UNISON SQUARE GARDEN×ZION初対バン、光村龍哉との20年以上の絆が結実した横浜の夜

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UNISON SQUARE GARDENの自主企画対バンツアー「fun time HOLIDAY 9」が本日8月28日に大阪・Zepp Osaka Baysideでファイナルを迎えた。3年ぶりの開催となった今回の対バンツアーは全国7公演が行われ、各地にsyrup16g、凛として時雨、go!go!vanillas、SHISHAMO、ZION、フレデリック、くるりがゲスト出演した。この記事ではZIONをゲストに迎えて行われた8月21日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演の模様をレポートする。

UNISON SQUARE GARDEN(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

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“どデカいロック”を横浜に響かせたZION

ZIONはNICO Touches the Wallsのフロントマン、光村龍哉(Vo, G)が2020年に新たに結成した5人組バンド。ユニゾンの3人と光村は結成当初の2004年から20年以上にわたる親交を持つ間柄で、今回の公演は2組にとって念願の対バンとなった。

光村龍哉(Vo, G / ZION)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

光村龍哉(Vo, G / ZION)(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])[拡大]

最初にステージに登場したZIONのライブは、光村の「UNISON SQUARE GARDEN、今日は呼んでくれてどうもありがとう! ZIONです、どうぞよろしく」という挨拶からスタート。そのまま彼らは1曲目に「Hurricane」を披露し、穏やかなアンサンブルから一気に熱量を増すスケール感のある展開でオーディエンスを釘付けにした。佐藤慎之介(B)の屈強なベースサウンドに乗せ、光村が「OK、カモン横浜!」と叫んで始まったのは「Thunder Mountain」。間奏では櫛野啓介(G)のギターソロと光村が吹き鳴らすブルースハープの高らかな音色に、フロアから大歓声が起こった。

「Newel」のイントロでは佐藤と鳴橋大地(Dr)が刻むグルーヴィなリズムに光村が振るシェイカーの音が重なり、オーディエンスの体を心地よく揺らす。MCで光村はZIONが「北海道のような、どデカいロックを作りたくて」十勝を拠点に活動していると自己紹介し「初めて観る方もいっぱいいるでしょうから、北海道の景色のように何か大きいものが皆さんの心に残ればいいなと思って1曲1曲演奏します」とこの日のステージに懸ける意気込みを明かした。

「お互い切磋琢磨したい」ユニゾンとの絆を再確認

ここまで骨太ながらも疾走感に満ちたロックチューンを連投したZIONだが、後半ではまた異なる表情を見せる楽曲を披露していく。メロウなギターが印象的なミディアムチューン「Shield」、光村が奏でるアコースティックギターと分厚いコーラスワークが芳醇なハーモニーを生み出した「Furinige」といったナンバーに、観客は驚きと感動に満ちた眼差しで聴き入る。光村はユニゾンの3人との交友関係を「個人的にすごく長い、20年以上の付き合いで。今も友達として、ミュージシャンとして声をかけてくれるのはありがたいし光栄です」と語る。そして「これから先も1日でも長く、お互い切磋琢磨したい。僕たちも負けないように北海道でいい音楽を作っていきたいです」と盟友にエールを送った。

ZION(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

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ラストナンバーはZIONの音楽性を象徴する壮大な楽曲「Apple Valley」。5人のタフな演奏に導かれるように、Zepp Yokohamaの熱気もますます上がっていく。アウトロでは光村がボンゴを、佐藤がタムを乱打する後ろで櫛野と吉澤幸男(G)が轟音のギターを掻き鳴らし、すさまじい熱量でオーディエンスを圧倒したままエンディングを迎えた。

1曲目で20年を経ての伏線回収

UNISON SQUARE GARDEN(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

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続くユニゾンのライブは斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)のタイトなセッションと、斎藤の「『fun time HOLIDAY』へようこそ!」というひと言で始まった。1曲目が何なのか、固唾をのむオーディエンスの前で披露されたオープニングナンバーは「さよなら第九惑星」。この曲は2015年3月に行われたNICO Touches the Wallsの対バンツアー大阪公演にユニゾンが出演した際、光村が「今度共演したらセッションしたい」と挙げていた楽曲だ。10年を経ての伏線回収を果たしたあと、ユニゾンは代表曲「桜のあと (all quartets lead to the?)」やアルバム曲「Hatch I need」といった多彩な楽曲をノンストップでパフォーマンス。鈴木の壮絶な手数のドラムで会場がビリビリと震える中、あっという間に5曲を駆け抜けていった。

