アニメーション作品「
新海誠の監督作を手がけてきた同社の最新作となる本作は、中国の都市を舞台にした3本の短編からなる青春アンソロジー。北京で働く青年と故郷・湖南省の祖母の関係をテーマにした
3月下旬、コミックス・ウェーブ・フィルム荻窪スタジオでは、「小さなファッションショー」の作画作業が行われていた。「詩季織々」のプロデューサー稻垣康隆は「このスタジオではレイアウト、原画、動画といった手描き作業と、パソコンによる色塗りの仕上げ作業をメインにしています」と各ブースを紹介。静けさに包まれたスタジオ内には、真剣な表情で机に向かうスタッフたちの鉛筆を走らせる音が響く。卓上には色鉛筆や消しゴム、羽ぼうきなどのほか、作画に関する注意書きや資料写真が置かれていた。
制作のきっかけは、10年近く前に「秒速5センチメートル」に感銘を受けたリ・ハオリンからの依頼だったと明かす稻垣。「秒速5センチメートル」にも参加し、本作では「陽だまりの朝食」のキャラクターデザインと作画監督を担当した西村貴世は、「新海さんに影響を受けた監督だと聞いて、そういった方が表現したい世界になるんだなと受け止められました」と制作前を振り返る。またコミックス・ウェーブ・フィルムの強みを尋ねられると「撮影と美術だと思います。新海さんの作品からの連携のよさが、本作にも引き継がれている」と語った。
「小さなファッションショー」で作画監督を務めた大橋実は、「陽だまりの朝食」の食にまつわるシーンの作画も担当。「メインに食べ物が据えられるというのは、あまりない経験だったのでありがたかったですね」と話す大橋は、「陽だまりの朝食」の調理シーンについて「スローモーションでやるところがあるんですけど、西村さんから『あそこ飛び道具ですよ』と言われていたんです」と打ち明ける。「アクションシーンというか、一番の決めシーンなんです」とこだわりを明かした西村は、「食べ物だけに専念できる方として大橋さんにお願いして。結果、予想以上にハマっていて、お願いしてよかったなと思いました」と笑顔を見せた。
「陽だまりの朝食」で、故郷の食べ物として登場する汁ビーフン。当初はイメージが膨らまず苦戦したという大橋は「どんぶり持ってウロウロしてました(笑)。まず実際に日本で汁ビーフンを出しているお店に食べに行って、厨房にも入れてもらって」と述懐。「最初はまったくピンとこなかった」と同意した西村は「記憶で描いたらどうしても日本になっちゃうので、中国のことを深く知らないと難しいのかなって。それで、一度イシャオシン監督がいらっしゃったときに疑問に思ったことを聞きました。その後、資料をたくさん送っていただいて作っていきました」と制作の裏側を明かす。「できるだけ日本人の感覚で決め付けないよう作った」と明言する西村は、「早く向こうの方々の反応を知りたいですね。答え合わせがしたいというか」と期待を寄せた。
「詩季織々」は8月4日より、東京・テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて公開。なお、コミックス・ウェーブ・フィルム市ヶ谷スタジオの現場レポートも近日公開予定だ。
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- 「詩季織々」公式サイト
- 「詩季織々」公式 (@shikioriori2018) | Twitter
- 「詩季織々」予告編
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