19世紀農民の世界を徹底再現!デンマーク人監督が語る死と時間の捉え方

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第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたデンマーク映画「氷の季節」の記者会見が本日10月31日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督を務めたマイケル・ノアー、プロデューサーのルネ・エズラとマティルダ・アッぺリンが出席した。

左からルネ・エズラ、マイケル・ノアー、マティルダ・アッぺリン。

左からルネ・エズラ、マイケル・ノアー、マティルダ・アッぺリン。

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「氷の季節」 (c)Nordisk Film Production

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19世紀半ばのデンマークを舞台に、厳しい自然環境の中で暮らす農家の生活を厳格なリアリズムで描いた本作。一家が冬を越すために、主人公のイェンスは自身のモラルと大切な存在を犠牲にする耐え難い選択を迫られる。製作陣の徹底的なリサーチのもと、原作のないオリジナルの物語が描かれた。ノアーは「パピヨン」のリメイク版を手がけたことで知られるデンマーク映画を牽引する存在。「ヒトラーに屈しなかった国王」のイェスパー・クリステンセンがイェンスを演じている。

マイケル・ノアー

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「私自身が父親であり、息子であることが映画の土台になった」と連綿と続く生命の歴史に着眼した理由を語るノアー。「私の中にも子供のために何でもするという気持ちはある。しかしそれは彼らのためなのか、自分のためなのか。家族を思う気持ちと自分のエゴが常に共存しているんです」と映画で描かれるイェンスの心情に寄り添った言葉を投げかける。また時代設定を19世紀にし「飢え」を身近な問題にすることで、映画のテーマを強調したかったという。

記者からはデンマークの習慣に関する質問が飛んだ。子供の遺体を窓から出すシーンについて、ノアーは「それは亡霊に扉を教えないため。死への考え方は文化よって異なるのはとても興味深いと思います。私たちは彼らに出てきてほしくないのです」と回答。

左からマイケル・ノアー、ルネ・エズラ、マティルダ・アッぺリン。

左からマイケル・ノアー、ルネ・エズラ、マティルダ・アッぺリン。[拡大]

さらにイェンスの生きる農場を「牛の世界」とし、彼らにとっての時間の概念を説明していく。「イェンスの世界では日が昇り鶏が鳴いたら起きる、夜は暗くなり疲れたら眠る。時間は抽象的なものなんです」とし、イェンスが掛け時計を鳴らす点に関して「遺体が外に出た家の新たな始まり、そして彼の権威を象徴しています」と明かした。

第31回東京国際映画祭は11月3日まで開催される。

第31回東京国際映画祭コンペティション部門の会見レポートはこちらから

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