中国映画「
本作は廃れた田舎町に暮らす、生きることに疲弊した4人の男女を捉えた3時間54分の群像劇。ただ座り続けている奇妙な象の存在を知った4人が過ごす長く陰鬱な1日が描かれる。完成後に29歳の若さで自ら命を絶った北京電影学院出身の
本作を鑑賞した坂本は「金満でIT先進国で資本主義的な中国とは全く違った日常が映し出される。その暗いけれど、甘く懐かしいトーンが好きだ」とコメント。そして「それは音楽からも来ていると思う。歪んだギターを中心に、昔聴いたことのあるチープなシンセのシンプルな絡み。20歳台の若い監督が作ったのに、とてもノスタルジックだ。好きな映画だ」と続けている。
またフー・ボーが師と仰いだタル・ベーラは「私たちは彼を失ったが、彼の映画は永遠に私たちと共にある。フー・ボーの映画を迎えてください。そして私と同じように彼を愛してください」とコメントを寄せた。2018年の第19回東京フィルメックスに本作を招致したディレクターの市山は「次々と新たな才能が登場しつつある近年の中国映画の中でも稀有な傑作」「一つ一つのショットに刻み込まれた魂の記録とも言うべき本作に心揺さぶられないものはいないだろう」と絶賛している。
「象は静かに座っている」は、11月2日より東京のシアター・イメージフォーラムほかで全国順次ロードショー。
坂本龍一(音楽家) コメント
この映画のペースが好きだ。4時間近くと長い映画だが、無駄なショットがあった記憶はない。昨今、目にすることの多い、金満でIT先進国で資本主義的な中国とは全く違った日常が映し出される。その暗いけれど、甘く懐かしいトーンが好きだ。それは音楽からも来ていると思う。歪んだギターを中心に、昔聴いたことのあるチープなシンセのシンプルな絡み。20歳台の若い監督が作ったのに、とてもノスタルジックだ。好きな映画だ。29歳で自殺した監督、胡波(フー・ボー)の映画を、たくさん観たかった。
タル・ベーラ(映画監督) コメント
私の“生徒”であり、私の友、私の家族である君がいないことを残念に思う。何百人もの中国人監督が私と働きたいと出願してきたが、彼に会い、すぐに心が決まった。一切の迷いもなく! 彼は気品に溢れ、ともに素晴らしい仕事をすることができた。彼の目には並々ならぬ、強い個性が表れていた。クソ! 彼をちゃんと守れなかったことに、私は責任を感じている。残念でならない。彼は、両方の端から彼というろうそくを燃やしていたのだ。今ここにあるすべてを手に入れようとした。私たちは彼を失ったが、彼の映画は永遠に私たちと共にある。フー・ボーの映画を迎えてください。そして私と同じように彼を愛してください。
市山尚三(東京フィルメックス ディレクター) コメント
「象は静かに座っている」は次々と新たな才能が登場しつつある近年の中国映画の中でも稀有な傑作である。まずは、この作品が日本で劇場公開されることを喜びたい。これほどの才能ある監督の新作をもはや見ることができないという事実は悲劇でしかないが、一つ一つのショットに刻み込まれた魂の記録とも言うべき本作に心揺さぶられないものはいないだろう。
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フー・ボーの映画作品
リンク
- 「象は静かに座っている」予告編
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東京フィルメックス @tokyofilmex
【公開情報】昨年のコンペティションで上映され、有楽町朝日ホール満員のお客さんが堪能した「象は静かに座っている」。11月2日にシアター・イメージフォーラムで公開です。
https://t.co/ZxbzAZN5Uq