2004年に是枝監督作の「誰も知らない」でカンヌ国際映画祭男優賞を史上最年少で獲得した柳楽は「今回久しぶりに、人と人との繋がりに重きを置いた作品に参加させて頂きました」とコメントし、小林は広瀬について「ブレずに指示していたことが印象的でした」と語った。
本作で脚本も手がけた広瀬は「震災以降の社会や権力のあり方について、20代の間に自分の中で悶々としていたものを全てぶつけるつもりで書き始めました」と明かす。また、是枝と西川は「彼女の為なら、と、多くのスタッフが参加を表明してくれていて、恵まれたデビュー作になりそうです」「切れ味鋭く人の孤独を描きながらも、観る人に寄り添う作品を撮れる監督になってくれると思っています」とそれぞれ太鼓判を押した。
「夜明け」は新宿ピカデリーほか全国でロードショー。
柳楽優弥 コメント
今回久しぶりに、人と人との繋がりに重きを置いた作品に参加させて頂きました。
地方での撮影中、共演者の方々と、不思議と役柄のような距離感で過ごせたこともあり、支えられた事も多かったです。
小林薫さんとは、大河から続いて一年以上ご一緒させて頂いたので、
信頼を寄せて撮影に挑む事が出来ました。
広瀬監督は、初めてお会いした時から嘘のない目をしていて、
この人について行こうと思える、とても心強い監督でした。
皆様のもとにこの作品が届くことを、楽しみにしております。
小林薫 コメント
自分の息子とは上手に向きあうことができず、事故でその息子を失っている役でした。
柳楽くん演じる青年と出会い、失った息子との時間を取り戻そうとするこれまた難しい役処でした。でも、柳楽くんとはその前にドラマで一年近くも一緒でしたので、スムーズに入れましたしやりやすかったですね。
撮影は殆ど千葉県の旭市近辺で撮りました。この辺りは豚のブランド肉が有名で、とても柔らかく超ウマのトンカツ屋があって、プロデューサーの一人は結構通ってたらしいですが、一度も誘われなかったのが心残りでしたね。
監督は女性で初監督ということでしたが、シミュレーションを何度としたのか、頭の中にしっかり出来上がったモノがあったンでしょうね。ブレずに指示していたことが印象的でした。
広瀬奈々子 コメント
実質脚本に向かったのは約1年半ほどですが、震災以降の社会や権力のあり方について、
20代の間に自分の中で悶々としていたものを全てぶつけるつもりで書き始めました。若い世代とその親世代に、それぞれの角度から観てもらえると嬉しいです。
現場は俳優とスタッフの距離が近く、常に熱気がありました。柳楽さんとは同年代ということもありお互いが納得するまで対話を重ね、小林さんには台詞の間からお芝居に関係する美術に至るまで具体的なアイディアをいただきながら撮影を進めました。
誰もが妥協せず、一つひとつのことに悩むことができたのは、新人監督としてとても幸せな経験でした。
是枝裕和 コメント
この6年「分福」で監督助手として、是枝、西川の両作品を支えてくれた広瀬奈々子さんが満を持して映画監督デビューします。脚本は、彼女らしく、骨太で繊細な人間描写が文字の上からでも充分伝わる作品です。彼女の為なら、と、多くのスタッフが参加を表明してくれていて、恵まれたデビュー作になりそうです。僕とも西川とも違う新しい監督の誕生を大いに期待して、もうしばらくお待ちください。
西川美和 コメント
広瀬さんには「永い言い訳」の監督助手についてもらいました。演技に対する観察眼や、映像センスはかなり鋭いものがあり、一年間じっと後ろから見られながら私は冷や汗をかき通しでした。しかし、一番の特徴は、弱い者に対しての優しさが深いところにある部分だと思います。切れ味鋭く人の孤独を描きながらも、観る人に寄り添う作品を撮れる監督になってくれると思っています。
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