「異端の鳥」谷川俊太郎、奈良美智、古舘寛治、小島秀夫ら11名の鑑賞コメント到着

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異端の鳥」を鑑賞した著名人のコメントが到着した。

「異端の鳥」新場面写真

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「異端の鳥」

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ポーランドの作家イェジー・コシンスキの小説「ペインティッド・バード」を、ヴァーツラフ・マルホウルが実写化した本作。ホロコーストから逃れるため東欧に疎開した少年が、周囲の人間たちにひどい仕打ちを受けながらも生き延びようとするさまが描かれる。主人公の少年を新人のペトル・コトラールが演じた。

詩人の谷川俊太郎は「見終わって私の言葉はしばし仮死状態に陥りました。でもこの映画にひそむ沈黙から言葉はふたたびよみがえるでしょう」とコメント。画家であり彫刻家の奈良美智は「生き残るために『人間性』は空虚な言葉になって、非情で残虐な世界に埋没していく。それでも、人が生き続ける限り、忘却の彼方から言葉が生き返る瞬間を、僕らは最後に目撃するだろう」とつづっている。

また古舘寛治は「映画館のスクリーンで観るべき映画。その映像美の中に目を背けてはいけない『人間の正体』がある」と、李相日は「美しく完璧なショットが炙り出すのは、人の皮を被った動物の姿。この映画でしか味わえない圧倒的な余韻がある」と述べた。そしてゲームクリエイターの小島秀夫は「これまで最も不快な戦争体験は『炎628』だったが、本作はそれに匹敵する。時代に流されていく孤独な少年の流刑。いつかは幸せになれると、微かな期待をしつつの169分は、見事に裏切られる」と語っている。

「異端の鳥」は10月9日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。

※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記
※「異端の鳥」はR15+指定作品

谷川俊太郎(詩人)コメント

見終わって私の言葉はしばし仮死状態に陥りました。
でもこの映画にひそむ沈黙から言葉はふたたびよみがえるでしょう。

小川洋子(小説家)コメント

邪悪を射抜く少年のまなざしに、魂を奪われ、ただ立ち尽くすしかない。

奈良美智(画家 / 彫刻家)コメント

生き物の本質に善悪の基準なんてないだろう。
生き残るために「人間性」は空虚な言葉になって、非情で残虐な世界に埋没していく。
それでも、人が生き続ける限り、忘却の彼方から言葉が生き返る瞬間を、僕らは最後に目撃するだろう。

古舘寛治(俳優)コメント

映画館のスクリーンで観るべき映画。その映像美の中に目を背けてはいけない「人間の正体」がある。

深緑野分(作家)コメント

戦争が人間を変えるのではなく、元々人間が残忍だから戦争も虐殺も起きるのだ。筆舌に尽くしがたい醜悪さを突きつける、東欧の芸術作品らしい陰惨で濃厚な魔術的物語。

李相日(映画監督)コメント

美しく完璧なショットが炙り出すのは、人の皮を被った動物の姿。
この映画でしか味わえない圧倒的な余韻がある。

濱野ちひろ(ノンフィクションライター)コメント

生き延びることそれ自体が理不尽であるような最悪な状況。
不条理と狂気にまみれた少年の日々を直視させる映像美が憎い。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)コメント

戦争が引き起こす人間性の破綻、その連続から目を背けたくなりつつも、美しい白黒の映像美と主人公の少年による無言のリアルな演技で最後まで釘付けになりました。

小島秀夫(ゲームクリエイター)コメント

これまで最も不快な戦争体験は「炎628」だったが、本作はそれに匹敵する。時代に流されていく孤独な少年の流刑。いつかは幸せになれると、微かな期待をしつつの169分は、見事に裏切られる。少年の無垢を彩る美しいモノクロ映像と、戦火の吐瀉物や血痰とのコントラストが続く。ところが、不思議なことに後半には戦争色に全てが染まる。戦時下、どこにも光はなく、色もない。灰色に染めあげられていく無垢なる“モノクロームの少年”。もう子供でも大人でも戦士でもない。彼こそが“戦争”そのものなのだ。

松尾貴史(タレント)コメント

凄まじい映像と物語。
普通の人たちの内なる差別、悪意、残虐、あらゆる「業」が、少年にここまでの仕打ちをするのか。長尺を忘れて、心の中で叫び続けた。この機会を逃さずに。

桜庭一樹(作家)コメント

川本三郎先生の書評で原作小説を知り、読みました。恐ろしい物語ですが、“知っている地獄”のような不思議な懐かしさを感じました。映画と小説の両輪で理解を深めてほしい作品です。

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