「湯を沸かすほどの熱い愛」で知られる
中島京子の同名小説を実写化した本作は、厳格な父・東昇平が認知症になったことをきっかけに、家族が自分たちを見つめ直していく7年間を描いた作品。中野と「私の優しくない先輩」「海月姫」の大野敏哉が共同で脚本を執筆した。
蒼井が人生に思い悩む次女・芙美、竹内が夫の転勤でアメリカに移り住んだ長女・今村麻里、松原が専業主婦として夫と娘を献身的に支えてきた曜子、そして山崎がゆっくりと記憶を失っていく元・中学校校長の昇平を演じた。オーディションで抜擢された蒲田優惟人が、麻里の息子・崇に扮している。キャスト陣によるコメントは下記の通り。
あわせて公開されたティザービジュアルには、「だいじょうぶ。忘れることは、悲しいだけじゃない。」というコピーが添えられた。特報には「ゆっくりと記憶を失っていく父との、お別れまでの7年間」というナレーションとともに、家族の泣き笑いの表情が。メリーゴーランドに乗った昇平が、笑顔で手を振る様子も映し出される。
テレビ東京開局55周年記念作品として製作された「長いお別れ」は、5月より全国ロードショー。
※山崎努の崎は立つたつさきが正式表記
蒼井優 コメント
私が演じた芙美は、よしておけばいいのにと思うようなことをついやってしまう、でも笑えるほど不器用でもない、というちょっと不憫なタイプの女性です。そんな彼女が30歳を超えてもう一度家族から学ぶことの大きさが大切なのかなと思いながら演じました。
東家の皆さんとの共演はとても光栄でした。お芝居とは何なのかを山崎努さんの御本で学んで来た私にとって、まさか山崎さんと同じ画面に入れる日が来るなんて思ってもいませんでした。今思い返しても夢のような時間で、感動の連続でした。松原智恵子さんと竹内結子さんは、お二方が家族でいて下さる事が心強く、毎日本当に助けていただいてばかりでした。言葉では言い表せないほど感謝しています。
竹内結子 コメント
クランクインの前に監督が、一つの家族として始められるように、東家のリハーサル時間を設けてくださったので、安心して撮影に入る事ができました。
姉妹の会話のシーンの撮影中、監督には「麻里さんがリズムを作ってほしい」と言われていました。私の今までのお芝居ではやったことのない、監督の独特のテンポを指示されたので、新しいものが見られるのでは、と完成を楽しみにしています。
松原智恵子 コメント
認知症という暗くなりがちな話を、あたたかでユーモラスに描いた作品です。曜子の優しさと明るさをどうすれば出せるかと悩んでいた私に、中野監督は「明るく軽やかに、段々良くなってきましたよ。もう一度やってみましょう」と何度も辛抱強くやさしく「叱咤激励」をしてくださいました。時々落ち込む私(曜子)に、認知症の夫は無言のあたたかな眼差しを、明るい娘達はそれぞれ色々な問題を抱えながらも包み込むようなハグを……私自身が介護されて支えられていた毎日でした。そんなやさしい、あたたかな撮影現場でした。
山崎努 コメント
原作を読んでいる時、この役のオファーが来るのではないかとの変な予感がありました。その予感が当たり、不思議な心持がしています。
中野監督のことは、前作や脚本に触れるにあたり、大変な才能だと思っておりました。実際に現場で一緒に仕事をしても、見事な演出で、感服致しました。
認知症の家族を持つ友人がいるのですが、彼はとにかく「笑うことが大事」だと言います。この作品が何より素晴らしいのは、認知症という扱いにくい題材に対し、おかしみの要素をうまく取り入れてユーモアを失わずに作り上げたところだと思います。
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