「その手に触れるまで」ダルデンヌ兄弟が幼きテロリストを描いたわけとは

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その手に触れるまで」で監督を務めたジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ兄弟のインタビューコメントが到着した。

左からジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ。 (c)Christine Plenus

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「その手に触れるまで」本ビジュアル

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本作の主人公は、イディル・ベン・アディ演じる13歳の少年アメッド。ベルギーに暮らす普通の少年だった彼が、尊敬するイスラム指導者に感化されて過激な思想にのめり込み、その考えを認めない教師を殺さねばならないと思い込んでいく姿が描かれる。

左からジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ。

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最初に本作の題材としていた考えていたのは「過激なイスラム純潔の思想に染まった若者が脱急進化し、元の人生を取り戻せるのか」であったと語るジャン=ピエール・ダルデンヌ。「これまでにない新しい種類の人たちが狂信化してテロを行う。自分たちがやっていることはいいことだと死を崇拝する。その事実に動かされて映画を撮りました」と制作動機を明かす。また「『その手に触れるまで』の出演者の中には、テロリストになってしまった人と幼少期に関わりがあった人もいました」と話した。

リュック・ダルデンヌは「ベルギーでは人口約1100万人中、50万人がムスリムで、イスラム教は2番目に教徒が多い宗教です。雇用差別は今も少しありますが、大半のムスリムは同化しています」と説明。そして本作をムスリムの高校で上映したとときのことを回想し、「学校でも議論が起きました。宗教の議論をしていられる間はいい関係だと思います」と振り返った。

なおこのたびのインタビューは、新型コロナウイルスの影響で自宅待機している2人にオンラインで行なったもの。リュック・ダルデンヌは「今の社会において、健康、文化は公益でなくてはいけません。民営化してはいけない」と考えを述べ、「アメリカの黒人たちは、健康危機の犠牲になっています。スラム街ではほかの地域と比べて2倍の人が亡くなっている。治療も受けられず、栄養のある食事もとれない弱者です。私はこの機会に世界が変わることを期待しています」とコメントした。

「その手に触れるまで」は6月12日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。8本連続でカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されたダルデンヌ兄弟は、本作で監督賞を受賞している。

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