さくらしめじ10周年 10年前と同じ彪我の泣き顔を、雅功は10年前と変わらぬ笑顔で見守っていた

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さくらしめじが昨日6月15日に東京・EX THEATER ROPPONGIでワンマンライブ「さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-」を開催した。

さくらしめじ(撮影:鈴木友莉)

さくらしめじ(撮影:鈴木友莉)

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“思い出のアルバム”を開き「しめたん」開幕

「しめたん」は、さくらしめじの結成記念日である6月14日に毎年恒例で行われているライブ。“10年目のしめたん”となる今年は、1日遅れの15日土曜日に実施された。節目の誕生日を祝福しようと、会場には満員のきのこりあん(さくらしめじファンの呼称)が集結。ライブの模様はU-NEXTを通して生配信も行われた。

さくらしめじ(撮影:鈴木友莉)

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開演時刻を迎えステージ奥のビジョンに映し出されたのは、田中雅功と高田彪我の10年の歩みとディスコグラフィーをまとめたフォトアルバム。あどけない少年から精悍な青年へ、ページをめくるごとに変化していく2人の歌声とその姿を満員のきのこりあんが熱い眼差しで見つめる中、さくらしめじはゆっくりとステージへ姿を見せた。

彪我がエレキギターをかき鳴らしたのを合図に、雅功は「六本木ー!」と思い切り叫ぶ。2人の声と音が重なり、ライブは「青春の唄」で幕を開けた。「どんな色も青春の1ページ」「ずっと青いまま」。自らの道のりに重ねるように2人が声に力を込めると、オーディエンスも軽やかなクラップで彼らのパフォーマンスを盛り上げる。満開の桜や美しい花々の映像演出とともに届けられた「simple」では、アウトロでお互いのほうを向き合い、すぐそばで音を重ねた2人。続く「エンディング」は客席に近付いて演奏し、アップリフティングな振る舞いで熱気を高めてゆく。観客が大きな歌声で彼らのパフォーマンスに彩りを加えると、雅功は天を仰いで大きな笑顔を浮かべた。

移りゆく時間を巧みな演奏に乗せ

田中雅功(撮影:鈴木友莉)

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活動初期からの人気曲「ひだりむね」でさらに一体感を高めたのち自己紹介を行った2人は、改めて結成10周年を迎えたことに触れ、きのこりあんの温かな拍手を受け止めた。そして満員の客席を見渡し「ソールドアウト大好き! 愛してる!」と、満員のファンとさくらしめじの誕生日を過ごせることを喜び合った雅功と彪我。雅功は「昔の曲だったり最新の曲だったりたくさんやりたいと思いますので、今日はとことん楽しんでいきましょう!」と呼びかけ、「かぜいろのめろでぃー」でパフォーマンスを再開させた。

物語を立体的に浮き上がらせる雅功の雄弁なボーカルと、瑞々しく軽やかな彪我の歌声がファンタジックな一夜の情景を紡ぎ出す「まよなかぴくにっく」、ロースモークの幻想的な演出の中、静かで柔らかな2つの声の重なりが心地よく広がった「天つ風」、思い切り熱を込めた雅功の歌声と演奏がステージを牽引した「朝が来る前に」。1曲1曲声色や演奏のニュアンス、2人のボーカルのバランスを繊細に変化させながら、雅功と彪我は“夕方”から“夜明け”へと移りゆく時間経過を表現してみせた。

「ラブってなんだ?」から歌い続けたラブソング

高田彪我(撮影:鈴木友莉)

高田彪我(撮影:鈴木友莉)[拡大]

オープニングムービーの中に登場した過去のアーティスト写真について触れた雅功が「彪我、顔変わったよね」と言うと、彪我は「言われるよね」と笑いながら返す。そして、中学1年生だったデビュー当時からラブソングを歌い続けてきたことをファンに伝えた雅功は「次は何曲かラブソングを歌いたいと思います。それこそ『ラブってなんだ?』って頃に歌っていた曲を」と続けた。

そんな雅功の言葉から始まった「きみでした」では、情感を思い切り込めた歌声できのこりあんの心を揺さぶった2人。ドラマチックなバンドアレンジが施された曲中、リリース当初にはなかった彪我のエレキギターソロがエモーショナルなムードをさらに掻き立てる。8年前の楽曲である「はじまるきせつ」もまた、ゴージャスなサウンドと2人のたくましいボーカルで疾走感を増し、聴衆の体をリズミカルに弾ませた。そして「ストーリーズ」を歌い終えると雅功は何気なくギターを爪弾き、1人ピンスポットに照らされながら弾き語りを披露する。彼のプロローグによって導かれた楽曲は「ただ君が」。雅功が書いたこの曲で渾身の演奏を見せる2人の姿を、逆光の演出がドラマチックに浮かび上がらせた。

力強く示したさくらしめじの最新形

「なんか本当にね、こうやってライブをして皆さんと顔を合わせられるこの瞬間こそ、生きてるなって感じるわけです。でもさ、生きてるとさ、いろいろあるじゃないですか……」。そう彪我が切り出すと、雅功は「いい感じに次の曲につなげようとしてる!」とひと言。相方に思惑を見破られた彪我だったが「人生楽しいことばかりじゃないでしょう。でも、もっともっと自分自身を信じてあげてほしいなって思うんです。そんな思いを書いた曲です。心を込めて歌います」と、ここで4月にリリースされたばかりの「生きるよ」を披露した。ステージ奥に設置されたトーチに炎が揺らめく中で2人が真摯な歌声を届けると、続く「My Sunshine」では明るい光が彼らを照らす。会場が晴れやかなムードに包まれる中、雅功と彪我は思い切り声を張り上げ、力強いメッセージをきのこりあんへ届けていた。

