「ATAK015 for maria」は渋谷が亡き妻・mariaに捧げて制作した自身初のピアノソロアルバムで、今回のライブでは同アルバムの全曲が収録順に演奏される。当日は「誰かが隣りで弾いているピアノを聴くような」というアルバムのコンセプトを具現化すべく、会場の中央にピアノを設置し、それを円形に囲むように客席を配置。そのさらに外側の円周上に多数のスピーカーを設置することで、ホール全体がピアノの中にあるかのような響きの空間を作り出す。
会場は渋谷のスタジオがある東京・代官山ヒルサイドテラス内のヒルサイドプラザホールで、定員は200名。渋谷のレーベル・ATAKのオフィシャルサイトではチケットの予約受付がスタートしている。なおATAKでは9月11日のリリース3周年に先駆け「ATAK015 for maria」のDSD、およびMP3配信も予定されている。
渋谷慶一郎コメント「Keiichiro Shibuya Playing for mariaについて」
for mariaをリリースして3年が経った。
ご存知のようにこのCDは僕の亡くなった妻・mariaに捧げられている。僕にとって初めてのピアノソロのアルバムで、リリースしたときにはこんなにたくさんの人に聴かれるとも思わなかったし、こんなにピアノが僕の活動の中心を占めるようになるとも思わなかった。
あの頃は一人でコンピュータの作業を続けるのが困難な状態で、ピアノを弾くくらいしか出来なかったというのがこのアルバムを作った大きな原因で、決して「この気持ちをピアノにぶつけたい」とかいう類いのものではなかった。しかしそれが結果的に、今聴くと信じられないくらい静かで、波のない海のようなアルバムになっていて、それはよかったのだと思う。これと同じような作品を作れ、と言われても二度と出来ない。
同時にリリースしてからのこの3年間で、弾くたびにそれぞれの曲はかたちを変えていった。特に表題曲の「for maria」は最初は震える手で2つのコードの交替と彼女の印象を描写したメロディーを弾くのがやっとだったのが、ミニマルなシーケンスを内声に混ぜたりするのを思いついたときには、やっとここまで来れたという不思議な感慨があったりした。
最初に「for mariaをリリースして3年がたった」と書いたように、このアルバムが多くの人に聴かれて、作品として自立し、残れば彼女の名前は何度も口ずさまれ、書かれ、忘れられないだろうという、僕の目的もほぼ達成出来たと思っている。これは聴いてくれた皆様には感謝してもしきれないと思っている。本当にありがとう。
そしてこのアルバムは4年前の9月11日、つまり彼女が亡くなった直後の彼女の誕生日に開催した同名のコンサートが原型になっている。あのコンサートは追悼ではなく誕生会をやるんだ、という僕の気が狂った思いつきを友達が支えてくれて実現して、結果的にそれがアルバムのリリースに繋がっている。今までも個々の曲はコンサートで何度も弾いているけど、アルバムをリリースしてちょうど3年の今年の9月11日に「for maria」に収録された全曲をアルバムの曲順とおりに弾くコンサートをしたいと思いついた。
場所は僕の仕事場のヒルサイドテラスの地下にあるホールで200名しか入れない。会場の中央にピアノを配置してそれを円形に囲むように客席を配置してその一番外側の円周上にサラウンドのスピーカーをセッティングする。会場の中心からはピアノの生音がしつつも会場全体をピアノの音と残響が包むようなコンサートにしたいと思っている。聴いている人がピアノの中に入って聴くような、というこのアルバムのコンセプトをコンサートで一緒に体験出来れば嬉しいし、全曲弾き終わったときの残響を体験したいと強く思っている。
Keiichiro Shibuya Playing for maria
2012年9月11日(火) 東京都 代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドプラザホール
OPEN 19:30 / START 20:00
前売 4000円 / 当日 5000円
<演奏予定曲>
01. for maria
02. BLUE
03. sky riders
04. Blue fish
05. angle passed
06. painful
07. open your eyes
08. Ida
09. when attitudes become form
10. one plus two
11. Wht
12. Untitled
13. erosion
14. our music
タグ
リンク
- ATAK RESERVATION
- Keiichiro Shibuya
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
音楽ナタリー @natalie_mu
渋谷慶一郎「for maria」発売3周年記念で全曲演奏会 http://t.co/TEpI7SBG