小松菜奈「余命10年」は“おばあちゃんになっても特別”、坂口健太郎＆藤井道人とトーク

「余命10年」のデジタル配信、Blu-ray / DVD発売を記念したイベントが本日7月20日に東京・スペース FS汐留で行われ、キャストの小松菜奈、坂口健太郎、監督を務めた藤井道人が登壇した。

小坂流加の同名小説を実写化した本作は、難病を患い恋はしないと決めた茉莉と、生きることに迷い自分の居場所を見失った和人を軸にしたラブストーリー。余命10年と宣告された茉莉は、同窓会をきっかけに再会した和人と、病を隠しながら同じ時を過ごしていく。小松が茉莉、坂口が和人を演じたほか、山田裕貴、奈緒、黒木華、原日出子、松重豊が出演した。

本作は3月4日に封切られ、興行収入30億円のヒットを記録。小松は「本当に特別なものになったのは間違いなくて、おばあちゃんになっても、そう思えると思います」と作品への深い思い入れを吐露する。映画を鑑賞した人から街中で声をかけられることもあるそうで「若い男の子や親子連れのお母さん、おばあちゃん、幅広い年代の方に観ていただけたんだなと実感できました」と明かし、撮影中から“すごいものができる”と予感していたという坂口も「豊かで美しくて、たくさんの方に愛してもらえる作品にはなかなか巡り会えない。この作品にとても感謝してます」と話した。藤井はキャスト・スタッフへ感謝を述べながら「反響をすごくいただくんですが、恋愛映画の（監督）オファーは1個も来ない」と苦笑い。「作り手は一生に1本というものをずっと作り続けていかなければいけない。自分にとっての強いライバルができた。次は『余命10年』より、さらに面白いと思える作品を」と意気込んだ。

イベントでは事前に募集した「あなたの好きなシーン」ランキングを、該当シーンのメイキング映像とともに発表。候補となった10のシーンから、「駅前で再会する二人」が3位、「母に泣き崩れる茉莉」が2位、「夜桜が舞い散る」が1位に選ばれた。

「母に泣き崩れる茉莉」は和人に別れを切り出した旅行から茉莉が帰宅し、母に「私、もっと生きたい」と思いをぶつけるシーン。早朝にコテージでの和人との別れを撮ってから、そのまま茉莉の家に移動し、劇中同様の時間軸で撮影されたという。小松は「最初、軽井沢で撮影してから移動。すごい大事なシーンなので、気持ちが途絶えないように移動車でも（主題歌の）『うるうびと』を聴いたりしてました」と述懐。「お母さん役の原日出子さんに会ったら、すごく安心して。部屋にはポトフのいい匂いも漂っていて、おなかも鳴っちゃいました（笑）。お母さんを見た瞬間に心がほっとして（自分の気持ちを）全部言いたいなと思わせてくださいました。抱きしめてくれる力強さと優しさのおかげで芝居に入り込めて。本当に原さんには感謝してます」と続けた。

「夜桜が舞い散る」は突風で桜が舞い落ちる中、茉莉と和人の気持ちが初めて通じ合う場面だ。撮影は満開の桜を撮るために、当初の予定から日をずらして行われたそう。藤井は「わかりやすく『好き』の感情を描くんじゃなくて、言葉がなくても、2人がお互いにとって大事な存在になる瞬間を描きたかった」と説明し、小松は「この映画には桜の下での物語がたくさんあります。私にとっても、すごく印象的な瞬間」と言及。坂口も「この映画にとって桜は大きなキーワード。このシーンは全員の力を総結集した印象がありました。一瞬のカットのためにみんなが命懸けで作ったシーン」と振り返った。なお、抜粋して上映されたメイキングは「Diary of The Last 10years」のタイトルでBlu-ray / DVDのプレミアム・エディションに収録されている。

最後に小松は「皆さんの嘘偽りのない正直な感想が広がって、たくさんの人のもとに映画が届いたんだと思います。メイキングにはリアルな現場が映ってます。1年の時間をかけた撮影で、みんなの表情がどんどん変わっていく姿もあります。家でゆっくり楽しんでいただけるとうれしいです。『余命10年』を末永くよろしくお願いします」と呼びかけ、イベントを締めくくった。

「余命10年」は先行ダウンロード販売が実施中。デジタル配信とソフト販売は7月22日にスタートする。プレミアム・エディションには4時間を超える特典映像が収録された。