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藤田和日郎VS島本和彦“イチャイチャ”否定のトークバトル「いつか週刊で戦いたい」

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藤田和日郎(左)と島本和彦(右)。

藤田和日郎(左)と島本和彦(右)。

「東アジア文化都市2019豊島」の一環として展開されたイベント「オールとしま・ウエルカム・東アジア」内にて、本日2月3日、島本和彦藤田和日郎のトークショーが催された。

トークショー開催前からTwitter上にて“バトル”を始めていた島本と藤田は、イベント開始早々お互いを挑発。このたびのトークショーの整理券は朝早くに配布終了となり、そんなファンのもとへと朝から駆けつけていた島本が改めて観客に感謝を述べると、藤田は「俺、朝起きて(Twitterを見て)びっくりして! 今回は好感度を上げたいのよ! なのに、先んじて島本さんが(整理券をもらいに来たファンに)愛想を振りまいてたって見て、遅れた感じがあります」と悔しそうにした。

冒頭では豊島区にトキワ荘が建っていたことにちなみ、トキワ荘に居住していた作家陣についての話題に。藤田にエピソードを求められた島本は「石ノ森章太郎先生のことをすごく尊敬していたんですけど、尊敬しすぎていて、最初にお会いしたときにテンションがおかしくなってしまって、最大の褒め言葉を言おうと思ったら『先生の雑な絵大好きなんですよ!!』と言ってしまって、大失態ですよ!」と思い返す。一方の藤田はあだち充とのエピソードを持ち出し、「あだち先生はご自身のことを『トキワ荘の先人たちが一生懸命荒れ地を耕して整地してグランドを作ってくれたおかげで、自分はそこのホームベースに立ってようやくホームランを打てたんだ』とおっしゃって……」と語り、会場中がその“いい話”に浸るムードが漂うと、島本は「これを言うために私に前振りをかけてきた! いい話を自分がしてきちんとポイントを稼ぐよね!」と反発。すると藤田も「いやいや、あだち先生がそういうふうにおっしゃってたからいい話だなと思って話そうとしたら、そっちが先に悪い話をしただけだからね。そうしたらこのあだちさんの話がよりカッコよく聞こえるようになったという。自業自得でしょ!?」と言い返す。負けじとばかりに島本も「『からくりサーカス』で“笑いが大切”“笑いが大切”って言いながら、悲しみを堪えてる表情ばっかり描いて! そんなに笑いが大切なら笑わせればいいじゃん! いつもこういうところで私が笑わせてるのに、結局最後はいい話で締めくくって!!」とヒートアップさせた。

2013年、対局方式で一編のマンガ制作に挑み、表現力を競うNHK総合のバラエティ番組「れんまん!」でも対決した2人。島本は「なぜか私が全面的に敗北して、ものすごく悔しかったんだけど、藤田さんが『慰めてやる』と言って、2人でメイド喫茶に行ったんですよ」と当時を述懐。「そうしたら注文を取りに来たメイドさんに対して、『(手を前に出して)ちょっと俺たち今からマンガの話をするから来ないでくれ!』って言ったんですよ!」と明かし、会場からは笑いが起こる。また「そのとき面白かったのが、メイドさんが『一応お店の決まりなので紹介させてください』と、『ここは学園で自分は小鳥で……』っていうお店の設定を説明しだしたんですよ。そうしたら藤田さんがその設定をすごい目をしながら聞いていて、『その設定で、お前はどういうキャラクターとして立ってるんだ!?』みたいな、さっきまで『来ないでくれ!』って言ってた人が一生懸命その設定を聞いていて」と藤田の様子を暴露する。それを受けて藤田は「いやいや島本さんね、俺はどんなときでもそこのルールに従って、素直に楽しむということをやろうとしている人間だから。そんな意地悪なことは……」と否定しながらも、「好感度爆下がりじゃない!?」と会場を見渡した。

近年「からくりサーカス」のTVアニメ化、「炎の転校生」のドラマ化など、自身の作品のメディア化が続いた2人。島本は「(ドラマ化を)やってくれること自体がうれしいし、クリエイターって任せられたほうがうれしいと思うので、『全面的にお任せします、一切口を出しません』というスタイルなんです」と言う。しかし藤田に「“一切”なんですか?」と問い詰められると、担当編集者の石田氏に「嘘です」と明かされてしまう。石田氏は「脚本の初稿が上がってきたときに、最初は『私は口を出さない。見ない』と言ってたんですけど、気づいたら1ページ目に筆ペンで『ここで主人公、ズザッ!』と書いてあって」と説明すると、島本は「それは必要! セリフは変えなくていいけど、『ズザッ!』っていうのは入れてくれと。“魂”の問題だから!」と島本節で解説した。

