2024年6月のUNIT公演より涙と笑顔のBiS。(撮影:大橋祐希)

第3期BiSの歴史 / ラストツアー「ALL FOR BiS, ALL FOR YOU LiVE」密着レポート

第3期BiSとはなんだったのか

4

541

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 106 397
  • 38 シェア

2019年6月に始動した第3期BiSが、2025年1月12日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でのラストライブ「Finale of third BiS」をもって解散する。本コラムでは、第3期BiSの約5年7カ月におよぶ活動を振り返る。また後半には2024年10月から12月にかけて行われたラストツアー「ALL FOR BiS, ALL FOR YOU LiVE」の密着レポートも掲載する。

/ 田中和宏

2019年 / 本格始動直前にいきなりメンバー脱退の波乱

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2019」でお披露目ライブを行ったBiS。

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2019」でお披露目ライブを行ったBiS。

オリジナルメンバーはトギー、ネオ・トゥリーズ、イトー・ムセンシティ部、チャントモンキー、マナコ・チー・マナコの5人。2019年8月に1stアルバム「Brand-new idol Society」の発売前日にマナコが脱退し、波乱含みのスタートを切った。その後、10月に新メンバーとしてズズ・デス加入が発表されるも、家庭の事情により1週間で脱退したため素顔が公開されることはなかった。

特集記事

2020年 / 始動半年でLIQUIDROOMワンマン成功もコロナ禍へ

2020年2月のLIQUIDOROM公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

2020年2月のLIQUIDOROM公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

BiSは音源のリリースをしつつ、ライブを重ねて着実に動員を伸ばし、2020年2月には東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブを成功させる。しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりその後のライブ活動が見送られ、本格始動から約半年で通常のライブ活動ができない状態となった。このためBiSは新曲を無料配信したり、“ネット上のどこか”で音源をゲリラリリースしたり、さらには無観客ライブを行ったりと、インターネットを軸にした活動を展開。10月に有観客ライブを再開させるも、コロナ禍における観客のソーシャルディスタンスの確保や、声出しの禁止など制限のある中での再出発だった。同年12月にはクレーンゲームの景品として新曲CD「COLD CAKE」を発表するなど、独自の作品リリースの手法も継続して行った。

クレーンゲームを試遊するBiS。

クレーンゲームを試遊するBiS。

ライブレポート

2021年 / バンドツアー、ZOCコラボ、ナノ3加入

2021年夏のBiSとバンドメンバー。

2021年夏のBiSとバンドメンバー。

2021年の夏、BiSは初のバンド編成でのツアーを開催。ヒダカトオル(G / THE STARBEMS)、津田紀昭(B / KEMURI、THE REDEMPTION)、RONZI(Dr / BRAHMAN、OAU)をバンドメンバーに迎え、東北のライブハウスを回った。10月にZOCとのスプリットシングル「割礼GIRL / BEGGiNG」を発表し、11月には東名阪で対バンツアーを開催した。12月に1990年代の邦楽ロックカバーアルバム「BiS DiVE into ROCKS」をリリースし、そのリリースライブのアンコールにて新メンバーのナノ3が加入。CDデビューから続くトギー、ネオ、イトー、チャントモンキーの4人体制が終わり、グループに新たな息吹が吹き込まれた。

ナノ3お披露目ライブ直後のBiS。

ナノ3お披露目ライブ直後のBiS。

ライブレポート
ライブレポート

2022年前半 / 精力的な活動見せるもチャントモンキー脱退

チャントモンキー脱退ミニライブ後のBiS。

チャントモンキー脱退ミニライブ後のBiS。

2022年1月、BiSは新体制で東名阪ツアー「NEW GENERATiON BiS TOUR」を開催。ツアー初日でナノ3は「今年はいっぱいライブをしてたくさん研究員(BiSファンの呼称)に会いたいです!」と意気込んだ。その言葉通り、彼女たちは同年にバンド編成での東北ツアーを再び行ったほか、5月から7月にかけて「BUiLD our STRENGTH TOUR」、8月から11月にかけて「ROAD of EVOLUTiONS TOUR」、さらにはGANG PARADE、豆柴の大群とのスリーマンツアーなど複数のツアーで全国各地を回った。しかし順風満帆とはいかず、2月にトギーが活動を休止し、7月にオリジナルメンバーのチャントモンキーがグループを脱退。その後、トギーは8月の「TOKYO IDOL FESTIVAL 2022」で復帰した。

