長野・まつもと市民芸術館の芸術監督団企画ラインアップが、去る3月21日に発表された。会見には芸術監督団団長で演劇部門芸術監督の
まつもと市民芸術館では昨年度に芸術監督団が据えられ、2025年度は彼らの2年目のシーズンとなる。3人の存在を周知するためにも“出会う”をテーマにした昨年度に対し、今年10月にはまつもと市民芸術館の長期改修工事が開始されることもあり、2025年度は“飛び出す”を主題とする事業が展開。また、リニューアルオープンを迎える2027年度には“集う”を掲げたプロジェクトが進行する旨を木ノ下が明かした。
木ノ下の企画では、「アクセシビリティ強化公演~みんなのための古典芸能~」が手話通訳、字幕、音声ガイドを併用した鑑賞など、アクセシビリティの間口を広げて継続され、劇場でのアクセシビリティのノウハウの定着・構築を目指す。寄席企画では東西の人気噺家である柳家喬太郎と桂吉弥の二人会を開催する。
一方、倉田は長野県長野市出身で東京都を拠点に活動する、山田せつ子の作品を招致。倉田自身の新作のほか、倉田が長野・松本少年刑務所で講師をしてきたクラブ活動の劇場作品化を目指し、松本少年刑務所ワークショップが行われる。また、2年目となる「身体と音楽~からだとおんがく~」ではダンサーに焦点を当て、3作を披露。さらに、2027年度の海外上演を目的とした人材育成プログラム「Step into the world from Matsumoto」では、ダンス作家の女屋理音、櫻井拓斗、宮悠介、アートマネージメントの八木志菜が採択された。
石丸企画では大人のジャズの世界を届ける「石丸幹二&ACOUSTIC WEATHER REPORT」、奄美大島 島唄・三線の里アンナ、和太鼓の坂本雅幸が初参加する「~0歳からお年寄りまで、みんなのコンサート~『はじめまして!』」、東京フィルハーモニー交響楽団の人気シリーズに石丸が語りで参加する「東フィルの『午後のコンサート』in 松本」、劇場外でのアウトリーチコンサートを企画している。
会見では3人が2024年度を振り返って、それぞれの思い出深い出来事や作品のベスト3を発表。お互いのプロジェクトから受けたインスピレーションや、初年度で挑戦したことの実感を語り、市民との交流、そしてお互いの関係性が、創作を通していかに深まったかを振り返った。
芸術監督団団長の木ノ下は、昨年度の倉田の活動について「その土地に潜り込んでいく力と、外から人を呼び込む力がある。倉田さんがされる育成企画も系統だっていて、巧みにやられているなと感じます」とコメント。また、石丸のプロジェクトを“着実である”と評した木ノ下は、「初年度でやったことを継続できるのは、石丸さんの胆力によるもの。また、一過性ではない継続力、発展力のバランスが素晴らしく、大事にしたい」と語った。さらに、「我々が2024年度に感じたこと、考えたことをこの先、どう落とし込んでいくか。2025年度の芸術監督団のプログラムは、それぞれが深めたいことを中心に組まれています」と説明し、会見を締めくくった。
まつもと市民芸術館 芸術監督団企画ラインアップ
木ノ下裕一企画
其の五 アクセシビリティ強化公演~みんなのための古典芸能~
2026年2月中旬
長野県 まつもと市民芸術館 小ホール
企画・構成・進行:
出演
上方落語:桂吉坊
瞽女唄:広沢里枝子
手話狂言:日本ろう者劇団(予定)
其の六 木ノ下亭「柳家喬太郎・桂吉弥二人会」
2026年3月中旬
長野県 まつもと市民芸術館 小ホール
出演:柳家喬太郎、桂吉弥
席亭:木ノ下裕一
倉田翠企画
倉田翠セレクト・山田せつ子ソロダンス「いま ここに います」
2025年7月10日(木)・11日(金)
長野県 まつもと市民芸術館 小ホール
構成・ダンス:山田せつ子
倉田翠新作公演
2026年1月中旬
松本少年刑務所ワークショップ
通年
「身体と音楽~からだとおんがく~」
2025年8月下旬
長野県 松本市美術館 市民創造ひろば(中庭)ほか
出演:大宮大奨×中島水、大森弥子×吉田野乃子、白井剛×Dill
Step into the world from Matsumoto
~2028年
ダンス作家:女屋理音、櫻井拓斗、宮悠介
アートマネージメント:八木志菜
石丸幹二企画
「石丸幹二&ACOUSTIC WEATHER REPORT」
2025年4月16日(水)
長野県 まつもと市民芸術館 小ホール
出演:
~0歳からお年寄りまで、みんなのコンサート~「はじめまして!」
2025年7月5日(土)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール
出演:石丸幹二、木ノ下裕一、
東フィルの「午後のコンサート」in 松本
2025年11月22日(土)
長野県 キッセイ文化ホール 大ホール
指揮とお話:円光寺雅彦
語り:石丸幹二
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
薙野信喜 @nonchan_hg
【会見レポート】まつもと市民芸術館2025年度芸術監督団のラインナップ、木ノ下裕一・倉田翠・石丸幹二の“飛び出す” https://t.co/NMDAIZSO7N