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片渕須直が“兄弟“「ぼくの名前はズッキーニ」監督を語る、高畑勲の話題も

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「ぼくの名前はズッキーニ」トークイベントの様子。左から片渕須直、氷川竜介。

「ぼくの名前はズッキーニ」トークイベントの様子。左から片渕須直、氷川竜介。

ストップモーションアニメ「ぼくの名前はズッキーニ」のトークイベントが2月28日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、アニメーション監督の片渕須直とアニメ特撮研究家の氷川竜介が登壇した。

クロード・バラスが監督を務めた本作は、亡き母に付けられた愛称“ズッキーニ”を大事にしている9歳の少年が、孤児院・フォンテーヌ園で自分の居場所を見つけていく劇場アニメーション。「大事にしたい作品。応援したいと思って出てきました」と言う片渕は「子供が愛おしい、人間のリアリティというものを描こうとしている」と作品の感想を語る。

本作が人形を小さく動かしていることが重要だと言う片渕は「そのことによってアニメーションだから動いているのではなく、本当に動いているという感じができあがっていく」とコメント。それは片渕の監督作「この世界の片隅に」との共通点だと指摘した氷川が「なぜアニメーションは人の心の扉を開けるのか?」と聞くと、片渕は「食事など何気なく見てるものもアニメーションだと書き手などの心が介在しないと生まれない。こんな表情を作る人がいるんだ!という感じで観た人が反応しているんだと思います」と答える。

2017年11月にバラスが来日した際、「実直に人間を描くためにどういう手順を踏んでいるか学生たちに見せたかった」ため自身が担当する大学の講義に招いた片渕。そこで高畑勲が演出したテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の話になったことに触れ、片渕が「バラスさんはその作品から人間の表現の仕方を読み取っているように思いました。高畑監督の演出を真剣に観て撮っている」と述べると、氷川は「片渕監督にとって兄弟みたいなものじゃないですか。高畑監督が始められた“生活を丁寧に描く”という流れにお二人ともいる」と返す。その言葉に同意した片渕は「事件で語るのではなく、小さな生活の隅々をきちんと見渡して、その中に登場人物を置き、彼らの心情を語り、人間とはこういうものだと表現していく。自分たちがやりたいと思っていたことと同じフィールドを目指している人」と述懐。また片渕は、本作の登場人物であるカミーユと高畑が演出したテレビアニメ「母をたずねて三千里」のヒロイン・フィオリーナとの相似点についても触れた。

「作品としての高まりをここまで持っている長編の人形アニメーションを、ほかではほとんど観たことがない」と称賛を続ける片渕は、「心が震えるような感情を抱いた。自分にまだそんなものが残っていることに気が付かせてもらえた」と語る。最後に片渕は「もっとたくさんの方にこの映画の存在に気付いてほしい。この作品がたくさんの方に評価されたら、もっと多彩な作品に出会う機会が生まれるはず。この先にあるさまざまな作品に触れるための道ができたらと願っています」と観客に思いを届けた。

「ぼくの名前はズッキーニ」は現在、全国公開中。

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