日笠陽子、爽快な秋風と駆け抜けたツアー初日

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10月4日、日笠陽子のライブツアー「Le Tour de Couleur」の初日公演が東京・日比谷野外大音楽堂で開催された。

日笠陽子「Le Tour de Couleur」の様子。

日笠陽子「Le Tour de Couleur」の様子。

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日笠陽子

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このツアーは日笠の1stオリジナルフルアルバム「Couleur」を引っさげて行われるもの。そして彼女にとって初めてのワンマンライブツアーとなる。その1日目、白と黒のツートンカラーのリメイクライダースジャケットに、タイトな白のミニスカートというスタイルでステージに現れた日笠は、火薬の炸裂による轟音を合図に、涼しい風が吹き抜ける野音の客席目がけて「ENVY DICE」「Brighter day」「Starting line」というアップリフティングな3曲をいきなり連発。自身の晴れの舞台の幕を勢いよく開けてみせた。

以降も日笠は「突っ走っていくので最後までついてきてください!」との宣言通り、コミカルながらもコンパクトなMCを挟みつつ、ハイトーンボイスを武器にライブ前半戦を駆け抜ける。自身にステージドリンクにあまり口をつけないきらいがあることに触れ「『水飲んでないな』と思ったら『日笠、水ー!』って声をかけて」「『志村、うしろ』みたいな感じで」と笑いを誘うや、ミドルテンポのヘビーなリズムが印象的な「Crazy you」「Pollution」、HISASHI(GLAY)作詞作曲のストレンジなロックチューン「憂冥」と、序盤の楽曲群とはテイストの異なる、しかし同じくタフなナンバーを叩き込む。そして2013年10月の東京・新木場STUDIO COASTでの初ワンマンのライブTシャツを着込んだファンを見つけては「おい、なんで今回のTシャツ着てないんだよ」とまたも笑いを誘いつつ、その2013年リリースのミニアルバム「Glamorous Songs」収録曲、永野椎菜(TWO-MIX)作詞作曲の「Rhythm Linkage」をドロップ。さらにアコースティックセットでのバラード「終わらない詩」では、「みんな大切な人はいる?」との問いかけに「ひよっち!(日笠)」と答える客席に「じゃあみんなを思って歌うね」と語りかけ、ジェントルな歌声を聴かせていた。

日笠陽子

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ハードなダンスナンバー「EX:FUTURIZE」のアウトロでドラム、ベース、ツインギター、バイオリン、キーボードからなるサポートバンドがセッションを繰り広げる中、日笠は一旦退場。濃紺のジャケットに同系色のボリューミーな膝上丈のスカートというハードながらもフェミニンなルックにお色直しして、アルバム「Couleur」のリードトラック「新世界システム」で「誰かは言うよ あいつはクズだ そんなこと言っているお前はどうなんだ?」と強烈なメッセージを突き付け、ライブ中盤戦をスタートさせる。

しかしスタイリングこそ変われど、続くMCのノリは前半戦のまま。「新世界システム」の「あいつはクズだ」というフレーズが好きだと語る日笠が「そうそうなくない? 『あいつはクズだ』って言われること」と笑うと、客席からは「言って!」の声。これに彼女が「お前らクズだよ!」と応えるも、満足しないオーディエンスは大「もう1回」コール。「お前らは本当に正真正銘のどクズだよ!」と絶叫する日笠に今度は怒号のようなボリュームの嬌声を浴びせる、なんとも不思議な光景が繰り広げられた。

日笠陽子「Le Tour de Couleur」の様子。

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これにはさすがに「次の曲、行きづらい」と苦笑する日笠だったが、プレイになれば、やはり前半戦同様のテンションと集中力を見せつける。壮大なストリングスが耳に残るデビュー曲「美しき残酷な世界」を高らかに歌い上げたのちには、「Reclusive」から「Sleepy Hungry Minds」まで高速チューンをノンストップで4連射。「Love My Melody」ではステージ上に無数に吹き上がるスモークがこの軽快なロックナンバーに華を添え、パーティーチューン「Sleepy Hungry Minds」では「みんなちゃんと覚えてきた?」と挑発する日笠にオーディエンスが呼応。「一緒に Everybody」という日笠の歌声に「Doki Doki? Everybody!」とかぶせる、息の合ったコール&レスポンスで終盤戦のステージを盛り上げた。

