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「アマンダ」監督が今のパリを撮る必要性語る、「悲劇をいかに乗り越えるか」

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ミカエル・アース

ミカエル・アース

第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたフランス映画「アマンダ」の記者会見が、本日10月27日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督、脚本を担当したミカエル・アース、プロデューサーのピエール・ガイヤールが出席した。

前作「この夏の感じ」が第4回ボルドー国際インディペンデント映画祭でグランプリを獲得したアースの最新作。パリで便利屋業をしているダヴィッドを主人公に、姉の死によって絶望の縁に立たされた彼が、7歳の姪アマンダの世話をしていくさまが描かれる。2018年にフランス国内で主演作が3本公開された若手俳優のヴァンサン・ラコストがダヴィッドを演じた。

「今のパリを撮る必要性に駆られた」と製作の経緯を振り返っていくアース。映画では予期せぬ事件から父親のようにアマンダを育てることになる24歳のダヴィッドと、母親を失ったアマンダの日常がつづられていく。アースは「思春期を過ぎたばかりの大人と子供。どちらがどちらを支えているのかわからないような、お互いが寄り添い合う関係性を描きたかった」と語る。テロを想起させる描写もあり、「悲劇をいかに乗り越えていくか。そして今のパリのエネルギッシュな部分を表現したかった」と続けた。

映画では「エルヴィスはもうこの建物を出ました」というフレーズが印象的に用いられている。アース曰く、エルヴィス・プレスリーのコンサートが終わってからも、いつまでも残っているファンを早く帰らすために使われたこの言葉を出会ったことが、本作を作るきっかけの1つだったそう。「意味を調べていくと、非常に想像力を引き立てられました。いろんな意味を含むことができるし、何かを引き起こすフレーズになると思いました。脚本の執筆にもいい影響を与えてくれました」と明かした。

また本作が初演技となるアマンダ役イゾール・ミュルトゥリエのキャスティングについては「ワイルドキャスティング」とし、彼女との具体的な出会いを明かしていく。子役のどこか計算した演技が本作には好ましくないと判断したアースは「実際に学校から帰る子供を観察し、オーディションのビラを配りました。彼女は体育の習い事から帰るところで出会い、チラシを渡したのです」と述懐。そして「子供っぽい部分もありながら、非常に円熟味のある思考もあわせ持っていました。映画ではシングルマザーに育てられているという設定なので、普通の子供より大人びた雰囲気を持っているだろうと判断したのです」と起用理由を語った。

「アマンダ」は明日10月28日にEX THEATER ROPPONGIでアジアプレミアが行われる。10月29日にもTOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映。さらに「この夏の感じ」も、10月29日と11月4日に「交差する視点 - 日仏インディペンデント映画特集」と題した特集の一環でアンスティチュ・フランセ東京にてスクリーンにかけられる。

第31回東京国際映画祭コンペティション部門の会見レポートはこちらから

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