2022年のBiSとGANG PARADE。

2022年のBiSとGANG PARADE。

ライブレポート
イベントレポート

2022年後半 / ヒューガー加入で再スタートと思った矢先……

ヒューガーお披露目ライブ後のBiS。(Photo by sotobayashi kenta)

ヒューガーお披露目ライブ後のBiS。(Photo by sotobayashi kenta)

10月には新メンバーとして、「WACK合同オーディション」の合宿での脱落を2度経験したヒューガーの加入が発表された。オーディション合宿での奮闘ぶりから研究員の多くが彼女の存在を認知している中、11月に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールで行われたWACK所属グループによるライブイベント「Even without BiSH, this is WACK」にてお披露目された。

イベントレポート
ライブレポート

BiSはトギー、ナノ3、ネオ、イトー、ヒューガーの5人体制で2023年1月に東京・日比谷野音でのワンマンライブを行うことが決定していたこともあり、勢いをつけて2023年を駆け抜ける予定だった。しかし2022年12月、オリジナルメンバーのネオ、イトーが1月の日比谷野音公演をもって脱退することが突然アナウンスされた。

2023年1月の日比谷野音公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

2023年1月の日比谷野音公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

2023年前半 / 一時は3人体制になるも新メンバー迎え再起を図る

2023年1月から3月までBiSは3人編成で活動した。

2023年1月から3月までBiSは3人編成で活動した。

2023年1月にネオとイトーが脱退し、5人体制が終了。BiSはオリジナルメンバーのトギー、加入から1年1カ月(当時)のナノ3、加入から3カ月(当時)のヒューガーという3人体制で、WACK主催ツアーや、香川県で開催された音楽フェス「SANUKI ROCK COLOSSEUM 2023」などに出演した。同時期にコロナ禍におけるライブハウスでの行動制限が緩和され、観客の声出しが可能に。3月下旬には「WACK合同オーディション」により、クレナイ・ワールズエンド、イコ・ムゲンノカナタ、シオンエピックの3名が新メンバーとして加入。6人体制となったBiSは、5月に東京・中野heavysick ZEROで新体制初ライブを行い、何度目かの再スタートを切った。なお当時WACK代表だった渡辺淳之介はこのライブを観覧し、終演後のメンバーに向けて「2点」と言い放った。そんな厳しい評価が下されたあと、7月にはLIQUIDROOMで2度目のワンマンライブが行われ、チケットは完売に。これによりBiSは2020年2月のコロナ禍直前までの勢いを取り戻したかのように見えた。

ライブレポート
ライブレポート
ライブレポート
2023年3月に新メンバー3人が加わった。

2023年3月に新メンバー3人が加わった。

2023年7月のLIQUIDROOM公演後のBiS。(Photo by sotobayashi kenta)

2023年7月のLIQUIDROOM公演後のBiS。(Photo by sotobayashi kenta)

2023年後半 / 豪華プロデューサー参加曲で話題に

Zepp Haneda(TOKYO)公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

Zepp Haneda(TOKYO)公演の様子。(Photo by sotobayashi kenta)

2023年7月に中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)プロデュースによるシングル「イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム」をリリース。9月にはフルカワユタカ(DOPING PANDA)プロデュースによる「LAZY DANCE」をライブで初披露するなど、豪華アーティストをプロデューサーに迎えた楽曲の発表が続く。11月に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で全国ツアー「INCREDIBLE BiS TOUR」のファイナルを開催。6人体制で最大キャパの会場でのワンマンライブとなったが、チケット完売とはいかず、グループとして苦境に立たされていることが浮き彫りとなっていた。

