をしたいシーンだったので。そのシーンに限って、台本越しに役者さんが見える形でアフレコをしたいと提案させていただいて」と説明。岡田はこのときのことを「めちゃくちゃうれしかったですね。お互いに見ることがこういう作用を生むのか、と。見学していた声優さんも力が入ってしまう演技。本当にあの声をいただいたから、スタッフもすごいやる気になりました」と振り返った。

中島みゆきからの音声メッセージを聞き恐縮する岡田麿里。

中島みゆきからの音声メッセージを聞き恐縮する岡田麿里。[拡大]

中島はキャリアで初めてアニメーション作品に主題歌を書き下ろした。岡田は「本当にダメ元で、当たって砕けろの思いでお願いしましたら、このようなことに……」と参加の経緯を説明。音声メッセージにて、中島の「アニメーションの世界と中島みゆきっていう組み合わせは、なんだか異種格闘技みたいな気がするんですけど、そのへんのびっくり感も含めて、お客様に楽しんでいただけたら、とってもうれしいです! 中島は、とにかくもう岡田麿里様を尊敬申し上げておりますので、映画の完成を期待に満ち満ちてお待ちしているところです!」という茶目っ気たっぷりなコメントが流れると、岡田は恐縮した様子で「毛穴が開きまくって……(笑)。本当にありがとうございます」と感謝した。

最後に上田は「決してさわやかではない少年少女たちの青春。すごく曇り空が似合う、さびた匂いを感じられる。この映画にどっぷり浸かっていただくと、いろんな感情が渦巻いて、爆発しそうになる作品だと感じました」とアピール。久野は「誰かをまっすぐに好きになる気持ちって、すごく素敵なこと。好きっていう気持ちって、いろんなことを飛び越えちゃうと感じられて。ご覧になった人たちも、それを感じることができる作品になっていると思います。皆さんの心にがっしりと届くものがあったらいいなと心から願っています」と続ける。

左から上田麗奈、久野美咲、岡田麿里。

左から上田麗奈、久野美咲、岡田麿里。[拡大]

映画は昨夜に最終仕上げを終えて完成。この日、初めて劇場公開と同じバージョンが上映される。岡田は、これまでの道のりを振り返りながら「本当に完成するのか、スタッフ1人ひとりが不安だったと思います。でも、みんなの熱は途切れなかった。スタッフの熱量と愛情で走りきった。声優さんたちの声、みゆきさんの曲もいただいて、スタッフが皆さんの思いを力に変えて最後まで走りきって作った映像を観ていただきます。皆さんの中に少しでも何か引っ掛かるものがあればいいなと思います」と呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。

「アリスとテレスのまぼろし工場」は9月15日より全国ロードショー。アニメーション制作は「この世界の片隅に」「劇場版 呪術廻戦 0」などを手がけたMAPPAが担当している。

この記事の画像・動画(全14件)

(c)新見伏製鐵保存会

映画「アリスとテレスのまぼろし工場」本予告

読者の反応

まさざる @masazaru

「岡田麿里様を尊敬」中島みゆきが「アリスとテレスのまぼろし工場」試写会にメッセージ #SmartNews https://t.co/jTOajn2iZy

コメントを読む(12件)

関連記事

リンク

関連商品

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 アリスとテレスのまぼろし工場 / 中島みゆき / 岡田麿里 / 上田麗奈 / 久野美咲 / 榎木淳弥 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。