田中雅功(撮影:鈴木友莉)

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そしてライブ後半には、2人がこの日のために用意してきた新曲を披露する場面も。雅功いわく「昨日できたばかり」という「明日を」は、心を解放して力強く明日へ向かう思いを歌ったアッパーチューン。疾走感に満ちたバンドサウンドをバックに、雅功と彪我がシャウト混じりの熱いボーカルでパワフルにメッセージを放つと、クラップで音に乗ったオーディエンスは曲を終えるなり割れんばかりの拍手を2人に送った。さくらしめじの“最新形”を提示した雅功と彪我がそののちにドロップしたのはデビュー曲の「いくじなし」。お互いのほうを向き合ってギターをかき鳴らす、10年前から変わらない2人の“始まりの合図”に瞬時に湧き立ったきのこりあんは、熱いコールを送って楽曲を盛り上げ、雅功と彪我の笑顔を誘っていた。

10年前と変わらない涙と笑顔で

高田彪我(撮影:鈴木友莉)

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「これからみんなとコール&レスポンスするけど、準備できてんの!?」という彪我の煽りから「大好きだったあの子を嫌いになって」になだれ込むとライブも佳境。ライブ初披露ながら、ハンドマイクで自由なステージングを見せてエネルギッシュなロックボーカルを轟かせる雅功の姿に聴衆が熱狂すると、続く「わがままでいたい」の導入では雅功がアコースティックギター、彪我がエレキギターのソロを取り、その巧みな演奏テクニックでファンを魅了した。きのこりあんの大きなシンガロングの声が会場の一体感を最高潮まで高めたアッパーチューン「なるため」で全力のパフォーマンスを見せた2人は、最後の楽曲を前に改めて今の思いを語る。「起きたとき、不思議な感覚で。10年が経っているのに『10年だ』って感じがしなくて、なんとなく時間が過ぎていくのかなと思ってたんですけど、今日ここで10年を感じることができました」と口にした雅功は、「10年後どうなってたい? 次の話しようよ」と彪我に問いかける。「32歳かあ」と問いかけを受け止めた彪我は「ワールドツアー?」とひと言。この言葉に雅功は「世界のさくらしめじになっていると。アリ寄りのアリだね」と笑い「こうやって10年後の話ができるのも、ここまで10年やってこられたから。確実にこの10年は、僕らの中に貯まって形になっているんだなと思いました。改めてありがとうございます」とファンに感謝した。

「さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-」の様子。(撮影:鈴木友莉)

「さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-」の様子。(撮影:鈴木友莉)[拡大]

「これからも皆さんの生活の中に僕らの歌があればいいなと思います」。そんな願いを込めて本編最後に届けられたのは、10年前の6月14日に2人が「ガク&ヒョウガ」として人前で初めて歌った楽曲である「さんきゅう」。ステージ後方のビジョンには、2人のユニット名が「さくらしめじ」であることが発表され、1stシングルのリリースがサプライズ発表された2014年11月のイベント「EBiDAN39&KiDS 星男祭2014」でのライブ映像が投影され、10年前の2人の姿と今の2人の姿が交錯する。曲中、雅功が「これからも一緒にいよう」というフレーズを彪我に投げかけると、感極まった表情で歌っていた彪我の涙腺は崩壊。涙で顔をくしゃくしゃにしながら「さんきゅう!」と叫ぶ彼の姿は、デビュー決定に歓喜の涙を流しながら「さんきゅう」を歌っていた10年前の泣き顔と完全にオーバーラップし、雅功はそんな相方の姿を10年前と変わらない笑顔で見守っていた。

「これからもたくさん楽しいことしましょう!」

「さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-」の様子。(撮影:鈴木友莉)

「さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん-」の様子。(撮影:鈴木友莉)[拡大]

きのこりあんのアンコールに応え、ライブTシャツに着替えてステージに再び姿を見せると、雅功は開口一番「10年前より泣いてたね(笑)」と彪我にひと言。「悔しい……」とつぶやく彪我に対し「そして10年前と同じ(泣きながらの)『さんきゅう!』」と“追い討ち”をかけ、彪我を「やめろし!」と照れさせていた。「僕らの歴史を一緒に歩こうというテーマでやってきた」と、10周年の「しめたん」を振り返った雅功は「ターニングポイントになった曲を全部入れたんですが、もう1曲だけやれてない歌があるので、最後に1曲歌って終わりたいと思います」と「辛夷のつぼみ」をタイトルコールする。「止まるな止まるなこの涙」「前へ前へ前へ前へ」。幸せな涙と笑顔があふれた10回目の誕生日は未来への力強い意思表示をもって締めくくられ、雅功は「これからもたくさん楽しいことしましょう!」ときのこりあんへメッセージを送った。

セットリスト

さくらしめじ 10th Anniversary Live -しめたん- 2024年6月15日 EX THEATER ROPPONGI

01. 青春の唄
02. simple
03. エンディング
04. ひだりむね
05. かぜいろのめろでぃー
06. まよなかぴくにっく
07. 天つ風
08. 朝が来る前に
09. きみでした
10. はじまるきせつ
11. ストーリーズ
12. ただ君が
13. 生きるよ
14. My Sunshine
15. 明日を
16. いくじなし
17. 大好きだったあの子を嫌いになって
18. わがままでいたい
19. なるため
20. さんきゅう
<アンコール>
21. 辛夷のつぼみ
※高田彪我の高は、はしごだかが正式表記。

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