日笠陽子

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「Couleur」のアートワークをイメージして制作したというバラード「FLOWERS」を歌ったところでライブ本編は終了。万雷の拍手に最敬礼といった様子で応えた日笠が退場するとアンコール代わりの「日笠」コールが響き渡る。さらにバンドメンバーがステージに現れると、オーディエンスはおのずと2組にわかれ「日笠!」「陽子!」のコール&レスポンスを展開する。

誰もがその登場を待ちわびるステージに、大きく肩の出たタイトなTシャツにショートパンツ姿で現れた日笠は、アンコールへの返礼とばかりに前作「Glamorous Songs」のリードトラック「Glamorous days」を披露すると、大歓声に両手を拡げて応えつつ、ボソッと「日笠」とつぶやき、客席に改めて「陽子」コールを要求。オーディエンスの「陽子」の声を背に「本当に最後になっちゃいます!」「最後はみんなで盛り上がっていこうじゃないか!」と、日比谷の夜空の下、どこまでもポジティブな「Seek Diamonds」のメロディを歌い上げ改めてステージをあとにした。

しかしその直後、客席ではまたも「日笠!」「陽子!」の大合唱。ダブルアンコールを求める声が巻き起こる。ツアーTシャツを着込んでみたびステージに登場した日笠は、自らのとある聞き間違いをきっかけに誕生した自作詞曲「みるく定食」を、客席のハンドクラップに乗って軽やかに、しかし少しセンチメンタルに歌い上げると「切ないままじゃあ終われないでしょう!」とシャウト。リクエストタイムをスタートさせる。

これは客席からプレイしてほしい曲を募るというもの。前回のSTUDIO COAST公演で実施したときのことを振り返った日笠は、COASTいっぱいのオーディエンスがめいめいのお気に入り曲を叫び渾沌とした状態になってしまったことに触れ「お前ら、あのとき全然ダメだったじゃん?」「『いっせーのせっ!』で同じ曲名がバッと返ってくるのを期待したいじゃん」と客席にマイクを向けるも、野音に集まった数千人は、やはりそれぞれ好きな曲を叫び出す。当然ながらもあまりな結果に日笠は「バカじゃねえの、お前ら」と苦笑い。気を取り直して自ら指名した“ナギサちゃん”のリクエスト曲「Sleepy Hungry Minds」で再び客席と声を合わせて、ストイックなプレイと笑いの絶えないMCのコントラストに彩られたツアー初日を大団円のうちに締めくくった。

なお日笠は今後、10月25日には大阪・オリックス劇場で、11月16日には東京・Zepp Tokyoでライブを実施。この日の日比谷野外大音楽堂公演と同じ東京開催となるZepp Tokyo公演では大幅に異なるセットリストが組まれる予定になっている。オリックス劇場公演、Zepp Tokyo公演ともにチケットの一般販売は10月11日から。

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日笠陽子「Le Tour de Couleur」
2014年10月4日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01. ENVY DICE
02. Brighter day
03. Starting line
04. Crazy you
05. Pollution
06. 憂冥
07. Rhythm Linkage
08. BALLOON
09. 終わらない詩
10. EX:FUTURIZE
11. 新世界システム
12. 美しき残酷な世界
13. Reclusive
14. 風と散り、空に舞い
15. Love My Melody
16. Sleepy Hungry Minds
17. FLOWERS
<アンコール>
18. Glamorous days
19. Seek Diamonds
<ダブルアンコール>
20. みるく定食
21. Sleepy Hungry Minds

日笠陽子「Le Tour de Couleur」

2014年10月25日(土)大阪府 オリックス劇場
2014年11月16日(日)東京都 Zepp Tokyo

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