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竹内まりや「10年間のご無沙汰でした」名曲づくしのライブ

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竹内まりやが12月3日・4日に日本武道館、21日・22日にて大阪城ホールで約10年ぶりのワンマンライブ「souvenir again」を開催した。

12月3日の東京初日公演では、山下達郎率いるバックバンドがイントロを奏でる中、エレクトリックギターを抱えた竹内が舞台袖から登場。そしてステージ中央に立ち1曲目の「家(うち)に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」を歌い出すと、客席からワッと歓声が上がった。

ライブ序盤は「マージービートで唄わせて」「毎日がスペシャル」といった明るい雰囲気の楽曲や、「遠い夏の日を思い出しながら……」と前置きした「象牙海岸」、叶わぬ大人の恋を歌った「告白」などの抒情的なナンバーを披露。竹内は多くの観客を前に「10年間のご無沙汰でした。みなさんお元気でしたか? 還暦になる前にはもう一度ライブができたらいいな、という軽い気持ちでいたんですが(笑)」「本当にこうして皆さんにお会いすることができて感無量です。今日は一緒に素敵な夜を過ごしましょう」と挨拶した。

さらにMC中に、会場に来ているオーディエンスの年齢層を拍手の大きさで確認。結果10代から50代までまんべんなく来場し、最高で70代以上の人も会場に駆けつけていることがわかると、竹内は「今でも10代の方からのリクエストが多く、聴いた人が世代を超えて元気になってくれたらと思う1曲です。歌っている自分自身も元気が出るんですよね」と話し、「元気を出して」を丁寧に歌い上げた。

ライブ後半では、今年CMでカバーしシングル化もされた「ウイスキーが、お好きでしょ」をライブ初披露。その後、人との一期一会をテーマにした「みんなひとり」「駅」が歌われ、より説得力を増したメッセージに観客は惹き込まれていた。

バンドメンバー紹介の場面では、竹内の夫であり、このバンドの総指揮を務める山下達郎にスポットが当たると場内からひときわ大きな歓声があがる。ここで竹内が「(発売を延期した)アルバムはいつ出るんですか?」といたずらな質問を投げかけると、武道館中に響き渡る生声で「すいません!!」と達郎が答え、場内が爆笑に包まれるという一幕もあった。

そして達郎の弾くギターカッティングが印象的な「プラスティック・ラヴ」から、ライブは一気にラストパートへ突入。観客とハンドクラップを楽しんだ「チャンスの前髪」、場内を総立ちにさせた屈指のアッパーチューン「J-BOY」と続いていく。

ライブ終盤、竹内は今日のライブを振り返り、改めてスタッフや観客に感謝の気持ちを伝えた上で「誰かの人生の中でほんの一瞬でも役に立つことがあれば、これが私の使命と思ってこれからも歌っていきたい」と語った。本編最後の曲に選ばれたのは「51歳を迎えた春、桜を見ながらふと“あと何度この景色を見られるだろうか”と思ったことを素直に歌にした」という「人生の扉」。人生のいくつもの扉を開けながら、1日1日を味わって生きていきたいというメッセージを、武道館に集まったファンひとりひとりに向けて届けた。

アンコールでは、Mの文字が印象的な赤いニットセーターに着替えた竹内と、サンタ帽をかぶったコーラス隊で、「ケンタッキーフライドチキン」のクリスマスCMでおなじみ「すてきなホリデイ」を歌唱。鈴の音やステージ背面のモニタでファンタジックなムードを演出したかと思えば、次の「アンフィシアターの夜」では一転、ロックンロールな楽曲にあわせて竹内の表情や動きもアグレッシブに変化する。

毛色の異なる2曲でアンコールを盛り上げた竹内は、続いて「どうぞみなさん一緒に歌ってください」とデビュー初期のヒット曲メドレー「不思議なピーチパイ~September」を披露。彼女は歌いながらステージ両翼のせり出しへ歩き、10年ぶりのステージを見守ってくれたファンに満面の笑みを届けた。

そしてバンドメンバーがステージを去ると、竹内は1人グランドピアノに向き合う。今回のライブで最後に演奏されたのは、彼女が初めてペンネームを使って作詞し、NHK朝の連続テレビ小説「だんだん」の劇中歌として茉奈佳奈に提供した「いのちの歌」。ピアノの音色とシンプルな言葉に涙する観客の姿も見受けられる中、万感の思いで全20曲を歌い上げた竹内は「本当にありがとうございました。またお会いしましょう!」とさわやかに退場。デビュー32年目の貫禄を言葉なくとも感じさせる、約10年ぶりのライブ初日はこうして幕を下ろした。

「souvenir again」
2010年12月3日 日本武道館 セットリスト

01. 家(うち)に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)
02. マージービートで唄わせて
03. 毎日がスペシャル
04. 象牙海岸
05. 告白
06. 僕の街へ
07. 元気を出して
08. 五線紙
09. ウイスキーが、お好きでしょ
10. みんなひとり
11. 駅
12. プラスティック・ラヴ
13. チャンスの前髪
14. J-BOY
15. 人生の扉

EN-01. すてきなホリデイ
EN-02. アンフィシアターの夜
EN-03. 不思議なピーチパイ~September
EN-04. いのちの歌

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