ミュージカル「レ・ミゼラブル」出演者が帝劇で歌唱披露、吉原光夫は“劇場愛”語る

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ミュージカル「レ・ミゼラブル」の製作発表記者会見が、昨日10月16日に東京・帝国劇場(以下帝劇)で開催された。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」製作発表記者会見の様子。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」製作発表記者会見の様子。

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ヴィクトル・ユゴーの小説を原作としたミュージカル「レ・ミゼラブル」は、19世紀初頭のフランスにおける社会情勢や民衆の生活を描いた作品。1985年にイギリス・ロンドンで初演され、1987年に日本に初上陸した。なお現・帝劇は来年2月に、建て替えのため休館。今回は同劇場で最後の「レ・ミゼラブル」となる。

飯田洋輔

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左から木下晴香、昆夏美、生田絵梨花。

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会見には報道陣に加え、約1万5000通の応募から選ばれたオーディエンス500名も来場。会見はキャストによる歌唱披露からスタートした。まずジャン・バルジャン役の飯田洋輔が「独白」をパワフルに歌うと、劇場は大きな拍手と歓声に包まれる。次はファンテーヌ役の昆夏美生田絵梨花木下晴香が、三重唱にアレンジされた「夢やぶれて」を披露した。

小林唯

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左からルミーナ、清水美依紗。

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ミュージカル「レ・ミゼラブル」製作発表記者会見より、「ワン・デイ・モア」を歌唱するキャストたち。

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またアンジョルラス役の小林唯は、アンサンブルと共に「民衆の歌」を合唱して会場を盛り上げ、エポニーヌ役の清水美依紗ルミーナは「オン・マイ・オウン」で力強い歌声を響かせる。最後にオールキャストが勢ぞろいして「ワン・デイ・モア」を歌唱すると、来場者から大きな拍手が起きた。

左から岩橋大、木内健人、小林唯。

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その後ステージに改めて出演者たちが登場した。アンジョルラス役の木内健人は「前回公演はコロナ禍の最中で公演中止もあった。今年は全公演まっとうしたい」、同じくアンジョルラス役で初参加の小林は「現・帝劇は残念ながら間もなく解体されてしまうので、本番では劇場をぶち壊す勢いで歌いたい」と口にする。またアンジョルラスとアンサンブルを兼任する岩橋大は「未知数な部分が多いけど、できることを最大限にやって楽しみたい」と笑顔を見せた。

左から加藤梨里香、水江萌々子、敷村珠夕。

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コゼット役を務めるのは加藤梨里香敷村珠夕水江萌々子。加藤は「コゼット役は2度目ですが、改めて一番緊張する舞台だと感じます。お二人と支え合って精一杯務めたい」と敷村、水江に視線を送る。敷村は「歴史ある作品の一部になれるようお稽古に向き合います」、ミュージカル初出演の水江は「私自身もたくさんの愛に支えられてきたので、それを糧に愛あふれるコゼットを演じたい」と抱負を述べた。

左から清水美依紗、ルミーナ、屋比久知奈。

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エポニーヌ役を担うのは、3度目の出演となる屋比久知奈、初参加の清水、韓国版「レ・ミゼラブル」で同役を務めたルミーナ。屋比久は「まっさらな気持ちで臨みます。新しい2人のエポニーヌに刺激をもらいたい」と意気込みを語る。清水は「ドキドキしますが、歴史ある作品に関われてうれしいです」、ルミーナは「大好きな作品でエポニーヌを務められること、素敵な先輩方とご一緒できることが光栄です」と胸の内を明かした。

左から中桐聖弥、山田健登、三浦宏規。

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マリウス役の三浦宏規は「初出演のとき僕は十代でしたが、気付けば今回は(マリウス役の中で)一番のお兄さん。当時を思い出し、2人に何か伝えられたら」と感慨深そうな表情を浮かべる。初参加の山田健登は「本番までやるべきことをやり、成長して皆さんの前に立ちたい」と言葉に力を込めた。また中桐聖弥は「このカンパニーに入れてありがたい。不安もありますが、自分らしいマリウスを演じたい」と顔を輝かせた。

