映画ナタリー - 最新映画ニュースを日々配信

前田敦子が女優賞に輝き「映画の世界はたまらない」、「蜜蜂と遠雷」石川慶が映画賞

570

第43回山路ふみ子映画賞贈呈式の様子。左から前田敦子、関水渚、倍賞千恵子。

第43回山路ふみ子映画賞贈呈式の様子。左から前田敦子、関水渚、倍賞千恵子。

第43回山路ふみ子映画賞の贈呈式が本日11月29日に東京・日本教育会館 一ツ橋ホールで行われた。

山路ふみ子映画賞は、映画人の育成を図り、功績をたたえるために毎年発表される賞。今年の映画賞に輝いた「蜜蜂と遠雷」の監督・石川慶は「僕は1977年生まれでして、その年には第1回の映画賞を新藤兼人監督が受賞されていました。それから受賞者の方を見ていくと、自分の映画人生がそのまま反映されたような素晴らしい方々のお名前がありました」と述べる。そして「末席に自分の映画があるというのは本当に光栄なことだと思っています。映画賞の名に恥じぬように、これからも映画を撮っていきたいと思います」と決意を新たにした。

オダギリジョー監督作「ある船頭の話」など、数々の映画で衣装を担当してきたワダエミは映画功労賞を受賞。「日本で衣装デザイナーに注目してくださったのは、たぶんこれが初めてではないかと思います」と喜んだワダは、大島渚とタッグを組んだ1999年公開の「御法度」を挙げ「それから20年間、オダギリジョーさん以外には日本の監督からは一度もオファーが入りませんでした」と冗談交じりに明かす。「ある船頭の話」に関しては「私は今年で82歳になりますが、こんなに素晴らしいチームが日本にできたんだと。大島さんの『御法度』をやったときと同じ感動を得ました」と晴れやかな表情で語った。

筋ジストロフィー患者を大泉洋が演じた「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の監督である前田哲は福祉賞を獲得。スケジュールの都合上欠席となった前田の代理で、松竹のプロデューサー石塚慶生が登壇し、前田からの「マイノリティの人たちと自分たちについて、映画を観たあとふっと何かを考えたり口にする。そんな人が1人でも増えてほしい。そのような思いを根底にしてこの映画を作りました」というメッセージを代読した。文化賞を贈られたのは、映画のタイトルデザインを長年にわたり手がけてきた赤松陽構造。「最近は打ち合わせに行くとだいたい私が最年長でして、小さくなっていました。この賞をいただいたことで少し大きい顔ができます」と話して笑いを誘った。

女優賞に輝いた前田敦子は、「旅のおわり世界のはじまり」で監督を務めた黒沢清へ「一番尊敬する監督」と敬意を表する。ウズベキスタンで変化していく主人公の気持ちに自身がリンクしたという前田は「私自身もこの作品が終わったあとにいろんな経験をさせていただきました。監督にも言われるんですけど、不思議なくらい自分の人生にマッチしていて、これから作品が一生のものになっていくなと思っています」と感慨を込めた。さらに、関水渚と共演した「町田くんの世界」を「10歳くらい離れているんですが、同級生の役をやらせていただきました(笑)。フレッシュさにすごく支えてもらいました」と述懐。「そんな人生経験をたくさんさせていただける映画の世界は、本当にたまらないなと。これからもいろんな役に飛び込んでいけるよう、まだまだがんばっていきたいです」と意気込んだ。

続いてマイクの前に立った関水は、ヒロインを演じた「町田くんの世界」での演技が評価され新人女優賞に。同作の監督である石井裕也や前田、先輩キャストたちへ感謝を口にすると「石井監督はお芝居について何もわからない私に、ゼロから指導してくれました。とにかく無我夢中で『町田くんの世界』に取り組んだので、このような賞をいただけてうれしいです」と喜びを噛みしめる。また撮影中のエピソードを尋ねられると「いろんなところで言ってしまうんですが、前田敦子さんがすごく優しく接してくださって。自分が日焼けしやすいことを言ったら、翌日に日焼け止めを持ってきてくれたんです」と明かし、前田に改めて感謝を伝えた。

そして、文化財団特別賞は倍賞千恵子へ。「男はつらいよ」シリーズで寅次郎の妹・さくらを演じてきた倍賞は、開口一番「この賞は本来、お兄ちゃんがもらうべきかなって」と渥美清に思いを馳せる。長い俳優業の中で特に思い出深い作品を聞かれると、1961年に井上和男が発表した「水溜り」を挙げ「“庶民派スター”って言われたのはそれがきっかけかなと思います」と回答。さらに山田洋次の「霧の旗」「家族」といった作品も紹介し、「まだまだたくさんあるんです。これまで174本の映画に出てきましたから」とほほえんだ。会場から倍賞をたたえる拍手が起こると、12月27日に封切られるシリーズ最新作「男はつらいよ お帰り 寅さん」を「ぜひ映画館に足を運んで観ていただけたら」とアピールし、「これからも体と心が続く限り、望まれるなら映画を撮り続けていきたいなと思っている今日この頃です」と高らかに宣言した。

第43回山路ふみ子映画賞

石川慶(「蜜蜂と遠雷」)

第42回山路ふみ子映画功労賞

ワダエミ

第34回山路ふみ子福祉賞

前田哲(「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」)

第35回山路ふみ子文化賞

赤松陽構造

第33回山路ふみ子女優賞

前田敦子(「旅のおわり世界のはじまり」「町田くんの世界」)

第31回山路ふみ子新人女優賞

関水渚(「町田くんの世界」)

第35回山路ふみ子文化財団特別賞

倍賞千恵子

映画ナタリーをフォロー