「大人になるほど泣けてくる、漢泣き月刊誌」と謳われる月刊コミックゼノン。「終末のワルキューレ」「蒼天の拳 リジェネシス」「前田慶次 かぶき旅」など、たくましさと熱量を感じさせる連載作品が多数揃っている。この記事では、そんなゼノン作品の魅力があふれる、思わずクスッと笑ってしまうシーンを紹介。気になったら、まずは第1話だけでも読んでみて、そのエネルギーをぜひ体感してほしい。
取材・文 / 小林聖
「ギルデッド・セブン」
カラスマタスク
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アメリカ州警察のケイゴ・ウエストウッドは、犯罪組織ラ・ヨローナを追っていた。幹部たちの逮捕には成功したものの、護送中に自然災害に巻き込まれ、1866年のアメリカ西部にタイムスリップしてしまう。そこはまだ、法も秩序も整備されていない無法地帯。さらに前年に暗殺されたはずのリンカーンが生きており、自分以外にもタイムスリップしていた幹部たちの暗躍によって歴史が歪められていた。ケイゴはリンカーンと手を組み、この時代でも悪名を轟かせる幹部たち6人に立ち向かう。
©︎カラスマタスク/コアミックス
問題がないことはない
天然痘の治療薬を求めて要塞列車に突入したケイゴ一行だが、肝心のエイブラハム・リンカーンがデカすぎて天井に。当の本人は眉ひとつ動かさず「問題はない」と言っているが、どう考えても問題がないことはない。
野蛮に野蛮で応えすぎ
投与された薬物のせいで痛みを感じなくなっている敵の手先による噛みつき攻撃がリンカーンを襲う! そんなアンデッドのような攻撃にリンカーンも文明人の顔を捨てて噛みつきで応酬。命が尽きるまでの根比べを挑む。鬼気迫る! けど、なぜそこまで付き合うんだ、エイブ!
「終末のワルキューレ」
作画:アジチカ 原作:梅村真也 構成:フクイタクミ
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地上で横暴を極める人類に対し、神々は人類の滅亡を採択した。これを阻止すべく、人類は神々とのタイマン勝負に挑む。13番勝負で、先に7勝したほうが勝利というルールだが、果たして人類が神に勝つことなど可能なのか──。人類代表として、700万年の人類史から選ばれた最強の13人が立ち上がる。TVアニメ第3期が、12月にNetflixで独占配信される予定だ。
©アジチカ・梅村真也・フクイタクミ/コアミックス
神の鉄槌(足)
1000年に一度、人類を存続させるか、終末を与えるかを神々が決める人類存亡会議。終末を与えると決まったらどうなるかのイメージカットがこちら。巨大な足で踏み潰されるという、「何も神の制裁が足でなくても」という脱力感と、それでいて「こりゃどうにもならん」という説得力があふれる名カットだ。
神は笑えるくらい怖い
人智の及ばない存在である神々は、信仰の対象であると同時に人間の理屈が通じないヤバいやつ。全知全能の存在であり神々の王・ゼウスともなると、神に仕えてきたワルキューレたちが人間に助力するという謀反を起こしても、怒り狂うどころかドッキドキを感じてしまう。どうかしてる面白さと、こんな連中と戦わなければいけない怖さがミックスされた恐怖ギャグとも言える1コマ。
正真正銘の拳骨主義(股間)
神々との戦いのために召喚された偉人の1人として、徒手空拳で戦う全人類の父・アダムが入場。「正真正銘の拳骨主義」という言葉と登場のインパクトに押し切られそうになるが、拳骨主義……拳骨主義ですか、これ本当に?
「蒼天の拳 リジェネシス」
原作:原哲夫 監修:武論尊 脚本:八津弘幸 作画:辻秀輝
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「北斗の拳」の過去を舞台とする「蒼天の拳」シリーズ。193X年、第二次世界大戦を目前に控えた世界情勢は混沌の一歩をたどっていた。第62代北斗神拳伝承者・霞拳志郎は伝説の儀を終え、獄都・蘭印(インドネシア)へと降り立つ。人類の宝“希望の目録”を巡り、彼は新たな勢力との死闘に身を投じていく。
©︎原哲夫・武論尊/コアミックス 2001、 ©︎八津弘幸・辻秀輝
「スォオオオオオオオ」相手は死ぬ
雑魚を瞬殺する気持ちよさは北斗シリーズの醍醐味の1つ。「リジェネシス」でもさまざまな雑魚が吹き飛ばされていくが、中でも強烈なのがこのシーン。もはや動きすら見えず、スォオオオオオオオと歩き去るだけで雑魚を粉砕する。もはや雑魚は徒歩で倒す時代!
