片渕須直、制作中の新作は「まだ何年か掛かると…」 平安時代の慣習リサーチの日々

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片渕須直が監督作「つるばみ色のなぎ子たち」の最新情報を発表するにあたり、本日5月21日にアニメーションスタジオ・MAPPAのイベント「MAPPA STAGE 2023」に登壇した。

「MAPPA STAGE 2023」に登壇した片渕須直。

「MAPPA STAGE 2023」に登壇した片渕須直。

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イベントでは新作のタイトルやビジュアルを解禁。「つるばみ色のなぎ子たち」は平安時代の物語で、片渕の過去作「マイマイ新子と千年の魔法」に登場した1000年前の少女との関連も示唆されている。片渕は2017年頃から構想を練り始め、本作のために制作会社コントレールを設立。新たにスタッフを募集し、若い世代を養成しながら鋭意制作中だという。

「つるばみ色のなぎ子たち」ティザービジュアル

「つるばみ色のなぎ子たち」ティザービジュアル[拡大]

解禁されたビジュアルは、灰色の十二単を着た少女の後ろ姿が描かれたもの。タイトルの「つるばみ」とはどんぐりのことで、そのかさを煮出すと黒い染料となり、当時は喪服の色として「黒つるばみ」が用いられた。また英題が「The Mourning Children Nagiko and the Girls Weairng Tsurubami Black」であることも発表。「The Mourning Children」は「喪に服す子供たち」という意味を持ち、「なぎ子“たち”」とは「なぎ子と少女たち」であると解説する。

片渕は「平安時代と言えば、色とりどりの十二単を着て、歌を詠んで、のどかに暮らしているイメージがあるかと。でもこのように、ずっと喪服を着ていた人たちがいたんです。喪服を脱げない、つまり常に人が死んでいたような時代でもあるんです」と語る。プロデューサーの大塚学は「平安時代というと歴史の勉強をしないとならないのかなと最初は思っていましたが、とてもとがった映画と言いますか。現代の物語だとしても響くものがあるなと。非常に楽しみです」と期待を込めた。

また片渕は制作にあたり、狂言の役者から当時の身のこなしを教わるほか、たいまつの燃え方の研究や、平安時代の流行病マラリアの原因となったボウフラの培養など、さまざまなリサーチを行っていると明かす。「ひょっとしたら画に起こしたら通り過ぎてしまうような場面かもしれませんが、『この世界の片隅に』で戦時中のものを1つひとつ解き明かして画にしたら、その中で生きていた人たちの気持ちがわかってきたみたいに、今回も1000年以上昔の人たちが、我々とどこが同じでどこが違うのか見えたうえで物語にしていきたい」と意気込んだ。そして「完成にはまだまだ何年か掛かると思いますが……」と口を滑らせ、「あまり掛かると困っちゃいますけどね」と大塚を苦笑させた。

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(c)つるばみ色のなぎ子たち製作委員会/ クロブルエ / (c)The Mourning Children Production Committee/ KUROBURUE

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tAk @mifu75

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