BiSが7月6日にニューシングル「Hey boy hey girl」をリリースした。タイトル曲は“今”にフォーカスした前向きなロックチューンで、カップリングにはサウンドプロデューサー・松隈ケンタ節が炸裂するエモーショナルな楽曲「ONCE AGAiN」が収録される。またBiSは5月から7月まで「BUiLD our STRENGTH TOUR」、8月から11月まで「ROAD of EVOLUTiONS TOUR」という2本のツアーを開催。その合間にも多数のライブ出演を控えている。
音楽ナタリーでは夏に向けて全力投球のライブ活動を続ける彼女たちにインタビュー。悲願の「ARABAKI ROCK FEST.」初出演など、アイドルシーンからロックシーンに食い込んでいこうとする姿勢も感じられる中、彼女たちはどんなことを思い、感じながら日々を過ごしているのか。活動休止中のトギーを除く、イトー・ムセンシティ部、チャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、ナノ3の4人に話を聞いた。
取材・文 / 田中和宏撮影 / 大橋祐希
「ARABAKI」初出演を経た今
──ナノ3さんが昨年12月に加入し、入れ替わるようにトギーさんが活動休止中という状況ですが、ライブ活動は精力的に続けていますね。この半年で印象的なライブを挙げるとしたら?
チャントモンキー 「ARABAKI」は私たちにとってここからだ!と思えるライブでした。BiSがこれまでアイドルが出ることができなかった「ARABAKI」というロックフェスに出られた。すごくうれしかったし、ロックフェスにバンバン出られるようなグループになりたいので、そういう意味ではやっとスタート地点に立てたという感覚です。
ナノ3 私は加入してからずっとライブが続いています。今は目の前のことしか見えてないというか、既存メンバーに付いていくため、必死にがんばるしかないという気持ちです。
イトー・ムセンシティ部 ナノのがんばりに、私たちのほうも心が奮い立たされてます。付いていかなきゃ、追い付かなきゃと思われる姿を見せたいと思うし、メンバーとして一緒に進みたいと思ってます。
──取材時点では「BUiLD our STRENGTH TOUR」の4公演目が終わった段階ですが、手応えはいかがですか?
チャント 毎回、違うライブになっているので、すごく楽しいです。新曲もすでに披露しているので、研究員(BiSファンの呼称)の新鮮な反応を見られて、ライブのたびにうれしくなります。ネタバレになるから詳しくは伏せますが、挑戦的なセットリストで、これから育てていこうという曲が多いです。逆にライブでお決まりの曲は意外と入ってないんです。
イトー 地方の人たちが「ライブでこの曲、やらないかな」と思う曲ができてるといいな。レア曲を楽しんでほしいです。
ネオ・トゥリーズ ありがたいことに毎公演、たくさんのはじめましての方に来ていただいてます。ツアー序盤では島根、鳥取に初めて行って。今回のツアー会場はBiSにとっての“未開の地”なんです。今は特典会も再開して、少しずつお話できる機会が増えています。初めてBiSを観に来てくれる人はそれぞれ地元に来てくれるのを待っていてくれた人たちなんです。私たちはありがとうの気持ちを込めて、少しでもお客さんの心に残るようなライブができれば、と思ってがんばってます。毎度、ツアーでは数え切れないくらいの失敗をしてきてるんですが、3年間やってきた中で、どんどんと内容がよくなっている実感はあります、自分たちでそう言うのも嫌なんですけど。でも実際によくなってきているし、楽しいという気持ちがより増えました。
チャント 自分たちを信じられるようになってきたというか。観る人それぞれでいろんな意見がある中、前までは「こういう意見があったから、こうしたほうがいい」みたいな、スタッフさんの助言を受けてから考える動きが多かったんです。でも今はメンバー主体になって、これをやったら面白いんじゃないかとか、ツアー先でどんな話題を用意したらその土地の人が喜んでくれるのかとか、メンバー同士でアイデアを出し合ってステージに立つようにしているので、自分たちでライブを作っている意識が強くなりました。
──今のツアーと8月からの「ROAD of EVOLUTiONS TOUR」は内容が違うんですか?
イトー セトリは違うものになると思います!
ネオ 2つのツアーの間にいっぱいライブ、リリースイベントがあります。
──BiSはずっと動き続けるんですね。
チャント そうですね。「今年はヤバいよ!」とスタッフさんから言われてます(笑)。
チャントモンキー、チャットモンチー済とついに出会う
──ちなみにチャントモンキーさんは「ARABAKI」の現場で、憧れの橋本絵莉子(チャットモンチー済)さんに会えたそうですね。
チャント BiSはBiS with STUPiD BOYS for ARABAKIというバンド編成で「ARABAKI」に出演したんですけど、ヒダカトオル(G / THE STARBEMS)さんが紹介してくださって。がんばって来てよかったと思いました。
──音楽活動をするうえで軸になるのはBiSそのものだと思いますが、続けているとめぐり合わせでいいことがあるものですね。
イトー あ! それで言うと、私は去年のBiSとZOCの対バンツアーがすごくうれしかったです。大森靖子さんが大好きなので(参照:BiS×ZOCツアーでWACK渡辺淳之介は坊主に、巫まろは土下座、大森靖子は「音楽で返していく」)。
チャント 対バンで言うと、忘れらんねえよの「ツレ伝 2022」に出られたのもすごくうれしかったです。ずっと聴いてきたバンドだったので。
次のページ »
1回のライブでいかに爪痕を残すか