左から樹里咲穂、森公美子、谷口ゆうな。

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マダム・テナルディエ役を1997年から演じてきた森公美子は「またオーディションに受かってしまった」と共演者たちを笑わせる。また帝劇のクローズにちなみ、森が劇場の思い出を語る場面も。森がミュージカル「イーストウィックの魔女たち」内のフライングシーンを挙げ、「私だけ落ちそうになるという演出があり、私の下のお客様が『ギャー!!』と悲鳴を上げていた」というエピソードを明かすと、会場にはひと際大きな笑いが起きた。同じくマダム・テナルディエ役の樹里咲穂は「前回より欲深さを増大させてお客様を楽しませたい」と気合十分に言い、谷口ゆうなは「28歳でマダム・テナルディエを初めて演じてから、10年以上作品に関われていて幸せです」と心境を述べた。

左から斎藤司、駒田一、六角精児、染谷洸太。

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テナルディエ役は駒田一斎藤司六角精児染谷洸太のクワトロキャスト。別作品への出演のため、ひと足早く退場した駒井は「今日はお先に失礼しますが、ここで1曲。“またあたしひとり 行くところもないわ……”、では博品館劇場に行ってまいります!」と「オン・マイ・オウン」の歌詞を引用し、拍手を浴びながらステージを去った。3度目の出演となる斎藤が「“後輩”が育ってきたので、六角くんと染谷くんを指導していく」「横隔膜を4枚ほど増やし、パワフルな声量で立ち向かいたい」とジョークを交えてコメントすると、六角は「『お客様の記憶に残る舞台にしたい』という気持ちで、斎藤さんについていきます」と続ける。過去にアンサンブルとして本作に出演した染谷は「二十代の頃からテナルディエを演じてみたかった。先輩方から学びつつ楽しみたい」と斎藤、六角に笑顔を向けた。

左から木下晴香、昆夏美、生田絵梨花。

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昆、生田、木下はいずれもファンテーヌ役に初挑戦。昆は過去にエポニーヌ役を演じたことに触れながら「同じ作品で違う役を演じるのは初めて。3人でファンテーヌを作っていきたい」と話す。コゼット、エポニーヌに続く3役目となる生田は「初めて帝劇に立ったのはコゼットを演じたときでした。クロージング公演の舞台をファンテーヌとしてしっかり踏みしめたい」と言葉に力を込める。初出演の木下は「合格の連絡をもらったとき、『私ってこんなにレミゼの世界で生きてみたかったんだ』と実感した。ファンテーヌの人生に、覚悟を持って飛び込みます」と決意を表明した。

左から伊礼彼方、小野田龍之介、石井一彰。

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ジャベール役を務めるのは、伊礼彼方小野田龍之介石井一彰。伊礼は「この2年はポップス調の楽曲を多く歌ってきたので、久々にレミゼの歌稽古に参加したら軽量級からヘビー級に挑戦しているような感覚になった。新しいジャベールを見せられるようがんばります」と話す。過去にアンジョルラスを演じた小野田は「間違えてアンジョルラスのパートを歌いそうになる」と苦笑いしつつ、「偉大な作品にまた異なる役柄で挑める。興奮と共に身が引き締まります」と。また過去にフイイ役を務めた石井は「誠実にジャベールを演じていきたい。ぜひ応援をよろしくお願いします」と観客にメッセージを送った。

左から飯田洋輔、佐藤隆紀、吉原光夫。

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ジャン・バルジャン役に初挑戦する飯田は「歌稽古で皆さんの声を聴いて、誰一人として手を抜かずに作品に向き合う姿を目の当たりにした。ご縁をいただいたので、作品の言葉を信じてジャン・バルジャンを演じたい」、3度目のジャン・バルジャン役となる佐藤隆紀は「帝劇のクロージング公演というスペシャルなステージに立てることを誇りに思います。お客様の人生にとってメモリアルな舞台になるよう、魂を込めて届けたい」と思いを口にする。

吉原光夫(手前)

吉原光夫(手前)[拡大]

