「黒蜥蜴」の製作発表会見が本日9月28日に東京・東京モード学園にて行われた。
会見には演出の
ルヴォーは脚本を手掛けた
続けてキャストが作品と自身の役柄に対しての思いを述べる。タイトルロールを務める中谷は、「私はつくづく舞台に向いてないと思っているので、このお話をいただいたときにうれしい反面恐れも多く、尻込みしている自分もいました。しかし、実際にルヴォーさんにお目にかかってみると、本当に温かい眼差しで、私の自信のなさにも懐深く受け入れてくださって、自分の能力も顧みずつい『イエス』と言ってしまいました(笑)」と謙虚に述べる。さらに中谷は「私は本番が本当に嫌いなので、ルヴォーさんに『私はお稽古を一生懸命やって、本番は違う女優さんにやっていただけたら』とお話したら、『それでもいい』と言ってくださったので。いいんですよね?」とルヴォーに目線を投げかけると、ルヴォーは「ジュディ・ガーランドみたいだな!」と高らかに笑って答えた。
黒蜥蜴の好敵手、明智小五郎役には井上。「ルドルフ ザ・ラスト・キス」で一度ルヴォー演出を経験している井上は、「そのときの経験が鮮烈で、魔法にかけられたような稽古と本番でした。そこから5年、現実を見せつけられてきたので(笑)、また夢にかけられたいと思ってきました。中谷さんが黒蜥蜴をやられるのもぴったりですし、なんとしてもこの作品に出演したくて、いろいろスケジュールを調整しました!」と笑顔を見せる。さらに「僕もこう見えて38。ミュージカル界ではプリンスと言われていますが、ルヴォーさんにももう違うだろうと言われているので(笑)、今回はハードボイルドな明智を精一杯やりたいなと思っています」と意気込みを述べた。
黒蜥蜴に誘拐される早苗役を演じるのは相楽。「ルヴォーさんがおっしゃっていますが、“グロテスクビューティ”という言葉がまさにぴったりな作品。中谷さんの今日のお衣装も、全部レザーでできていてすばらしいです」と隣席の中谷と目線を交わす。自身の役については「早苗にはちょっと秘密があって、私にとってはそこがかなりやりがいがあるなと。最後のどんでん返しも楽しみにしていただけたら」と観客の期待を煽った。
家政婦のひな役には朝海。「『黒蜥蜴』というと、やはり三島由紀夫さんと美輪明宏さんのお二方の名前が出てききます。とてもエロチックでグロテスクで、観客としては怖いもの見たさ、そんな思いをさせてくれる作品だなと思います。私自身は今まで演じたことがないような役。いろいろ想像はしているんですけど自分自身どうなるかまだわかりません」と、不安とともに期待を述べる。
純粋で美青年の雨宮潤一役を演じる成河は「正直にお話しすると、最初はお断りさせていただいたんです。と言うのも、僕はこう見えても36歳なので……」と苦笑い。「でもルヴォーさんの思いを伺って、日本で誰も観たことがない『黒蜥蜴』ができるのではないかと思い、その助けになればと思ってお引き受けさせていただきました。なけなしの純粋さと美青年をかき集めてがんばろうと思っています」と述べ、笑顔を見せた。
ルヴォーと中谷は、今回が初顔合わせとなる。ルヴォーは「中谷さんとはニューヨークで初めてお会いして、そのときに魔法のような力を持っている人だなと感じました。すでにプレ稽古としてWSを行ったのですが、本格的な稽古が始まるのを楽しみにしています」と期待を寄せた。
また作品中では、追い、追われる関係でありながら徐々に惹かれ合っていく黒蜥蜴と明智小五郎。その不思議な関係性について井上は、「明智と黒蜥蜴は真逆の立場ですが、共に犯罪に恋している部分があり、ものすごいラブストーリーでもある。これまで見たことのないような愛の形が生まれるのではないかと。そこが背筋がぞぞっとするほど魅力的だなと思います」と述べ、中谷も「セリフの中にもありますが、写真の陰と陽、あるいは磁石のプラスとマイナスのように、惹かれ合い牽制し合い、WSの中でも追いかけているのか追われているのかわからなくなる瞬間がありました。犯罪に取り憑かれた2人のロマンチックな、美しく残酷な物語です」と続ける。
演出については「デザイナーの方たちと一緒に三島の抱いていたビジョンを探っていきたい」とルヴォー。さらに「言葉にとらわれず、映画のような技術も幾つか使い、言葉による描写を剥ぎ取っていきたいと思っています。夢であるかのように突然、人物や光景、シチュエーションが浮かび上がる、ということができたら……」と思いを述べた。
「黒蜥蜴」は、江戸川乱歩の原作をもとに三島由紀夫が執筆した戯曲。美に執着する女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎による耽美な物語が繰り広げられる。公演は2018年1月に東京・日生劇場、2月上旬に大阪・梅田芸術劇場メインホールにて行われ、チケットの一般販売は9月30日にスタート。
「黒蜥蜴」
2018年1月9日(火)~28日(日)
東京都 日生劇場
2018年2月1日(木)~5日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
原作:江戸川乱歩
脚本:
演出:
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早野 由夏 @Yuca_h
めっちゃ早起きして、めっちゃバタバタして、脚がパンパンになったけど、写真がどれも美しすぎて、ホッとした黒蜥蜴の記者発表でした。https://t.co/C0rWV27M78