この日撮影されたのは、小栗が古い屋敷の地下に潜入する場面。「本作でこだわったのは特殊造形」と大友が語っているように、神奈川県内の体育館に建てられた巨大なセットには、石膏でできたリアルな人の顔のマスク、体の一部が組み替えられた死体の写真などが点在し不気味な雰囲気を醸し出している。
拳銃片手に薄汚れた通路を進む小栗の姿を、移動撮影で捉えていくカメラ。「HANA-BI」「新宿スワン」などを手がけ、本作で撮影監督を務める山本英夫に関して大友は「僕が見たことのない日本映画の修羅場をくぐり抜けてきたような人だからなのか、安定感がある」と述べ、「エッジのあるショットを撮れる方なので、この題材とすごくマッチしている」と絶賛する。「いつもはテスト(リハーサル)などせず勢いで撮ったりもするんですが、山本さんの画は、テストをしても臨場感がしっかり残る」と言及していた通り、スタッフとキャストが納得いくまで何度もリハーサルが行われていく。
「小栗くんとならこのネタやりますという感じだった」と述べるほど、小栗とのタッグを熱望していたという大友。現場で感じた小栗の印象を「いい意味で身体が勝っている人。頭でっかちな役作りをするのでなく、体で考えてくるというか、必要な情報を自分の体に落とし込んでアウトプットできる」と語り、ぞっこんな様子を見せる。
「ハゲタカ」の演出時には、会話の間や物語のスピード感などを理解するため原作小説をすべてタイピングしたという大友に、本作の撮影に入る前に行ったことはあるかと聞くと「マンガ作品を実写化するときは現場では原作を隣に置かないようにしてます。2次元を3次元に置き換えるわけだから、寄せていく作業も大切だが、どこかで離れていく作業も必要」と回答。8月6日に封切られる「秘密 THE TOP SECRET」などマンガの実写化作品を複数手がけている大友は「『ミュージアム』の原作は、端に描かれている脇役の顔もすごく印象的。ですから脇役のオーディション時には、むしろ原作を手元におき、その特徴を参考に細かく配役を決めていった」と述べ、「脳内の記憶を映像化する『秘密 THE TOP SECRET』はガジェットで勝負、『るろうに剣心』はアクションで勝負してきたんですが、『ミュージアム』は加えて現代的な風俗描写で勝負しようと考えています」と心境を語った。
「ミュージアム」は2016年秋に全国ロードショー。
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- 映画「ミュージアム」公式サイト
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おおとも ひさし @tekuriha
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