ユーリー・ノルシュテインは“生きてるアーティスト”、山村浩二が語る

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ユーリー・ノルシュテインの特集上映「アニメーションの神様、その美しき世界」の開催に先駆け、12月1日に東京・ユーロライブにて特別試写会を実施。アニメーション作家の山村浩二が、上映後のトークショーに登壇した。

ユーリー・ノルシュテイン特集上映の特別試写会にて、ゲストの山村浩二(右)と聞き手の土居伸彰(左)。

ユーリー・ノルシュテイン特集上映の特別試写会にて、ゲストの山村浩二(右)と聞き手の土居伸彰(左)。

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「霧の中のハリネズミ」

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この特集では、ノルシュテインの生誕75周年とイマジカBSの開局20周年を記念し、「霧の中のハリネズミ」「話の話」などノルシュテインの短編アニメーション6作品をデジタルリマスター版で上映。35mmフィルムやレーザーディスクなど、さまざまなメディアでノルシュテイン作品に触れてきたという山村は「筆跡や切り絵のギザギザしているエッジとか、本当は見せたくない部分がよりくっきりした」と画質のクリアさに言及。磁気テープのマスターをデジタル化した音声についても、「今までと違う。生々しい音で、もやっとしていた霧が晴れたよう」と絶賛した。

「話の話」

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イベントでは、ノルシュテインの人柄に関する話題が。山村は「尊敬している1人だが、本人はとても人間らしい。あがめるだけじゃ駄目じゃないかな」と述べ、ノルシュテインが30年以上にわたり「外套」の制作を続けていることに触れる。そして「これだけ精力的に創作している人は若い人でもなかなかいない。現代の作家と言えるから、神様に祭り上げるのは早いと思う」と主張。さらに「人懐っこい一面もある」と続け、「感情が豊か。怒ったら本当に怒るし、笑ったら本当に笑う。その場その場の感情を表現する、“生きてるアーティスト”という感じ」とノルシュテインへの印象を伝える。

山村浩二

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切り絵を1つひとつコマ撮りしていくノルシュテインの手法に話題が及ぶと、山村は「全体と細部どちらも意識している。そして感覚をいかに研ぎ澄ませて形にするか、常に神経をとがらせている」と、ノルシュテインの制作時の厳しさを語った。さらには“プレビュー機能”のない時代における制作や、人形アニメーターとして経験値を高めたノルシュテインの下積み時代の話も飛び出す。

「アオサギとツル」

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また聞き手を務めたニューディアー代表・土居伸彰の「短編アニメーションの魅力は、何度も観てしまうところ」というコメントを受け、山村は「特にノルシュテインの作品は何度も観たいですし、本当に人に薦めたい。代表作のほとんどは彼が30代の頃に作ったもの。人生を達観しているようで、50代や60代の人が撮ったみたい」と作品の魅力をプッシュ。土居から「やっぱり(ノルシュテインは)神様なんじゃないですか?」と問われると、「何か魔法はありますよね」と同調し、「キャラクターだけでなく映画の画面全体で語っている。こういう作品って日本で言うと宮沢賢治を思い出す。有機的な生命感にあふれていて、それがノルシュテインだなと思う」と語った。

「ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映『アニメーションの神様、その美しき世界』」は、12月10日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次開催される。

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