この夏に3度目のスタートを切ったBiSが、11月20日にメジャー1stシングル「DEAD or A LiME」をリリースした。BiSは8月にアルバム「Brand-new idol Society」でCDデビューを果たすも、その直前にオリジナルメンバー1名が脱退。さらに10月に追加オーディションによって選ばれた新メンバーが加入発表から1週間後に脱退するなど、BiSらしいとも言える波乱含みの状況を乗り越えながら、精力的に活動している。
音楽ナタリーでは1stシングルのリリースを記念して、BiSのメンバー4名にインタビューを実施。現在の心境やデビューから3カ月が経過したメンバーそれぞれの変化、2020年1月に始まるツアーに向けた意気込み、ファン層を拡大するうえでの現在の課題などについても語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 中野修也
波乱に満ちた初めて尽くしの日々
──始動から5カ月、お披露目ライブを行ってから3カ月が経とうとしていますが、BiSでの活動には慣れてきましたか?
ネオ・トゥリーズ うーん、慣れてるのかな(笑)。
チャントモンキー 慣れですかあ……。
トギー 慣れてきたのか、正直なところまだわからないです。
イトー・ムセンシティ部 ライブに関しては、練習と本番を重ねてきたので少しずつは自信が付いてきました。でもラジオのお仕事とか、自分がテレビで見ていたような芸能人の方々と一緒に共演する機会があるとすごく緊張しちゃいます。
チャント ラジオは生放送の番組に出させていただいたときにめちゃくちゃ緊張しました。
──ライブやリリースイベントでは特典会をやっていると思うんですけど、最初の特典会はどういう心境でしたか?
イトー 「TOKYO IDOL FESTIVAL2019」の出演後が初めての特典会でした。それまでTwitterでしか自分の情報が知られてなくて、研究員(BiSファンの呼称)からどんなイメージを持たれているのか気になってました。だから初めての特典会ではどう振る舞えばいいか考えて、Twitterで研究員の名前をできるだけ覚えるようにしました。リプライをくれた人も来ていたので、初めてだけど初めてじゃない感じもして。緊張したけどやっぱり会えることがうれしかったです。
──研究員の方は、特典会で名乗ってくれるんですか?
ネオ 言ってくれる方が多いです。
チャント 私は特典会自体が初体験だったから、どんな感じかもイメージできなくて。最初は全員に敬語でしゃべってました。今は敬語じゃない方もいますけど、つい敬語が出ちゃいます。最初の特典会は何をしゃべったらいいかわからなくて沈黙してしまうこともありました。相手が話さなかったら会話が続かないので、「よいしょ!」って言ってました(笑)。せっかく来てくれているのに申し訳なかったんですけど、頭が真っ白でなんとか場を持たせようと……最近は徐々にしゃべれるようにはなって、どうにか沈黙は回避できるようになりました(笑)。
イトー モンちゃんは天然なところがあるので、傍から見た印象だと自然体のままというか、飾らずに特典会をしているなと思います。
トギー 私はもともとアイドルファンで、前はチェキを撮ってもらってる側でした。何をされたらうれしいかがわかっていたんですけど、自分では全然うまくできなくて(笑)
イトー 特典会中、トギーのエリアから奇声、叫び声が聞こえてくるんです(笑)。
チャント 面白いよね(笑)。イベント会場いっぱいに響きそうな勢いで叫んでる。
トギー けっこう叫ばされます。
ネオ 叫ばされるんだ(笑)。
トギー そう。元気にやってますよ。
──現時点で印象に残っているライブはありますか?
チャント マナコ(・チー・マナコ)が脱退を発表した直後に4人でやったCUTUP STUDIOかな。
──「Brand-new idol Society」リリース前日のイベントですね。フォーメーションにも歌割りにも変更があって大変だったと思うのですが、そのときはどう乗り切ったんですか?
チャント とっさに変えて、「これでいこう!」っていう。あの日は歌割りも自分たちで変えました。
トギー 順番的にここなら歌えそうみたいな(笑)。
チャント 1人抜けた部分のパートを割り振るとしてもメンバーが4人なので2択になるんですよね。該当するパートの前後じゃない人が歌うみたいな。
──マナコさんの脱退については、渡辺淳之介(BiSマネージャー、WACK代表)さんから最初に話があったんですか?
ネオ 最初にメンバーだけで話しました。
──びっくりしたとは思いますけど、「4人でやっていくぞ」と気持ちを切り替えていったわけですよね?
ネオ 1日くらいですぐ気持ちを切り替えました。
──引きずっている余裕もないという状況だったと。
トギー そうです。中野heavy sick ZEROでの初ワンマンが目前に迫っていたので。ショックだったとは言え、もう泣いてる場合じゃなくて(笑)。
ネオ 中野のワンマンを成功させないと絶対に終わると思っていたから、私たちはできることをやるしかなかった。
トギー そう。しょうがなかったんだよね。抜けたから。
イトー トギーはマナコが抜けた日に「うちはもう忘れる」って切り替えてましたし、私もすぐ気持ちを切り替えました。
トギー 抜けた人を追いかけても仕方ないし、脱退を知った時点でもう4人でやっていくつもりでした。
──最初のワンマンに向けて全力だったんですね。
ネオ ワンマンに向けて松隈ケンタ(BiSサウンドプロデューサー / SCRAMBLES)さんから歌割りをすぐに送ってもらって。
トギー 「誰かしらどうせ辞めるけん、いっぱい録っといた」と話してました(笑)。そのときに「俺はイトーが最初に辞めると思ってたけど」みたいなこと言ってました(笑)。
イトー 辞めません(笑)。
──BiSはいろんな波乱が起こることから“BiSの呪い”みたいに言われることが昔からあるようなんですけど、第3期でもそれは受け継いでるようですね。
イトー やっぱりあるんだなと思いました。
トギー 辞めていくなーって。
チャント 呪いなんてあるのかなあと思ってましたけど。
ネオ 現実に起こってるから、何かあるんでしょうね。
──10月には新メンバーとして加入予定だったズズ・デスさんも加入発表から1週間で脱退という流れになり……。
ネオ WACK史上、最短みたいですね。
──ネットラジオで冠番組「SCHOOL OF BiS!」の収録時にプー・ルイ(BILLIE IDLE)さんやカミヤサキ(GANG PARADE)さんがゲストで来ていただいたと思うんですけど、プー・ルイさんから「とにかく続けることが大事。サキちゃんを見て!」と言ってましたね。
トギー 本当に大切なことだと思いました。
イトー 番組ではサキさんも「やっぱり辞めないこと」と言ってましたし、松隈さんが出たときも「辞めたら終わり」って。
ネオ 辞めないこと、続けることが大事なんだと思ったし、それが大変なことでもあると思いました。
イトー 寂しい気持ちはわかりますけど、辞めた人が美化されるのはおかしいと思うし、自分たちはBiSを続けているから。
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一番変わったのはネオ・トゥリーズ、会話ができるようになったトギー