本ツアーでは昨年9月より7カ月にわたって計48公演が行われ、全公演で約30万人を動員。ツアーファイナルは4月17日にバンドの地元である島根・松江市総合体育館にて開催された。本稿では3日間にわたって行われたさいたまスーパーアリーナ公演のうち、最終日の模様をレポートする。
開演時間を迎え、ステージを覆う巨大スクリーンが上がると、サポートメンバーを従えたヒゲダンが登場する。客席から大きなクラップが鳴る中、バンドは「Universe」でライブを開始。藤原聡(Vo, Piano)は満員のオーディエンスに向けて四方八方に指を差しながら伸びやかなボーカルを響かせた。最初MCで藤原は「ライブという日常が帰ってきた」と喜び、「いろんなルールを守りながら集まってくれたこと。そんなファンの前で、そんなファンと一緒にライブできるこのバンドのこと、とても恵まれていると思います。本当にどうもありがとう」とファンに感謝のメッセージを伝える。さらに彼は「バンドとしてずっと立ちたかったさいたまスーパーアリーナ。今まで何度も自分の憧れのミュージシャンのステージを見て、心躍らせてきた会場でライブができること、すごくうれしく思っています」と、憧れの地でのライブ開催を喜んだ。
藤原がアコースティックギターを手に取り、小笹大輔(G)とのセッションで心地よいギターの音色を響かせた「Shower」からはミドルテンポのナンバーが続く展開に。「みどりの雨避け」では楽曲制作者の楢崎誠(B, Sax)が「僕の住んでいる街の小さな商店街が舞台の歌」という曲紹介をしながら指揮棒を手に取り、バンドやサポートメンバーの演奏を先導。藤原もグロッケンで演奏に参加し、小さな管弦楽団が奏でるような優しい音色の中、楢崎が描くミニマルな世界観の歌詞がしっとりと歌われた。
映画「コンフィデンスマンJP 英雄編」の主題歌として今年1月にリリースされた「Anarchy」からバンドは「Stand By You」「ブラザーズ」といったバンドの代表曲が詰め込まれたセットリストを展開。藤原は「ここから先は、声が出せた頃にも絶対に負けないような、心のつながりの深さでいったら昔に引けを取らない、昔よりも熱い音楽のパワーをみんなと共有したい」「近いも遠いも、初めても何度目も関係なく、1人残らず全員と一緒に、今日は今日にしかない強い思い出を作るためにここに来ました」と熱いメッセージをオーディエンスに伝え、会場内の一体感を強めていく。「ブラザーズ」ではヒゲダンとサポートのメンバーをアメコミ風に描いた紹介ムービーが流れ、彼らはムービーに合わせてソロ回しやセッションを行い、映像と音楽を一体としたショーを展開。たっぷりとセッションを聴かせて会場を温めた彼らはその後「ノーダウト」を演奏する。間奏ではメンバーが横になってリラックスしながら楽器を弾くひと幕があるなど、彼らはライブならではの要素を交えながら持ち曲を披露していった。
メンバー全員が雄叫びのようなかけ声を上げた「FIRE GROUND」では、キーボードを手にした藤原とエレキギターの小笹が競い合うようなソロを展開し、この曲で描かれている“熱い勝負”を音楽で表現した。演奏終了後、半透明のLEDモニターがステージを覆うと、派手なエフェクトが映される中で「Cry Baby」の演奏がスタート。彼らは大規模な会場であることを生かした映像演出を交えた演奏で、観るものを唸らせた。ライブ終盤、ヒゲダンは最新アルバム「Editorial」の冒頭を再現するように「Editorial」「アポトーシス」の2曲を立て続けにプレイ。バンドの熱演に万雷の拍手が贈られると藤原は「ライブが戻ってきたこと、当たり前じゃないなってすごく思っています」と語り始める。彼はライブが思うように開催できなかったこの2年のことを回想しながら「これからもっとこの世の中がヤバくなって、悲しみに包まれてライブがまた奪われたとしても、今日みたいな日がまた訪れるということを信じて日々歩んでくれたらうれしい」「世界はクソみたいな悲しみにあふれてる。ライブが奪われるだけじゃなく、人の命がこの世界中で奪われています。でもなんの救いもないんじゃないかって、どうか思わないでほしい。このバンドじゃなくてもいい。いろんなアーティストがいろんな大切な思いを音楽にして届けているこの世界のことに絶望せずにいてほしい」と音楽を信じる自身の気持ちを素直に口にした。ヒゲダンが本編最後に奏でたのは、アルバム「Editorial」のラストを飾るナンバー「Lost In My Room」。計19曲を演奏した彼らは盛大に鳴り響く拍手に包まれながらステージをあとにした。