その後は「恋する惑星」「シュガーソングとビターステップ」など、ポップなナンバーで会場の空気を変える。場内を照らすライトはステージ後方の「fun time HOLIDAY 9」のロゴをあしらったバックドロップをカラフルに染め、オーディエンスの高揚感を煽った。小休止を経て披露されたのは、この季節の夜にぴったりの「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」。みずみずしいサウンドが夏の夜風のようにフロアに流れていった。

UNISON SQUARE GARDEN(Photo by Viola Kam[V'z Twinkle])

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イントロセッションの田淵のベースラインで大歓声が沸いた「等身大の地球」から再び場内はヒートアップ。斎藤のギターの音色が真夏の焦燥感を掻き立てた「さよならサマータイムマシン」のあとは「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」でさらなる狂乱状態へ導くが、終わるやいなや食い気味に「場違いハミングバード」へなだれ込むとその盛り上がりは天井知らずの急上昇を見せる。ラストは「傍若のカリスマ」のトリッキーなアンサンブルで締めくくられた。

「40代になっても嫉妬」盟友へのリスペクト

UNISON SQUARE GARDEN

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アンコールで斎藤は「念願だったZIONとの対バンです」としみじみと口にし、光村との出会いを振り返る。まだお互いが10代だった2004年に開催された「TEENS' MUSIC FESTIVAL」にユニゾンとNICOが出場したのが最初だったと語る斎藤は「僕ら2組だけが勝ったんですけど……」と話すが、鈴木がすかさず「(ユニゾンは)1回戦だけね?」と訂正して観客の笑いを誘った。NICOがそのコンテストで全国大会出場や受賞を果たし、その後の快進撃のきっかけとなった2組の出会いの日。斎藤は「初めて僕らの鼻っ柱を折ったのが光村くんで。それからずっと……10代だったからじゃなく、40代になっても嫉妬してます(笑)」と、盟友でありライバルとも言える光村へのリスペクトを熱く語った。

20年の歩みをたどったひとときのあと、アンコールで披露された曲はユニゾンのメジャーデビュー曲「センチメンタルピリオド」。時を経ても変わらない3人の音楽に対するまっすぐな思いを表現するような演奏で、横浜公演の幕が閉じられた。

ユニゾンは今回の対バンツアーに続き、世代やシーンの異なるアーティストを招く自主企画イベント「fun time ACCIDENT 4」を9月2日に大阪・なんばHatch、9月4日に群馬・高崎芸術劇場スタジオシアターで開催。大阪公演にはmuqueとレトロリロン、高崎公演に超能力戦士ドリアンと板歯目が出演する。さらに12月からは全国14会場17公演にわたるホールツアーも行う。ツアーファイナルは2026年2月10日と11日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOにて開催される。

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セットリスト

「fun time HOLIDAY 9」2025年8月21日 KT Zepp Yokohama

ZION

01. Hurricane
02. Thunder Mountain
03. Newel
04. Setogiwa
05. Shield
06. Furinige
07. Apple Valley

UNISON SQUARE GARDEN

01. さよなら第九惑星
02. 桜のあと (all quartets lead to the?)
03. マイノリティ・リポート (darling, I love you)
04. Hatch I need
05. Phantom Joke
06. 恋する惑星
07. シュガーソングとビターステップ
08. シャンデリア・ワルツ
09. 8月、昼中の流れ星と飛行機雲
10. 等身大の地球
11. さよならサマータイムマシン
12. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
13. 場違いハミングバード
14. 傍若のカリスマ
<アンコール>
15. センチメンタルピリオド

読者の反応

ダムファ🪵 ユニゾンばか&エサ@Paradiso! @DAMUFA_USG2011

おい?なんてレポ出すんだよナタリー
おい???おい?????? https://t.co/W8cRRGZODw

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