佐藤周が「橘アヤコは見られたい」で描きたかったものは?山岸逢花はもどかしさ語る

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橘アヤコは見られたい」の舞台挨拶が昨日10月18日に東京・テアトル新宿で行われ、キャストの山岸逢花、小梅えな、吉根ゆりあ、東山康平、監督の佐藤周が登壇した。

「橘アヤコは見られたい」舞台挨拶の様子。左から佐藤周、吉根ゆりあ、山岸逢花、小梅えな、東山康平。

「橘アヤコは見られたい」舞台挨拶の様子。左から佐藤周、吉根ゆりあ、山岸逢花、小梅えな、東山康平。

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「橘アヤコは見られたい」

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「シオリノインム」などで知られる佐藤がOP PICTURES新人監督発掘プロジェクト2019で優秀賞を受賞したことにより制作するチャンスを獲得した本作。人気動画配信者である橘圭介・綾子夫妻の身に起こる恐怖体験が、POV方式で描かれる。山岸が主人公の綾子、東山が圭介を演じ、小梅と吉根が圭介の同僚である内田優子と早川沙織に扮した。

佐藤周

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「新型コロナウイルスで世間が大変なときに、この作品の脚本を書いていました」と振り返る佐藤は「外出自粛期間中は、他人と会えないことで自分の存在があいまいな感じになってしまったんです。承認欲求がいつもより高くなっていることを感じていました。そんなときに、YouTuberが作る動画をよく観ていたんです。彼らはすごく承認欲求が高いのではないかな?と思ってシンパシーを感じました」と、主人公を動画配信者に設定した理由を語る。続けて「彼らを描くうえで何をやったら面白いか?と考えたときに、主観映像が思い浮かびました。POVは主観の主の気持ちをわかるために使用されているようで、実は追体験できるだけ。主観の主の気持ちはわからないものなんです。同じように生っぽい動画を作っているYouTuberには親近感を感じるけど、彼らの気持ちは何もわからない。わかってほしいのにわかってもらえない人たちを描きたいと思ったときに、POVと動画配信者という組み合わせが生まれたんです」と解説した。

山岸逢花

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ピンク映画初出演にして主演を務めた山岸は「ピンク映画のイメージってまずは“エロ”だったんです。でもこの作品のシナリオを読ませていただいたら、ホラー映画でもあるし、POV映画でもありました」と述懐し、「気持ちを伝えたくても綾子が他人に向けるまなざしが作品には映らない。伝えられないもどかしさがずっとありました。なんとか彼女の思いが伝わればいいなと思って演じていましたね」と役作りへの思いを明かす。それを受けて佐藤は「わかってもらえないのが狙い。本読みをしているときは主観ではなく第三者の目線で観ていたので、普通に映画的な作品でした」と裏話を披露した。

吉根ゆりあ

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小梅えな

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吉根は「私が演じた沙織は劇中でひどい扱いを受けるんです(笑)。でも現場は楽しくて、いい経験になりました。私のことを知らない人がこの作品を観たらきっと、怖そうとかヤバそうとか感じると思いますが、普通ですよ」とはにかむ。小梅は「最初にこの作品のオファーをいただいたときは、初めてのピンク映画で不安だったんです。でも現場のスタッフさんがすごく優しくて、『困ったらなんでも聞いてね』と言ってくれたので心強かったですね。無事撮影できてよかったです」と笑みをこぼした。

東山康平

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東山は山岸、小梅、吉根との撮影を「和気あいあいと進んでいましたね。山岸さんはミニコントに付き合ってくれました。小梅さんはツボに入るとゲラゲラよく笑う人。吉根さんは(劇中で)バットで殴っても許してくれました(笑)」と回想。「いい奥さんがいるのにほかの女性にも手を出す最低で最高な男を演じられて、いい経験になりました!」と声を弾ませた。そんな東山を佐藤は「綾子との絡みのシーンは淡白にしてくださいと言ったんですが、仲良く見えてしまった(笑)。演出ミスですね。優子には馴れ馴れしく、沙織にはチャラく接してほしいとお願いしました。ざっくりと説明したけれど、“最低男”のクオリティ高かったです!」とたたえ、会場に笑いを起こす。

イベント中盤には、登壇者がラストシーンを振り返る場面も。佐藤が「時間もなくて大変でした。最後は沙織の切なさがとてもよく出てました」と切り出すと、山岸も「悲しくて、つらかったです」と同意する。小梅は「ラストシーンは心情的に複雑でした。優子はどうやってあの部屋から帰ったんだろう?と思っています」と語った。

山岸逢花

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最後に山岸は「『橘アヤコは見られたい』は尖った作品です! 現場はとても明るくて、周りにたくさん支えてもらったのでいい経験になりました」とコメント。佐藤は「皆さんが見落としているシーンの中に、実は幽霊が紛れ込んでいたりします。テアトル新宿では10月28日にも上映されますので、ぜひ観てください!」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。

「橘アヤコは見られたい」は、テアトル新宿で10月29日まで開催されているR15+のピンク映画の特集上映「OP PICTURES+フェス2020」の1本として上映。なお「OP PICTURES」新人監督発掘プロジェクト 2020の企画案を、大蔵映画が11月5日まで募集している。

※「橘アヤコは見られたい」はR15+指定作品

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(c)OP PICTURES

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