劇場アニメ「
本作は突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町を舞台とした物語。主人公の菊入正宗は気になる存在のクラスメイト・佐上睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこには言葉を話せない、野生の狼のような少女がいた。“恋する衝動”を武器に未来へともがく少年少女の姿を描く。アニメーション制作は「この世界の片隅に」「劇場版 呪術廻戦 0」などを手がけたMAPPAが担当した。
“変化が悪”とされる不思議な街という特殊な設定について、榎木は「時が止まってしまって、変わっちゃいけない。設定としてはファンタジー。でも現実世界でも変化を抑えつけられることは、学校でも社会でもある。そういう部分で僕も悔しい思いをしてきました。もっと違うことをしたいのに『同じようにしろ』と。そこが一番、共感できましたね」と話す。自身が声を当てた正宗については「この世界のどこかにいそうな人物像。葛藤を抱えながら、何かをやりたい!と考えていて、リアリティあるキャラクターだと思いました」と語った。
自らを“嘘つきな狼少女”と称するミステリアスな睦実に声を当てた上田。自身と似ている部分があったか問われると「私が中学生、14歳だった頃と似ているかもと思いました。自分の本当の気持ちとかを周りに出せなかった。出して嫌われてしまうのが嫌で。表に出せず、嘘つきになってしまう。そのどうしようもなさが、あの頃の自分と似ているなあと思いましたね」と答える。さらに「睦実は頭の中でいろんなことをたくさん考えている子。周りから見たらミステリアス。本人も無駄なアンニュイさを出してしまってる。でも出そうと思って出してるわけじゃないのが、人間っぽくて魅力的だなと思いました」と続けた。
変化が止まった町で唯一、成長を続ける謎の少女・五実に声を当てた久野は「本当に純真無垢で、世界のことを何も知らなくて、真っ白な状態の女の子。睦実と触れ合ったり、正宗と出会うことで、どんどん彼女の世界が回り始めて。真っ白だった彼女の心に、いろんな色がぽたぽたと、しずくが落ちるみたいに滲んでいく。そして、どんどん五実自身も変わっていく」とキャラクターを紹介。五実が睦実と正宗のとある行動に感情を爆発させるシーンもあり、久野は「初めて人に恋をして、でもどうしていいかわからない葛藤があって。本当に、どうしようもならないよー!という気持ちで叫ばせていただきました」と振り返った。
瀬戸は製鉄所の爆発事故をきっかけに失踪する正宗の父親・昭宗役で声優デビュー。アニメが大好きな彼が「声優の皆さんがしゃべるたびに、ワクワクしますね! あの声だ!みたいなファン目線です」と吐露して笑いを誘い、オファーについて「びっくりしましたね。僕でいいんだろうかと。そのへんは監督(大丈夫でした)……?」と投げかけると、岡田は「もちろんです!」と満面の笑みを見せる。
さらに瀬戸は「完成して自分の声を聞いても、いいのか悪いのか、よくわからない。普段のお芝居している感じと違いますよね……?」と横の林に振ると、林は「いや、第一声から瀬戸さんすごかった」と称賛。瀬戸が「どういう感想を持たれるのか、ドキドキして今日を迎えています」と話すと、会場からは拍手が贈られた。林は、自身が声を当てた正宗の叔父・時宗について「セリフを発する中で、どこか自己犠牲の精神を感じていて。守りたいもの、貫きたいもののために、自分を犠牲にして行動する。そこに魅力を感じました」と話した。
声の収録は、本編の絵が整う前に行われた本作。岡田は、声優陣の貢献を「アニメは絵と声が合わさって、1人の人になる。皆さんの演技をいただいて、それを絵に生かしたい気持ちがありました。皆さんの突破力のある演技に影響を受けて、絵にしていく。そういうキャッチボールができればと思ってました。すごく力のある演技をしていただいて、本当に感謝しています。声をやっていただいたというより、一緒にキャラクターを生み出したという感謝でいっぱいです」とたたえた。
劇中に出てくる「自分確認表」にちなみ「将来の夢」を語る場面で、「何十年先もアニメを作っていきたい!!」と宣言した岡田。最後には「すごく長い間、この映画を作ってきました。もう生活の一部になっているというか、喜びも苦しみも全部『まぼろし工場』の中にある数年でした。こうして本日皆様に観ていただけて本当にうれしく思っています。この会場にも何人かスタッフが来てくれています」と感謝し、今後に向けても「これからも一緒にやってきた人たちと、またみんなで新しい夢を見れたらと思います。そしてまた皆さんに観ていただくことができたらうれしいです」と語り、イベントの幕を閉じた。
上田燿司 @yo_z_ueda
担任の教師等で参加しています。
閉塞感の中もがく若い世代へのエールを送り、また我々世代から上の胸にも突き刺さる作品です
是非劇場で
バジリスクでお世話になった岡田麿里さんの監督作に参加出来て嬉しい✨
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