吉原光夫は初めてジャン・バルジャンにキャスティングされた際に、帝劇で行われた製作発表で「独白」を歌ったことを「宇宙に飲み込まれたような気持ちになり、以来この劇場が嫌いになってしまった」と苦笑いで回顧する。吉原は「この作品は演じるたびに怖さ、苦しさを感じる」「ジャン・バルジャンは正しい人であろうとするけど、それはしんどいこと。でも人は楽がしたくて生まれるわけではないし、ラストには浄化され、救われる役でもある」と言い、「きっと僕は、本当は帝劇もレミゼも大好きなんです(笑)。劇場と“仲直り”してこの公演を終えられたら」と結んだ。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」は、12月16日から19日までのプレビュー公演を皮切りに、2月7日まで帝劇で上演され、その後は3月から6月まで大阪・福岡・長野・北海道・群馬を巡演する。

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ミュージカル「レ・ミゼラブル」2024・2025年公演

2024年12月16日(月)~2025年2月7日(金)
東京都 帝国劇場

2025年3月2日(日)~2025年3月28日(金)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

2025年4月6日(日)~2025年4月30日(水)
福岡県 博多座

2025年5月9日(金)~2025年5月15日(木)
長野県 まつもと市民芸術館

2025年5月25日(日)~2025年6月2日(月)
北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru

2025年6月12日(木)~2025年6月16日(月)
群馬県 高崎芸術劇場

スタッフ

原作:ヴィクトル・ユゴー
作:アラン・ブーブリル / クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー / ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子

出演

ジャン・バルジャン:吉原光夫 / 佐藤隆紀 / 飯田洋輔
ジャベール:伊礼彼方 / 小野田龍之介 / 石井一彰
ファンテーヌ:昆夏美 / 生田絵梨花 / 木下晴香
エポニーヌ:屋比久知奈 / 清水美依紗 / ルミーナ
マリウス:三浦宏規 / 山田健登 / 中桐聖弥
コゼット:加藤梨里香 / 敷村珠夕 / 水江萌々子
テナルディエ:駒田一 / 斎藤司 / 六角精児 / 染谷洸太
マダム・テナルディエ:森公美子 / 樹里咲穂 / 谷口ゆうな
アンジョルラス:木内健人 / 小林唯 / 岩橋大
青山瑠里 / 新井海人 / 荒居清香 / 五十嵐志保美 / 石井麻土香 / 石津秀悟 / 石丸椎菜 / 伊藤広祥 / 岩橋大 / 宇山玲加 / 大泰司桃子 / 大津裕哉 / 笠行眞綺 / 鎌田誠樹 / 菊地創 / 北村沙羅 / 吉良茉由子 / 小林遼介 / 湖山夏帆 / 近藤真行 / 佐々木淳平 / 柴原直樹 / 島崎伸作 / 清水咲良 / 白鳥光夏 / 杉浦奎介 / 田川景一 / 丹宗立峰 / 土倉有貴 / 中村翼 / 西村実莉 / 般若愛実 / 東倫太朗 / 深堀景介 / 藤岡義樹 / 増原英也 / 増山航平 / 町田慎之介 / 町屋美咲 / 松村桜李 / 三浦優水香 / 三島早稀 / 宮島朋宏 / ユーリック武蔵 / 横田剛基 / 横山友香 / 吉岡花絵 / 蘆川晶祥
ガブローシュ:アッカヤ陽仁 / 大園尭楽 / 中井理人
リトル・コゼット:荒川寧音 / 井澤美遥 / 井手陽菜乃 / 内夢華 / 鞆琉那 / 平山ゆず希

※12月16日から19日まではプレビュー公演。

公演・舞台情報
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読者の反応

福田 雄一 @fukuda_u1

やっぱりレミゼに出るってのはミュージカル女優としての誉れなんだろうなあ😌あの忙しい濱めぐさんが「どうしてもレミゼにだけは出たかった!」って言ってたもんなあ😌みーしゃちゃん、エポニーヌ、おめでとう!😊絶対観に行きます!😊 https://t.co/zn6apMXEVL

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