BiSが約4年ぶりとなるニューアルバム「NEVER MiND」を2月28日にリリースする。第3期にあたる現在のBiSは2019年に始動し、約半年でコロナ禍に突入。数回のメンバー増減を経て、昨年3月より現体制で活動している。
現体制初のアルバム「NEVER MiND」には多数のアーティストがプロデュースを手がけた全11曲を収録。プロデューサー陣にはAge Factory、AxSxE(NATSUMEN)、ナカコーこと中村弘二(LAMA、iLL、NYANTORA、ex. スーパーカー)、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)、フルカワユタカ(DOPING PANDA)、fOULという豪華なメンツが名を連ねている。
音楽ナタリーではアルバム発売を記念して、メンバーにインタビュー。グループの活動状況や、それぞれの楽曲への思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏撮影 / 星野耕作
“新生アイドル研究会”
──最近、イベントでほかのアイドルと競演することが増えてますね。
トギー まだちょこちょこですけど。いろんな人に観てもらう機会を増やしたいので、やっぱり対バンは大事ですね。いっぱい出たいです。そういえば、「IDOL SQUARE」に出たとき、FRUITS ZIPPERさんのファンにクレ(ナイ・ワールズエンド)の顔面が刺さったみたいで(笑)。ライブナタリーさんのイベントにも出たいです!
──ちなみに「新生アイドル研究会」というグループ名らしいことは現体制でしてるんですか? 現メンバーはWACKの音楽やBiSHに影響を受けた人が多いですが。
ヒューガー よくSNSで漁ります! X(Twitter)でいろんなアイドルさんの情報とか動画をチェックしてます。あと先日対バンしたきのホ。さんのファンはどんな系統のアイドルや音楽が好きなのかとか。以前より興味を持って調べるようになりました。
シオンエピック 私も最近かわいい子を見つけまして。曲を全部聴いてミュージックビデオも観てニヤニヤしてます。
ナノ3 もはやオタク(笑)。
ヒューガー 研究というか推し活!(笑)
トギー 私の場合は参考になるところを取り込みたいなと思って、人気のある人たちのインタビューを読むことが多いです。
イコ 私は韓国のアイドルを観て、パフォーマンスとか振付を研究してます。難しいけど。
クレ 「アイドル失格」ってドラマを観てます!
トギー それは研究なの?(笑) でも「【推しの子】」とかも流行ってるし、研究っちゃ研究か。
ナノ3 私はシオンに近いかもしれないな(笑)。韓国のアイドルをよくチェックしてます。ただ、参考にするとかより、「すげー!」「かわいいー!」っていう気持ちのほうが大きい。
セットリストを自分たちで考えるように
──アイドルシーンをサバイブしていくにあたって、自分たちが置かれた状況を把握するのは大切なことですよね。
トギー 顔が好きで通ってるアイドルファンってそこまでいないと思うんです。そんな中、「曲が刺さればいいな」と思っても人によって好みは違うし、細かく言えば騒ぎたくてライブハウスに来た人でも実は静かな曲が好きとか、とにかくいろんな人がいる。だから、対バンイベントでアゲアゲな曲を連発するよりも、いろんな曲を入れたほうがいろんな人に刺さる可能性が高くなる。今、セットリストはほぼ自分たちで考えてるんですけど、そういうことを踏まえて試行錯誤してます。
ナノ3 対バン相手の方のリハーサルをチェックして、「このグループのファンが、もしBiSを初見で観たとき、全部ドコドコ系の激しい曲を詰め込んだら、全部同じに聴こえるかもな」と思ったり。
──それは自分たちを客観的に見たうえでの冷静な判断ですね。
ナノ3 BiSと違う音楽ジャンルの方と対バンしたとして、例えば相手が電子音系で歌うグループだったとしたら、私自身も「どの曲も似てるな」と感じるかもしれないし。
──セットリストはいつから自分たちで考えてるんですか?
ナノ3 今年のWACKツアーぐらいからです。
トギー 過去のツアーでも一旦メンバーで考えたセットリストを出して、スタッフさんと話したうえで決めていたことはあるんです。でも完全に自分たちだけで決めるようになったのはWACKツアーからです。
──自分たちで組んだセットリストの手応えは?