アニメ「からくりサーカス」では、シリーズ構成としてクレジットされている藤田。「手を離れたら作者のものじゃないという意見もあるんですけど、俺は過保護なんです。ちょっと違ったら言うのは当たり前だと思っているし、その分だけ責任を持っている」と思いを口にする。「というのも、Twitterとかでアニメを観た人に対して全部答えたいんですよ。『ああいう理由でこういうふうになったんだよ』と。そのためには全部知ってないといけない。(ファンと)喋りたいと思っているから、全部見ているという話です」と自身が持つ“責任”について語った。

またお互いの作品について、藤田は「ズルいよね」とコメント。「俺はストーリーマンガを描いているから構成とかキャラの出番、ストーリーの流れにけっこう文句が来るの。だけど『アオイホノオ』はその心配がないもんね。なぜなら事実だから」と言う。それに対し、島本は「自伝マンガを描くときにやっちゃいけないのは、自分以外の人を傷つけること。だから(『アオイホノオ』の作中の)『かわいそうなあだち充……』のようなセリフを描くのは、かなりの冒険なんですよ! どこかの導火線に火が点くんじゃないかっていつもビクビクしながら描いてる。だけど本当に思ったことをズバッて描かないと時代を切り取れないから、申し訳ないけど描かせていただいている」と意見。「でも(『からくりサーカス』に登場する)ゾナハ病の原因となる銀の煙は、実はこんなに小さいオートマタだって言っても、『誰もそんな小さいオートマタ作れるわけねえじゃん!』とか言わないで、『藤田さんの設定だからそうなってるんだ』って(読者は)全部受け止めてくれるじゃん!」と藤田にぶつけると、藤田は「マンガは全部そうじゃないか!!」と一喝。島本は「うるせーなこの野郎!!」と藤田に掴みかかり、「今シャッターチャンスです」と観客へのフォトセッションタイムを作り出した。

終始用意されていた椅子に座ることもなく、トークバトルを繰り広げた2人。最後に島本は「お互いこの歳になっても落ち着くでもなくぶつかり合って。ぶつかり合うってことは『まだアイツ戦う気があるんだ』ってことで、上を目指している感じのすごく小気味のいい関係だなと思う」と口にしながらも「決して“イチャイチャしている”わけではない」とファンから指摘される2人の関係を否定。続けて「いつかは週刊(連載)に戻って藤田と戦いたいとまだこの歳になっても思ってるんだよね。だからそれまで人気を保って元気でいてくれないと面白くない」と明かす。藤田も「ライバルはでっかくないと面白くないですよね。だったら最初から『ONE PIECE』に噛みつけっていう話なんだけど」と返し観客を笑わせながらも、「島本さんって面白いでしょ。描きたいものもいっぱい持ってるからなんか負けたくないんですよね。それがマンガを描いていくエネルギーになっているところもありますので。まあ……がんばってください。俺は俺でやりますけどね。島本さんも島本さんでがんばってもらって、『アオイホノオ』が終わった次が楽しみです」と応える。それを聞いていた島本は「(藤田は)自伝マンガとか“マンガ家マンガ”は認めないってスタンスだからね」と頷くと、藤田は「そうそう、全部頭で考えろってんだよなあ」と吹っかけてみせるが、島本は「それは私もわかるよ。だからちゃんと設定を考えて物語を編んでいる藤田さんはすごいなと思いますよ」と真面目に感心。藤田が「そこは『自伝マンガは自伝マンガで難しい』とか言わないとダメじゃないですか」と突っ込むと、食い気味に「自伝マンガは自伝マンガで難しいんだよ!! 誰にでも描けるってわけじゃねえんだよ!!」と声を荒げ、予定時間を大幅に超えた90分に及ぶバトルに終止符を打った。

「東アジア文化都市」は日本・中国・韓国の3カ国において、文化芸術による発展を目指す都市を選定し、その都市でさまざまな文化芸術イベントなどを実施するもの。去る2月2日と本日の2日間、東京・東京芸術劇場のギャラリー1で催された「オールとしま・ウエルカム・東アジア」では、島本や藤田のほか、豊島区ゆかりの作家陣による原画が並び、島本が描き下ろしたアニメイトの公式キャラクター・アニメ店長と豊島区長のコラボイラストも展示された。

なお東京・豊島区役所本庁舎の3階~5階、10階豊島の森では、「区庁舎がマンガ・アニメの城になる」と題した展示イベントを開催中。クリヨウジ、さいとう・たかを、里中満智子、夏目房之介、しりあがり寿によるインタビュー映像「マンガ・アニメと社会・未来」や、特集「久野遥子と巡る、マンガ・アニメのいろいろな作り方」などの展示が企画されている。

「区庁舎がマンガ・アニメの城になる」

期間:2019年2月1日(金)~11日(月・祝)9:00~17:00
会場:東京・豊島区役所本庁舎3階~5階、10階豊島の森
料金:無料

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