スタッフロールが流れたのちにこの日のライブの模様を巻き戻す映像が流れると、スクリーンには公演冒頭のオープニングムービーが再び映し出される。映像の中にニキシー管の時計が登場すると、ヒゲダンの名を世の中に広く知らしめた楽曲「Pretender」の演奏がスタート。多数のミラーボールが光を乱反射する幻想的な風景の中、藤原は情感豊かにこの曲を歌い上げてオーディエンスを魅了した。「異端なスター」の演奏では藤原、小笹、楢崎の3人がドラムを叩く松浦匡希(Dr)のもとに集まり、向かい合ってセッションを繰り広げた。「みんなの音楽を愛する心を讃えて、みんなの未来が幸せであふれることを願って」「絶対またライブでお会いしましょう! Official髭男dismでした」とオーディエンスと再会の約束をした藤原は、この日最後の楽曲「I LOVE…」を熱唱。曲中、松浦の叩くリズムに合わせてメンバー全員が手拍子を打ち始めると、会場内はオーディエンスが一斉に鳴らすクラップの音に満たされた。「(さいたまスーパーアリーナでの)ファイナル、めちゃくちゃヤバい日になりました」とライブの手応えを語った藤原は「これからもヒゲダン、爆進いたします」と宣言し、3日間にわたるさいたまスーパーアリーナでのライブを締めくくった。
なおOfficial髭男dismが9月28日より全国ホールツアー「Official髭男dism SHOCKING NUTS TOUR」を開催することが決定。本ツアーで彼らは東京・日本武道館4DAYSを含む20公演を行う。
Official髭男dism「Official髭男dism one-man tour 2021-2022 -Editorial-」2022年3月21日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト
01. Universe
02. HELLO
03. 宿命
04. 115万キロのフィルム
05. Shower
06. みどりの雨避け
07. Bedroom Talk
08. Laughter
09. フィラメント
10. Anarchy
11. Stand By You
12. ペンディング・マシーン
13. ブラザーズ
14. ノーダウト
15. FIRE GROUND
16. Cry Baby
17. Editorial
18. アポトーシス
19. Lost In My Room
<アンコール>
20. Pretender
21. 異端なスター
22. I LOVE…
Official髭男dism「Official髭男dism SHOCKING NUTS TOUR」
2022年9月28日(水)青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
2022年9月29日(木)青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
2022年10月13日(木)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
2022年10月14日(金)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
2022年10月25日(火)東京都 日本武道館
2022年10月26日(水)東京都 日本武道館
2022年10月29日(土)東京都 日本武道館
2022年10月30日(日)東京都 日本武道館
2022年11月4日(金)大阪府 フェスティバルホール
2022年11月5日(土)大阪府 フェスティバルホール
2022年11月16日(水)北海道 旭川市民文化会館 大ホール
2022年11月17日(木)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2022年11月28日(月)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
2022年11月29日(火)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
2022年12月6日(火)福岡県 福岡サンパレス
2022年12月7日(水)福岡県 福岡サンパレス
2022年12月13日(火)富山県 オーバード・ホール
2022年12月14日(水)富山県 オーバード・ホール
2022年12月21日(水)宮城県 仙台サンプラザホール
2022年12月22日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
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