第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたイタリア映画「堕ちた希望」の記者会見が、本日10月26日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催。主演を務めたピーナ・トゥルコ、監督のエドアルド・デ・アンジェリスが出席した。
妊娠した娼婦を人身売買組織に引き渡す仕事に関わる女性マリアを主人公とした本作。夢も希望もないその日暮らしの生活をしていた彼女は、自らの妊娠を機に人生を変える賭けに出る。マリア役のトゥルコは、テレビを中心に活躍する女優で本作が2度目の映画出演。アンジェリスは、シャム双生児を題材とした前作「切り離せないふたり」が「イタリア映画祭2017」で上映されている。パオロ・ソレンティーノ監督作「きっと ここが帰る場所」「グレート・ビューティー/追憶のローマ」で知られるウンベルト・コンタレッロが脚本に名を連ねている。
トゥルコはまず「日本語はしゃべれませんが、この映画を通して皆さんと何かを分かち合えたのではないかと思います。世界の人々に通じる内容になっているはず」と挨拶。自身が演じるマリアについては「肉体をハードに使う人物」とし、撮影にも身体を鍛えてから臨んだことを明かす。そして「肉体を使って語りかける。彼女のその身体性は映画の中でも変化していきます。役者としてマリアを演じたことは自分の大きな糧にもなりました。観ていただいた皆さんの中にも何か残すことができたら」と語りかけた。
映画の舞台となるのはナポリの北西に位置する海沿いの街カステル・ヴォルトゥルノだ。観光地としても知られるが、犯罪組織カモッラと移民系組織との抗争が起きた、治安の悪い場所でもある。ナポリ出身のアンジェリスは、劇中の舞台設定について「人々の避難所をイメージしました。飢え、戦争から逃げてきた人、仕事をなくした人。世界中の避難民が集まる土地として描いています」とコメント。カステル・ヴォルトゥルノでは、映画のモチーフとなった売春や、妊娠した娼婦、売春の結果生まれた子供の人身売買も行われているという。
また女性が女性を搾取するという登場人物の構図について「男たちが自分たちの役割を見失ってしまった、男たちが迷子になってしまった世界を描きたかった。だからこの映画では女性が男性としての役割を担っています」と着想を明かした。
「堕ちた希望」は10月28日に東京・EX THEATER ROPPONGIで上映。なお本日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズではアジアプレミアが行われた。
第31回東京国際映画祭コンペティション部門の会見レポートはこちらから
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- 第31回東京国際映画祭(2018)公式サイト
- 「堕ちた希望」| 第31回東京国際映画祭
- 「堕ちた希望」予告編
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