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本作では、子供を育てられない人々が匿名で赤ん坊を置いていく“赤ちゃんポスト”をめぐる物語。ソン・ガンホが赤ん坊を高く売る“ベイビー・ブローカー”のサンヒョン、カン・ドンウォンがサンヒョンの相棒でポストの置かれた施設で働くドンス、イ・ジウン(IU)がポストに赤ん坊を預けたものの思い直すソヨン、イ・ジュヨンが彼らを検挙しようと尾行を続ける刑事イに扮した。
第75回カンヌ国際映画祭に正式出品される本作。是枝は「あの場所は何度行っても本当に緊張しますし、喜びでもありますし、この作品にとっては本当に最高のワールドプレミアの場所に選んでいただいたなと思っています」と伝える。
また是枝は作品について「赤ちゃんポストというのは日本にも存在していて、前から関心を持っていたんですが、韓国にも同じようなものがあると聞きまして。そこに預けられた1人の赤ちゃんを巡って、善意と悪意が絡まりながら、赤ん坊と一緒にいろんな思惑を持った人間たちが旅をしていく。そういう話にしたいと思って作った映画です」と説明した。
是枝からオファーがあった当時のことを尋ねられたソン・ガンホは「昔から是枝監督の作品世界のファンでしたし、尊敬する芸術家ですので、とても光栄でした。先入観かもしれませんが、監督の映画は冷たい話の中に温かいヒューマニズムが描かれて終わる印象でしたが、この作品を経験したら、監督の冷徹な現実直視により、温かいストーリーの中でも冷静な視線で社会を俯瞰している感じがして、とても感動しました。新しい挑戦でもあり、ワクワクする作業でした」と振り返る。
イ・ジウンとイ・ジュヨンについて是枝は「コロナの自粛の間に、韓流ドラマを配信で観ることにハマリまして、『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』を観ていたんですが、後半はイ・ジウンさんが登場するシーンはずっと泣いているような状況で、もうこの人しかいないと思って、オファーしました。そして『梨泰院クラス』にもハマって2周観たのですが、イ・ジュヨンさんの存在がとても印象的だったので名前を挙げました」とキャスティングの理由を明かした。
カン・ドンウォンは「実際に児童養護施設を何度か訪ねて、そこの出身の方々とお話をしたりして、その気持ちを演技に込めようと努力しました」と役作りを述懐。イ・ジウンは「母親の役は初めてなので、子供の抱き方や、遊んであげるときの振る舞いなど、小さな習慣を自然に見せようとしました」と話した。イ・ジュヨンは「映画での刑事と言うとステレオタイプを思い浮かべますが、監督の映画の人物には発見されていない人間性があると感じました」と語る。
最後に是枝は「公開時期にはオンラインではなく、韓国にお伺いして直接この映画を届けられればと思いますので、楽しみに待っていただければと思います。ありがとうございました」と呼びかけた。
「ベイビー・ブローカー」は6月24日に東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
Soma @SomaYoshimura
是枝監督と同じく、コロナ禍にマイ・ディア・ミスターを見て韓ドラの沼にハマった身です。有名どころから目を通してるけど全部面白い。 https://t.co/7zSMuKVXm0