ナノ3 最初は反応いいなと思う部分もあったけど、「出演順を考えたらもっとこうしたほうがよかったのかな」と感じることもたくさん。出演順がギリギリまでわからないこともあるんで仕方ない部分はあるんですけど、イベントの後半なら「もっとアゲ目な感じで攻めたほうがよかったな」とか。
トギー WACKツアーだとかわいいKiSS KiSSのあとの出番だったら、BiSはカッコいい系がいいなとか。福岡公演で「I WANT TO DiE!!!!!」「strawberry girl」とかピアノが鳴ってる曲を入れてみたのはよかったな。BiSファン以外の方にもその曲を聴きたい人がいることがわかっていたので。
ナノ3 確かに、ワンマンでもあまりやらない曲も反応あった。1月にBiSで24時間イベントをやりまして。そこでのべ74曲をパフォーマンスしたこともあって、現体制でできる曲が増えたし。
シオン 私は24時間イベントが人生で初めての徹夜だったんですけど、なんとか乗り越えられました。
ナノ3 いや、楽屋で寝てたよ。なんなら円陣中もうつらうつらしてた(笑)。
イコ 私は眠さとかより、一生終わらない気がしたんですよね(笑)。
クレ ホントに? 私は逆にあっという間に感じた。深夜枠の2部も含めて通しで出ていたからかもしれないですけど、勢いで進めた感じもあって、めちゃくちゃ楽しめました。
トギー 泣いちゃうこともあったけど、乗り越えたよね。
クレ 2部はイコとシオン以外の4人で出たんですけど、私としてはそのセットリストが難しい曲多めで不安があって。だから2部を終えたあと、安心感と悔しさが同時に押し寄せてきて涙が出ちゃいました。
──何時間も続けてやってたら心身ともにおかしくなることもありそうです。
トギー 耳がバグりました! 特典会でお客さんの声が遠くなるという(笑)。
ヒューガー 楽屋で数分、寝息を立てることもあったんですけど、5分だけ瞑想して突っ走るみたいな感じ。
ナノ3 眠さも平気だし、体力も余裕だったんですけど、喉が若干つらかったですね。でもこのメンバーでゴールに向かってやり遂げるということがこれまでなかったので、このタイミングでできてよかったなって。
──BiSの衣装や写真を手がける外林健太さんも24時間BiSといて。今のBiSのことをいいグループだと言ってましたね。
ナノ3 ソッティさん、初めは「途中で帰って最後にまた来る」と言っていたんです。私たちが「え?」「いますよね?」「帰らないって聞きましたよ!」と言ったらずっといてくれました(笑)。忙しい中、本当にありがたいなと思います。
「実質タダ!」の豪華なアルバム
──BiSにとって4年ぶりのアルバム「NEVER MiND」はどんな作品になりましたか?
イコ 「NEVER MiND」はすごいプロデューサーの方々にプロデュースしていただいて、収録されている1曲1曲から新しいBiSを感じられます。この1枚でいろんなBiSが感じられるすごく豪華なアルバムです。聴いてください!
──アルバムのプロデューサー陣はAge Factory、AxSxE(NATSUMEN)、ナカコーこと中村弘二(LAMA、iLL、NYANTORA、ex. スーパーカー)、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)、フルカワユタカ(DOPING PANDA)、fOULと非常に豪華ですね。
ナノ3 この豪華さで、初回限定盤にはライブ映像が入ったBlu-rayも付いて6500円はおかしいですね!
トギー 実質タダ!
──しかもAge FactoryとfOULが外部に楽曲提供したのはBiSが初めてだそうで。2021年12月に出したカバーアルバム「BiS DiVE into ROCKS」(BLANKEY JET CITY「赤いタンバリン」などのカバーを収録)とはまた違った層のロックファンに刺さりそうですよね。
ナノ3 「BiS DiVE into ROCKS」でカバーしたオリジナルアーティストの方々よりもAge Factoryはもう少し若い世代のリスナーが多いイメージです。BiSはあのカバーアルバムで90年代のロックを知っているファンの方々に認知してもらえました。「NEVER MiND」はさらに若い層の方々にとって、BiSに触れるきっかけになると信じています。
トギー BiS自体はありがたいことに歴史が長いので、「名前は知ってるよ」という方が多い。でも今のメンバー、今の曲について知っている人は少ないんです。
ナノ3 名前の強さに乗っかってうまく宣伝したいです!
──トギーさん以外のメンバーにとっては初めてのアルバムになりますね。
シオン 私はアルバムを出せること自体の喜びもありつつ、通常盤のジャケットが自分たちの写真なのがうれしいです。これがCDショップに並ぶのかと思うと、不思議な感じがします。
──名刺代わりってことでしょうね。
トギー いい言葉だからシオン、同じ言葉で言っておきな?
シオン 今のBiSの名刺代わりになるようなアルバムです!
ヒューガー そのまんまやん(笑)。
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言えなかったけど……ナカコーさん、好きです