断末魔と捨てセリフをミックスする新スタイル
断末魔も北斗シリーズのお家芸の1つ。「ひでぶっ」をはじめ、印象的な最後の叫びを数々生み出してきた。「リジェネシス」ではそんな断末魔に新たなスタイルが登場。言葉としては「ほげほげほげげ~~~!!!」だが、なんと「天罰が下るぞ」というルビが。断末魔+捨てセリフというスタイルが、文字数すらまったく合っていないセリフを誕生させている。
小悪党はやっぱり汚い
「強そうなやつはとりあえずデカい!」「悪いやつは人相も悪い!」など直球の表現が気持ちいいのが北斗シリーズの魅力の1つ。したがって、小悪党ともなれば品のなさも爆発する。「リジェネシス」では、「蒼天」シリーズおなじみの小悪党・紅華会から幹部の息子・黄玄栄が登場しているが、その食事シーンがこちら。もはや食べている量より飛び出している量のほうが多そう。卑しすぎて栄養補給もままならない。
「ハイスペ婚にもほどがある 13人の偉人たちとの恋愛リアリティーショー」
原作:原スサノ 作画:ななお
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恋愛偏差値ゼロ、結婚にも興味がない姉川直央。それでも弟たちと楽しく過ごしていたが、暇を持て余す神様たちに向けて放送される恋愛リアリティーショー番組「ラヴ・キーマン」の出演者に選ばれてしまう。男性参加者は、カエサル、曹操、聖徳太子、在原業平、ミケランジェロ、明智光秀、石川五右衛門、フリードリヒII世、ルソー、モーツァルト、ファーブル、ノーベル、土方歳三という13人の偉人たち。愛する弟たちのために出演を承諾した直央は、世紀のハイスペ男子たちと恋の真剣勝負を繰り広げる。
©︎原スサノ・ななお/コアミックス
恋愛はバトル(物理)
さまざまな歴史上の偉人との恋愛リアリティーショーが展開される本作は、ひとクセもふたクセもあるイケメン偉人の心に触れていくところが見どころ。ただし、ゼノンなので触れ方はしばしば物理になる。出会ったばかりの口が悪いイケメン土方歳三に、(失礼すぎるぞという)自分の正直な気持ちを伝える方法も「物理」。恋愛はバトルだと教えてくれる。
ドキドキの脱出ゲーム
監獄塔で石川五右衛門と一緒にドキドキの脱出ゲームに挑戦! 人間だと脱出に50年はかかるという超高難易度で、釘が飛んできて命を狙ったりする罠もたくさんあり吊り橋効果もバッチリのステージだ。もちろん脱出方法もドキドキ。窓から垂直に壁を下りていくダイナミック脱出(落下)には思わず心臓が止まりそう!
いいカラダすぎてもはや笑う
五右衛門のヌードデッサンをしたいというミケランジェロの願いに乗っかる形で、主人公も絵を描くことに。立派な筋肉で引き締まったカラダは、ananの表紙になりそうな雰囲気。コメディ寄りのシーンも多い作品で、急にしっかりいいカラダなのでもうなんだか脳がバグって笑いも出る。
Webマンガサイト・ゼノン編集部からも1作!
「19番目のカルテ 徳重晃の問診」
富士屋カツヒト 医療原案:川下剛史
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松本潤主演の実写ドラマが放送中の注目作。整形外科医の滝野は、「なんでも治せるお医者さんになる」という夢を抱いていた。しかし専門分野が細分化され、それぞれの領域を極めることがよしとされる現代医療では、その夢を叶えるのは難しいと感じていた。そんな中、特定の臓器や疾患に限定せず、“人間”そのものを診る総合診療医・徳重晃と出会ったことで、滝野の医師としての在り方が少しずつ変わっていく。
©富士屋カツヒト/コアミックス
重すぎるが妙に軽快なプロの言葉
足の痛みで救急にやってきた患者。しばらくして痛みが治まるが、実は原因は命に関わる“大動脈解離”と判明する。急な話を信用できない患者は一旦帰ると主張するが、そんな彼に対する専門家からの説明は「この感じだと8割方死にますよ?」という衝撃の一言。重すぎる事実を冷静にサラッと伝える彼女には驚かされるが、それもまた百戦錬磨の風格だ。「でも大丈夫♪」という言葉は軽やかだが、どこか信頼感がある。
病人はしっかり景気が悪い!
本作の裏の主人公とも言えるのはエピソードごとに登場する病気にかかった人たち。その表情から体調の悪さはもちろん、何かとうまくいっていなさそうな雰囲気まで感じさせる。ここまでしっかりと不調が伝わってくると、彼の早い回復を自然と願ってしまう。
ベテラン医の妙な迫力
古今、強いキャラはまとう迫力もすごいというのがマンガの掟。それは医療マンガでも変わらない。例えば、いつも笑顔で若手を指導するえびす顔の脳外科医の長良先生。当たりの柔らかさと妙な迫力が同居するその顔はもはやユーモラス!
コミックシーモアからうれしいお知らせ
2025年8月16日に21周年を迎えるコミックシーモア。日頃の感謝を込め、マンガをお得に楽しめるキャンペーン「コミックシーモア誕生祭」を開催中だ。クーポンの配布や、抽選で2万ポイントが当たるプレゼント企画が行われている。
期間
2025年8月1日(金)~8月31日(日)
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