「神使の番人」1巻

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「神使の番人」バディものの魅力が最大化する“人間×人外”のよさをここでひとつ語らせてくれ

PR烏丸イチ「神使の番人」

災害を引き起こし、人々の生活を脅かす怪物・禍津神(まがつかみ)が現れるようになった社会。幼少期に妹と被災した倉持柊は、妹を養うため禍津神鎮守機関アマテラスに入る。そこで神の使いである存在・神使(じんし)を相棒にするための儀式を受けるが……。烏丸イチ「神使の番人」はコミック アース・スターで連載されており、単行本1巻が9月12日に発売予定だ。

/ 太田祥暉

烏丸イチ「神使の番人」1巻
烏丸イチ「神使の番人」1巻
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バディものが好きだ、和風ファンタジーが好きだ、これぞ王道の“バディ×和風ファンタジー”だ!

バディものが好きだ。「MIU404」や「踊る大捜査線」、「相棒」と刑事ドラマをよく観ていたことも大いに影響があるかもしれない。キャラクター2人がそれぞれの長所で短所を補い合いながら戦っていくことによって、成長していく姿や関係性が深まっていく姿がとても心に来るのだ。そのキャラクターのバランスが凸凹であればなおよく(双子など似ているものもそれはそれで面白いのだが)、日常のドラマもどんどん華やいでいく……のではないだろうか。

そして、和風ファンタジーが好きだ。異世界ものももちろん面白いけれど、日本を舞台に繰り広げられるファンタジーとなると、途端当事者のように、キャラクターに思いを馳せやすくなる。いつも暮らしている風景に、神々や人外といった非日常の存在が加わるというスパイスも心地よくて楽しい。

そんなことを考えたのは、本作「神使の番人」が王道のバディアクションかつ王道の和風ファンタジーであるからだ。舞台は日本。禍津神という怪物が現れ、さまざまな災害を引き起こすようになった世界。この禍津神の引き起こした災害へ、幼少期に巻き込まれた青年・倉持柊が、妹を養うべく禍津神鎮守機関アマテラスへの就職を志望する──。

相棒である人外の存在と、日常を脅かす脅威に立ち向かう。「神使の番人」の設定はバディもの、和風ファンタジーの王道設定が詰まっている

相棒である人外の存在と、日常を脅かす脅威に立ち向かう。「神使の番人」の設定はバディもの、和風ファンタジーの王道設定が詰まっている

この世界では、常に死と隣り合わせ。いつ禍津神に襲われて死んでしまうかわからない。ただ、そんな世界でも事務員として慎ましく生きようとしていた青年が倉持だ。彼は刃物にトラウマがあり、直接禍津神と戦うような仕事──防衛課には向かない存在。一緒に禍津神と戦う相棒・神使との契約もできないとして、すぐに裏方の給養課へ配属されてしまった。しかし、ある事件を境にして、昔に神使の犬丸と契りを交わしていたことが発覚。給養課から転じて、防衛課へ配属となり、前線で戦うこととなっていく。

自分にはできないことを補い合うのがバディ、人外が相棒であることの圧倒的魅力

ここでミソなのが、この作品にて人間がバディを組む相手が同じ種族(人間)ではなく、人外であるということだ。正しくは、人ならざる存在。まだその正体も謎に包まれているが、倉持は番人となり、人ならざるもの・神使の犬丸と2人で戦っていく。人間であれば素直にキャラクター同士が長所と短所を補い合うだけだが、どちらかが人外ともなればおよそ人間には不可能なことで補填をしていく、という展開が描かれる。「もし、こんなことができる相棒がいたならば」という、バディものの一番おいしい部分を描ける設定が“人間×人外”の組み合わせなのだ。ちなみに、犬丸も最初は懐いていないのかと思うほどツンツンしているのだが、倉持への信用がにじみ出るような描写があり、徐々に信頼関係の強さがわかるのもポイント。2人が互いを信じ合うからこそ、禍津神へ対抗できるという説得力を感じられるのが素晴らしい。

倉持(上段)と犬丸(下段)

倉持(上段)と犬丸(下段)

そんなバディものとして本作を読んだとき、やはり見逃すことができないのは脇のキャラクターたちだ。主人公2人が魅力的であればそれでいいということでは決してなく、脇のキャラクターたちの個性が光れば光るほど、主人公たちの行動も鮮やかに私たちの目に映るわけである。本作のキャラクターたちはまさにそう。タイミングが遅れて防衛課に配属された倉持たちに少しキツく当たる同期や、気軽に接してくる者、また少し胡散臭い神(上司)と癖があるキャラクターばかりが登場し、倉持と犬丸をどんどん「私たちが住む世界とは異なる世界」に誘っていく。

神器とは、人間と神使が力を合わせることで生み出される武具。倉持と犬丸も神器を出そうとするのだが……?

神器とは、人間と神使が力を合わせることで生み出される武具。倉持と犬丸も神器を出そうとするのだが……?

力なき一般人の視点、日常と地続きの世界だからこそ輝くファンタジー成分

しかし倉持の妹(一般人)が登場すれば一気に世界は引き戻されて、緊迫感のある状況下でのバトルがスタートする。そうなれば、和風ファンタジーであることの本領発揮。私たちが住んでいるのとほとんど変わらない世界を、力なき一般人の視点で眺め、ど迫力のアクション描写に圧倒されることができる。気づいたときには、もう作品の虜になっている。そうして、単行本第1巻部分はとにかく圧倒されながら一気に読んでしまうことが必至の作品なのだ。事実自分も、作品を知ってから一気に読み耽り、その昂まったテンションのままこの文章を書いている。

兄の倉持柊(上段)と妹・ひな子(下段)

兄の倉持柊(上段)と妹・ひな子(下段)

一般人である妹が、禍津神の発生現場に居合わせてしまう場面。この世界の日常が感じられるシーンだ

一般人である妹が、禍津神の発生現場に居合わせてしまう場面。この世界の日常が感じられるシーンだ

やはりバディものはよい。留まるところを知らない2人の成長から目が離せない! この先、2人はどんなバディになっていくのか。倉持は妹を養うという目標とともに、犬丸とどんな未来を目指すのか? そんなこれからの展開が楽しみでならない、新たなバディアクション×和風ファンタジーが開幕した。

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「神使の番人」第1話を試し読み!
(c)Ichi Karasuma 2025

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