第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたメキシコ映画「ヒストリー・レッスン」のQ&Aが、東京・EX THEATER ROPPONGIで10月27日に行われ、監督、脚本を担当したマルセリーノ・イスラス・エルナンデス、主演のベロニカ・ランガー、プロデューサーのアンドレア・トカとダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタが出席した。
60歳になり引退を考えている中学校の歴史教師ヴェロと反抗的な転入生エヴァが出会い、やがて2人の間に奇妙な友情が芽生えていくさまを描いた本作。メキシコの著名女優であるランガーが当て書きでヴェロ役にキャスティングされ、新人レナータ・ヴァーカがエヴァに扮している。
イスラス・エルナンデスはこれまでの作品にもエヴァという名前の女性を登場させ、老いや生を見つめる物語を紡いできた。その「エヴァ3部作」の完結編となる本作では教師と生徒という関係が軸になっているが、イスラス・エルナンデスは「どういう立場の人間を組み合わせるかより、孤独な人同士を出会わせる必要性があった。そこから、生きることや自分の限界から一歩踏み出すことを伝えたかった」と役柄のコンビネーションに込めた意味を明かす。観客からエヴァに託した思いを尋ねられると「主人公の葛藤を設定していく役割の人物」と説明。「若さと老い、生と死。一方はガン患者で、もう一方は妊婦。そういったコントラストが非常に重要だった」と作品の肝となる部分に言及した。
役者同士のコンビネーションに関する質問には、ランガーが回答。自分たちの仲を「レナータと私に起こった魔法なのかも」と表現し、「初めて彼女に会ったときはよくわからなかったけれど、だんだん彼女のことが好きになって、一緒にいるのが楽しくなった。2人の間には強い絆ができていた」と役柄同様に徐々に関係性を築けたことを述べる。またイスラス・エルナンデスも「彼女たちの友情が映画から離れたところでも生まれていたのがマジックの1つだと思う」と補足した。
年齢も境遇も違う2人の女性が、互いに影響し合い運命を変えていく本作。観客からは「女性監督の作品かと思ってしまった」という感想もあり、それに対してイスラス・エルナンデスは「女性の繊細さや力強さに惹かれる部分がある。今回は生きることがテーマなので、その中で必要になってくる強さや決断力を描きたかった。男性優位のマチズムの国であるメキシコでこういう作品を描くことが大切。やはり女性と仕事するのは、自分の母や妹の影響もあって心地いいのだと思う」と分析した。
「ヒストリー・レッスン」は10月30日にも東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映される。
第31回東京国際映画祭コンペティション部門の会見レポートはこちらから
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リンク
- 第31回東京国際映画祭(2018)公式サイト
- 「ヒストリー・レッスン」| 第31回東京国際映画祭
- 「ヒストリー・レッスン」予告編
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