特集記事
特集記事
ライブレポート

2024年前半 / “自給自足アイドル”へ

2024年1月にBiSは東京・UNITで24時間イベント「CLOSE ENCOUNTERS OF THE THiRD BiS」を開催。6人体制で持ち曲の全74曲を披露した。2月に中野雅之、フルカワユタカ、ナカコーこと中村弘二(LAMA、iLL、NYANTORA、ex. スーパーカー)、Age Factory、AxSxE、fOULらのプロデュース曲を含むアルバム「NEVER MiND」を発表するも、その後3月にシオンエピックがグループを脱退したため、5人体制になった。5月から関東ツアー「We Gotta Go BiS TOUR」の開催を控えていたBiSだったが、4月にはメンバーおよびスタッフ間での話し合いの末に、メンバーがマネージメント業務を兼ねる“自給自足アイドル”として活動することに。このタイミングからマネージャーはおらず、メンバーが事務作業やライブのブッキングを含むすべての業務を担当する。これによりアイドルとしての表立った活動以外の雑務もメンバーが手分けして行うことになった。

「自給自足LIVE」中野heavysick ZERO公演の様子。

「自給自足LIVE」中野heavysick ZERO公演の様子。

自給自足での活動の第1弾として、BiSは4月に中野heavysick ZEROで「自給自足LiVE-vol.1-」を開催。多少のトラブルなどが起こりつつも、5人はできることを懸命に行い、なんとかイベントを終えることができた。

ライブレポート

2024年夏、解散を発表

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」出演時のBiS。

「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」出演時のBiS。

5月スタートの「We Gotta Go BiS TOUR」では、公演ごとにセットリストにテーマを設けるなど、メンバーが工夫を凝らして集客を図る。また会場では5人が物販ブースに立ってグッズを販売した。6月に東京・UNITで迎えたツアーファイナルでは、メンバーが会場予約などすべての業務を担当した5都市ワンマンツアー「ALL FOR BiS, ALL FOR YOU LiVE」を9月から行うことを発表。次のツアーを発表できた安堵感からか、普段あまり涙を見せないメンバーたちがステージで泣きながら感情を分かち合う姿が印象的だった。

イギリス・ロンドン公演でのBiS。

イギリス・ロンドン公演でのBiS。

ライブレポート

6月以降も自主企画「自給自足LiVE」が継続して行われていたが、8月2日の「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」、8月3日の東狂アルゴリズムとのツーマンライブを終えたあたりを境にメンバーのSNSの更新が途絶える。そして8月9日、「これ以上の活動継続は難しい」として解散することが発表された。解散発表の文言通り、この時点でのBiSは、いつ崩壊してもおかしくない状況にあったと思われる。以降のBiSはすでに決まっていたライブについて一部を除き予定通り出演し、8月下旬にはWACK主催ライブイベントのイギリス・ロンドン公演にも出演した。そして2025年1月12日に日比谷野音でのライブをもって解散することが決まった。

イギリス・ロンドンでのライブを終えた直後のBiS。

イギリス・ロンドンでのライブを終えた直後のBiS。

関連記事
ライブレポート
次のページ
2024年10~12月 “自給自足アイドル”の集大成「ALL FOR BiS, ALL FOR YOU LiVE」全5公演を振り返る

読者の反応

  • 4

イコ・ムゲンノカナタ @MUGEN_BiS

3期BiSはじまりからの歴史を記事に書いていただきました 加入してから経験したことをより鮮明に思い出して懐かしい気持ちになったり、ちょっぴり寂しくなったり。
こんなに沢山の経験、思い出ができて改めて 幸せだ!と思いました
一緒に振り返ってくれると嬉しいな!
最後までよろしくお願いします! https://t.co/6EYiawVeo0

コメントを読む(4件)

関連する特集・インタビュー

関連記事

BiSのほかの記事

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 BiS / 渡辺淳之介 の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。