12月13日に封切られる「
フランチャイズの宅配ドライバーとして働き出す父とその家族を描いた本作。パルムドールを受賞した前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」で引退を宣言していたローチだが、本作で再びメガホンを取った。その経緯について、ローチは「リサーチのために出かけたフードバンクのことが心に残って……。そこを訪れる人々が、パートタイムやゼロ時間契約(雇用者の呼びかけに応じて従業員が勤務する労働契約)で働いていたんだ」と説明。そして、インターネット経由で単発や短期の仕事を請け負うギグエコノミー、代理店に雇われているエージェンシーワーカーなどを挙げ、「新しいタイプの働き方をする労働者のことが忘れられなかった。次第に『わたしは、ダニエル・ブレイク』と対をなす、作る価値があるテーマだと思った」と振り返る。
本作の着想のきっかけは、イギリスでフランチャイズの配送ドライバーとして働いていた男性が、ストレスと罰金の負債が重なる状況で無理を続け、合併症によって亡くなったことだという。脚本を担当したポール・ラヴァティとともに何人かのドライバーに会ったそうで、「生活をするために働かなければならない時間の長さと、仕事の不安定さに驚愕したよ。彼らは自営業者で、理論上は自分たちのビジネスなので、もし何か不具合が生じたら、すべてのリスクを背負わなければいけないんだ」と過酷な労働環境に言及した。
また、映画のキャラクターと同じような境遇の役者をキャスティングしたというローチ。主人公のリッキー役には、自営業の配管工として20年間働き、40歳になってから演技を始めたというクリス・ヒッチェンを抜擢し、リッキーの妻アビー役には教育現場でラーニングサポートアシスタントとして働き、実際に10代の息子を持つ母親である
「家族を想うとき」は東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。
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